ATOMiKⅡ合成壁を免震地下ピットに適用し効果を実証

2013年07月09日

 株式会社熊谷組(取締役社長:樋口靖)は、ATOMiKⅡ合成壁(隅角部における設計法を新たに追加したH形鋼とRC壁との合成地下外壁)を免震建物の地下ピットなどに適用し、コスト低減などの効果を実証しました。

1.開発経緯

 ATOMiKⅡ合成壁は、これまでのATOMiK合成壁を発展させ、隅角部における設計法を新たに追加した形鋼材(H形鋼)と後打ち鉄筋コンクリート壁(RC壁)との合成地下外壁です。
 開発の基になった従前のATOMiK合成壁は、地下工事の仮設山留め壁に用いられてきた形鋼材(H形鋼)と後打ち鉄筋コンクリート壁(RC壁)をH形鋼のフランジ面に設けた頭付スタッドによって一体化し、合成壁として本設の地下外壁に利用する構法です。本構法を採用することにより、仮設材として用いられてきたH形鋼を有効活用することができるとともに、RC壁の壁厚を従来よりも薄くすることが可能となり、地下空間の有効利用を図ることができます。
 合成壁を免震建物地下ピットなどの片持ち梁形式の地下外壁に適用する場合、合成壁と基礎スラブが交差する隅角部の設計が重要となりますが、ATOMiK合成壁では設計方法を規定していませんでした。そこで、合成壁と基礎スラブからなる隅角部の構造実験を実施、合成壁と基礎スラブ間の応力伝達機構を確認するとともに、実験から得られた知見を基に隅角部の設計法を新たに確立し、ATOMiKⅡ合成壁として2011年8月9日に財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を再取得(性能証明 第01-06号改)しました。

2.適用事例

 ATOMiKⅡ合成壁を適用した事例3件はいずれも免震ピットなどの片持ち梁形式となる地下外壁に採用しました。
 片持ち梁形式となる合成壁の隅角部には作用する土水圧により、一般部(図1参照)よりも大きな力が作用し、特にH形鋼とRC壁を一体化させるスタッドには大きな引張力が作用することになります。そこで、隅角部のスタッドでは一般部に比べてスタッド径を大きくするまたはスタッド長を長くすることにより、スタッド本数の低減を図っています。
 一般部については、通常の地下外壁では1m程度のRC壁厚が必要であったところを事例No.1およびNo.3では60cmの壁厚に低減することができました。また、事例No.2ではRC壁の厚さは低減させていませんが、鉄筋量を最少鉄筋量まで減らすことができました。

表1 適用事例の概要

3.今後の予定

 ATOMiKⅡ合成壁では片持ち梁形式となる地下外壁においてRC壁の厚さを低減できるメリットが大きいことから、免震建物の地下ピット、ドライエリアを有する地下外壁を中心に本構法の普及展開を図っていく予定です。また、隅角部においては頭付スタッドに代わる新たな材料の開発についても進めていく予定です。

以上

[お問い合わせ先]

[本リリースに関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  広報室
 室長:五十川 宏文
 担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)

[技術に関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組 技術研究所 地盤基礎研究グループ
 部長:森 利弘
 担当:小川 敦 (電話03-3235-8721)