集合住宅の改築や改修などに必要な技術を網羅する「マンションリノベーション技術データベース」を構築

2015年03月30日

 株式会社熊谷組(取締役社長 樋口 靖)は,「マンションリノベーション技術データベース」を構築いたしましたので、お知らせいたします。本データベースを用いることによって、マンションリノベーションを計画しているディベロッパー等からの技術相談に対して、広範囲かつ詳細な技術情報の提供、技術提案ができるようになりました。

1.背景

 平成22年に閣議決定された「新成長戦略」の7つの戦略分野の一つである「観光立国・地域活性化戦略」の中で「ストック重視の住宅政策の転換」が謳われており、「2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を倍増させる」としています。
 これを受けて国交省ではインスペクションが行われる瑕疵保険付のリフォームや中古住宅購入への支援を行うとともに体制を整備しています。
 また、平成27年中にはインフィルリフォーム工事の評価制度や紛争処理体制、不動産価格査定の仕組みを整備することになっています。
 分譲マンションでは、現状、専有部分のリフォームや大規模修繕が主であり、1棟まるごとリノベーションの事例は多くはありません。また、賃貸マンションでも、状況はほぼ同じです。しかしながら、これから人口減少の時代を迎えることや、生活様式の多様化に対応していく中で、リノベーションの需要は、郊外でも都心立地においても、確実に増えていくものと考えます。

2.概要

 今回構築した「マンションリノベーション技術データベース」は、リフォーム・リニューアル、コンバージョン、リノベーション等に必要な各種技術を網羅的に統合したものです。
 マンションリノベーションを計画しているディベロッパー等のお客様からの要望や技術相談に対して、当社やグループ会社の技術営業担当者が、データベースを用いて、広範囲かつ詳細な技術情報の中から、最適な計画を提案することができます。また、当社の得意技術も盛り込んでいますので、プラスアルファの提案も可能です。
 マンションリノベーションというと、多様な生活様式に対応した、斬新なプランや、新しい機器・装備の設置などが注目されることが多いようですが、どんなに素敵な室内空間も、隣戸や上下階からの音漏れが気になるとか、エアコンは効いているのだけれど何だか肌寒いとか、結露し易いなどの事象が発生すると、その魅力は半減してしまいます。
 建物全体および室内空間の基本的な性能について、与条件に応じたベストな提案を、総合的な技術力の裏付けの元で、実施いたします。

3.特徴

 今回構築した「マンションリノベーション技術データベース」を活用することにより、以下のようなメリットがあります。
  ① 与条件に応じてフローチャートをたどって行くことにより、最適な必要技術を選定
    することができます。
  ② リンクを貼ったデータベースにより、必要な技術のより詳細な情報に素早くアプロ
    ーチすることができます。
  ③ 当社の得意技術である音環境技術により、リノベーション案件でも、良好な音環境
    (遮音性能)を持った空間を提供することができます。
  ④ 気流解析、熱流体解析、空調負荷解析、光環境解析など、室内環境解析技術を駆使
    することにより、良好な室内環境を提供することができます。
  ⑤ グループ会社と一体になった総合力のある技術集団として対応できます。

フローチャートの例(イメージ)

リンクを貼ったデータベースの仕様例(クリックすると大きく表示されます)

■開発技術の例
・「NSフロアー石張り下地工法 (開発済み)」
石張りを下地に用いて乾式二重床で高い床衝撃音低減性能を実現。リニューアルにも対応。

― 床構造 ―
― 施工例 ―

■開発技術の例
・「リフォームに対応できる乾式二重床工法 (開発済み)」
・「リニューアル対応直貼り床工法 (開発中)」
・「リニューアル対応音環境性能向上技術(壁) (開発中)」

音環境(遮音性能)技術の例

・ 温熱負荷(空調機器負荷)計算ソフトに、建物BIMモデルからデータをスムーズに引き渡すソフトを開発完了。
・ CFD熱流体解析・室内温熱環境予測ソフトに、建物BIMモデルからデータをスムーズにコンバータするシステムの検証完了。
・ 照度解析・室内光環境予測ソフトに、建物BIMモデルからデータをスムーズにコンバータするソフトの開発中。

室内環境解析技術の例

4.今後の展開

 技術データベースの整備と並行して、新たに開発すべき課題の抽出も行っており、重要度の高いものから順次研究開発を実施いたします。また、グループ会社と協働する体制を整えて、グループ一体となった当社独自の特色ある技術提案を行うべく、更なるデータベースの拡充整備を進めていく予定です。

以上

[お問い合わせ先]

[本リリースに関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組 広報部
 部長:五十川 宏文
 担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)

[技術に関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組 技術研究所 建築生産研究グループ
 部長:渡辺 英彦
 担当:久保 隆司 (電話03-3235-8617)