床衝撃音遮断性能が高く、転倒時衝撃力が小さい「乾式浮床ベースケア」を開発
2016年03月10日
株式会社熊谷組(取締役社長 樋口靖)は、大建工業株式会社(代表取締役社長 億田正則 本社:大阪府大阪市)、野原産業株式会社(代表取締役社長 野原数生 本社:東京都新宿区)と共同で、高い床衝撃音遮断性能を有し、転倒時衝撃力が小さい内装用、土足用2種類のグラスウール支持方法による乾式浮床ベースケアを開発しましたのでお知らせいたします。
1.開発背景
首都圏(特に東京)、九州圏では、共同住宅は乾式二重床で設計されることが圧倒的に多い一方で、横浜、川崎、京都では高さ制限があるため、階高を抑えるために直貼り床で計画されることも多くなります。
現在、共同住宅に用いられている直貼り床は、厚みが13mm程度で、乾式二重床に比べて薄いのですが、一定の軽量床衝撃音低減性能を確保するために歩くと床板が柔らかく感じられるという課題がありました。さらに、今後の高齢化社会を見据えた時に、車いすによる長期の繰り返し走行に対しても直貼り床は、十分対応できていないことが指摘されています。
また、乾式二重床に比べて直貼り床は転倒時の衝撃力が大きいため、転倒の仕方によってはけがをする可能性もあります。そこで、こうした課題を解決するため、直貼り床の代替として用いることが可能な、高い床衝撃音遮断性能を有し、転倒時衝撃力が小さい「乾式浮床ベースケア」を開発しました。
2.乾式浮床ベースケアの概要
今回開発した「乾式浮床ベースケア」は内装用、土足用の2種類です。内装用は乾式浮床パネルに下地材として環境に配慮したガラス繊維不織布入りせっこう板を用い、その上に化粧シート貼りフローリングを施工しています。土足用は乾式浮床パネルに下地材として針葉樹合板を用い、その上に突板貼りフローリングを施工しています。乾式浮床パネルの上に下地材を入れることで、転倒時衝撃力を小さくし、高い床衝撃音低減性能を実現。床板が柔らかく感じられる歩行感も解消しました。
3.特徴
○床仕上げ高さ60mm
乾式二重床仕上げの場合、床仕上げ高さは100~120mm必要ですが、本製品では床仕上げ高さを60mm程度としました。このため、高さ制限があり直貼りフローリングで計画する必要がある建物にも対応できます。また、リニューアル等で乾式二重床とすることが難しい建物にも対応することができます。
○高い床衝撃音低減性能
一般的な乾式二重床の標準的な性能と同等の性能を確保しました。
軽量床衝撃音低減性能 ΔLL(Ⅱ)-3S
重量床衝撃音低減性能 ΔLH(Ⅱ)-2S
○高い耐荷重性能
等分布積載荷重は1960N/m2で5mm以下,局所集中荷重は980Nで4mm以下と乾式二重床と同等以上の沈み量を確保しました。
等分布積載荷重(1960N/m2)
内装用:最大2.5mm
土足用:最大2.0mm
局所集中荷重(100kg,5分後)
内装用:最大4.0mm
土足用:最大3.0mm
○高い転倒時の安全性
衝突時の最大加速度100G以下を確保しました。
最大加速度 内装用46G 土足用51G
○環境に配慮
内装用については、下地材としてガラス繊維不織布入りせっこう板(厚さ9.5mm,比重:1.0(9.6kg/m3))を採用しました。
4.コスト
グラスウール支持方法による乾式浮床ベースケアの設計価格(材工)は、内装用下地までで15,000円/㎡、土足用下地までで16,000円/㎡としております。
5.今後の展開
当社では、この製品を高齢者に配慮した施設や共同住宅のグラスウール支持方法による乾式浮床に関する重要なツールとして位置付け、発注者や設計事務所などに対して積極的に提案していく予定です。なお、本商品の製造・販売は大建工業株式会社、施工は野原産業株式会社が行います。
以上
[お問い合わせ先]
[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 広報部
部長:五十川 宏文
担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 技術研究所
顧問:大脇 雅直
担当:黒木 拓 (電話03-3235-8724)
[製造・販売に関する問い合わせ先]
大建工業株式会社 住宅営業2部
部長 小嶋 智幸
担当 渡邊 香保里 (電話03-6271-7751)
[施工に関するお問い合わせ先]
野原産業株式会社
部長 中村 三成
担当:小林 秀樹 (電話03-3355-4809)