「スライドジョイント壁高欄」の開発

2024年09月20日

株式会社熊谷組(代表取締役社長:上田真、本社:東京都新宿区)とベルテクス株式会社(代表取締役社長:土屋明秀、本社:東京都千代田区)は、共同で高速道路更新工事に適用可能なプレキャスト壁高欄として「スライドジョイント壁高欄」を開発しました。

従来のものと比較して現場作業を大幅に削減でき、省人化、省力化、更なる急速施工が可能です。さらに表面をフラットにすることで外部からの水の浸入を防止し、耐久性、美観も向上します。

1. 開発背景

床版に設置するプレキャスト壁高欄(以下、PCa壁高欄)は、車両衝突時の大きな荷重に十分耐えられる構造とするため、床版とPCa壁高欄、PCa壁高欄同士を一体化する必要があります。 従来のPCa壁高欄では、一体化する場合に、特殊な材料が必要で、現場での作業が多く、労力と時間がかかることが課題となっていました。
そこで比較的安価で一般的な材料だけで施工でき、さらに現場作業が少なく、施工性に優れたPCa壁高欄の開発を目指しました。

図-1 スライドジョイント壁高欄
図-1 スライドジョイント壁高欄

2. 概要

スライドジョイント壁高欄は、床版とPCa壁高欄の接合にループ状鉄筋、PCa壁高欄同士の連結に鋼管を使用したフロリダ型(種別 SB)のPCa壁高欄です。主な構成要素は、(1)PCa壁高欄本体、(2)通信管路、(3)接合用鋼管、(4)床版接合用鉄筋、(5)定着用箱抜き部と接合部に充填する無収縮モルタルで構成されています。

図-2 スライドジョイント壁高欄の構成要素
図-2 スライドジョイント壁高欄の構成要素

特徴

(1)自立するL型構造(フロリダ型SB種)

PCa壁高欄を設置する状態のまま保管が可能で、PCa壁高欄の反転や起こす等の作業が不要です。

(2)PCa壁高欄同士の結合に鋼管継手を採用

鋼管継手を採用することで、PCa壁高欄端面がフラット形状でもせん断キーの効果が得られます。

(3)多数の通信管路が設置可能

VE54径で最大6条までの通信管路が設置できます。

(4)PCa壁高欄前面のフラット構造

耐久性、美観を重視し、PCa壁高欄前面は箱抜きが一切ないフラットな構造です。

(5)スライド設置工法

床版にループ状の鉄筋を組込み、PCa壁高欄にスリット形状の箱抜き定着部を設け、PCa壁高欄同士の鋼管継手を接合させながら、PCa壁高欄を横スライドして設置を行います。

(6)施工性・経済性の大幅向上

アンカー筋定着部、PCa壁高欄・床版連結部、PCa壁高欄同士の目地部に無収縮モルタルを注入するだけのシンプルな構造です。

3. 施工手順

施工手順は以下の通りです。「吊り下ろして、スライド」を繰り返して設置していきます。

壁高欄の吊り下ろし
設置位置確認
壁高欄の横スライド
連結鋼管の接合確認
各連結部、無収縮モルタル注
図-3 施工手順

4. 性能確認試験

NEXCO試験法「プレキャスト壁高欄の接合構造の性能試験方法(試験法441-2019)」により、すべての要求性能を満足することを確認しています。

【お問い合わせ先】

本リリースに関するお問い合わせ先

株式会社熊谷組
経営戦略本部 広報部 電話:03-3235-8155

本製品に関するお問い合わせ先

株式会社熊谷組 土木事業本部
土木技術統括部橋梁イノベーション事業部 電話:03-3235-8646