音声入力機能を有した水準測量支援アプリ「VOISL(ボイスル)」の開発

2017年07月06日

 株式会社熊谷組(代表取締役社長 樋口 靖)は、建設業における生産性向上を図る「i-Construction」推進の取組みのひとつとして、音声入力機能を有した水準測量支援アプリ「VOISL(ボイスル):Voice Input System for Leveling」(iPad/iPhone用)を開発しました。
 このアプリにより、水準測量の際に野帳・電卓・鉛筆・図面を用意することなく、iPadひとつあれば、測量から計算、結果の出力までの測量作業を効率よくスムーズに進めることが可能となります。

1. 開発の背景

 現在、建設業界の課題である生産性向上を図るため、「i-Construction」の推進が活性化しています。その取組みの一環として、当社では土木事業本部内に「スマートデバイス現場業務効率化ワーキンググループ」を平成27年より立ち上げ、さまざまな活動を続けてまいりました。
 そして今般、建設現場で日常的に行う水準測量に着目し、現場に勤務する社員全員に配備されているiPadを活用してより効率的に測量業務を進めるための支援アプリ「VOISL(ボイスル)」を開発しました。

図1 iPadと音声入力用マイク
図2 電子野帳(iPad)の入力画面

2. 開発した水準測量アプリの概要

 今回開発した「VOISL(ボイスル)」は、水準測量の際に野帳・電卓・鉛筆・図面を用意することなく、iPadひとつで、測量から計算、結果の出力までの測量作業を効率よくスムーズに進めることが可能です。
 また、他の水準測量アプリにはない特徴として、iPadに接続したマイク付イヤホンによる音声入力機能を備えており、レベルで標尺を視準しながら、その読み値の入力が可能です。

開発アプリの主な特徴は、下記のとおりです。
・iPadと接続したマイクを使用し、読み値を音声入力できるため、標尺を視準しながら、野帳を見ることなく、
 数値入力が可能です。
・音声入力した数値は、アプリが自動的に数値を復唱するため、イヤホンから入力した数値に間違いがないか
 確認が可能です。
・ベンチマークの基準高、標尺の読み値を直接アプリに入力することで、機械高や地盤高を自動計算します。
・基準高や計画高を事前に登録でき、呼び出すことが可能です。
・測定前に計画高を入力することで、実測値との差を自動的に算出できます。
・測量結果は、アプリ内もしくはクラウドサーバー(DropBox)内にデータとして保存できます。
 事務所に設置したパソコンともデータの共有が可能です。
・過去の測量データは、いつでも閲覧が可能です。
・図面もあわせて表示することが可能で、測定位置などメモを手書き入力でき、野帳の代わりにもなります。

従来の水準測量

① 標尺の目盛りを読み取る

② 読み値を野帳に記入する。

③ 地盤高等を電卓を用いて計算する。

④ 計算結果を野帳に記入する。

「VOISL(ボイスル)」よる水準測量

①-1 標尺の目盛りを読み取ると同時に、マイクに向かって数値を読み上げる。

【音声入力】

①-2 電子野帳に読み値が入力される。

①-3 地盤高等が自動計算される。

3. VOISL(ボイスル)の効果

 今回開発したアプリ「VOISL(ボイスル)」による水準測量では、測量から計算・結果記入の作業がiPadひとつで行うことができ、加えて測量と同時に計算結果の入力まで計算ミスすることなく行えるため、従来の方法と比較して測量時間が約30%短縮することが見込まれます。

4. 今後の展開

 今後は、全国の現場に勤務する社員に展開し、業務の効率化を図ってまいります。また、引き続きスマートデバイスの活用による業務効率化の面からも、さらなる生産性向上を目指してまいります。


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