熊谷式基礎梁貫通孔補強工法の開発

2015年12月04日

 株式会社熊谷組(取締役社長 樋口 靖)は、鉄筋コンクリート造基礎梁の開孔径について、従来の制限値(梁せいに対する開孔径の比)を1/3以下から1/2以下に緩和し、基礎梁せいの低減を可能とする熊谷式基礎梁貫通孔補強工法を開発し、構造性能評価を日本ERI株式会社より取得しました。
 ※梁せいとは、梁の上端から下端までの寸法のこと。

1.基礎梁貫通孔補強工法の開発背景

 鉄筋コンクリート造建築物において、設備配管などを通すためや点検のために梁に貫通孔(以下、開孔)を設けることが一般的に行われています。梁に開孔を設けると構造性能が低下することから「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」において、開孔が円形の場合には、開孔の直径は梁せいの1/3以下とすることが望ましいとされています。建築物の基礎梁には床下の設備配管の点検などのために人通孔が設けられることが多くありますが、この場合においても上記の制限が適用されています。直径600mmの人通孔を基礎梁に設ける場合は設計用応力から定まる必要梁断面にかかわらず、梁せいは1,800mm以上必要となり、土工事・躯体工事のコストアップにつながっていました。
 こうしたことから、熊谷組は開孔径の制限を緩和し、開孔径が基礎梁せいの1/2以下でも開孔が貫通可能な基礎梁貫通孔補強工法を開発しました。この工法を使用することにより構造性能は従来工法と同等のまま、コストダウンを図ることが可能となります。

図1 補強工法の概要

2.補強工法の特徴

 本工法の開発にあたり熊谷組は、補強金物を新たに考案し、この補強金物を開孔の周囲に埋め込み一体化させることによって補強効果を得ることが可能となりました。補強金物は上下のT形鋼と斜め補強材から構成されています。在来工法の斜め補強筋の役割を斜め補強材に、水平筋の役割をT形鋼に置き換えし、構造性能を確認するために構造実験を実施しました。補強金物を使用することで使用限界時、損傷限界時、安全限界時にそれぞれの性能が確保できることを確認しました。

図2 補強金物の概要
写真1 構造実験の状況

3.今後の展開

 本補強工法は2015年(平成27年)11月5日付けで日本ERI株式会社より「熊谷式基礎梁貫通孔補強工法」の構造性能評価を取得いたしました。建物の用途、上部構造の構造形式に関係なく、人通孔を有する鉄筋コンクリート造基礎梁に適用が可能です。今後は多くの物件に積極的に適用していく予定です。

図3 施工イメージ

以上

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