集合住宅に使用されている乾式二重床の音環境に関する手引書 「集合住宅の音環境-乾式二重床のQ&A-(改訂)」を発刊!

2013年02月14日

 株式会社熊谷組(取締役社長 大田弘 本社:東京都新宿区)は信州大学名誉教授山下恭弘監修のもと有限会社泰成電機工業(代表取締役社長 片桐佑介 本社:長野県駒ヶ根市)、フジモリ産業株式会社(代表取締役社長 山根光 本社:東京都品川区)、野原産業株式会社(代表取締役社長 野原数生 本社:東京都新宿区)、万協株式会社(代表取締役社長 清水雅弘 本社:東京都品川区)、有限会社音研(代表取締役 石川義治 本社:埼玉県八潮市)と共同で、床衝撃音研究会として「集合住宅の音環境-乾式二重床のQ&A-(改訂)」を発刊いたしましたのでお知らせいたします。

1.背景

 集合住宅においては,バリアフリーへの対応や歩行感の良さ、床下配管・配線のしやすさといった利点から、床仕上げ構造として乾式二重床を採用するケースが増えてきています。特に、近年では生活のライフスタイルに合わせて間取りを変更できるような乾式二重床の開発もさかんに行われるようになってきました。また、購入者のニーズに応えるため、セレクトプランやフリープランが増えてきていますが、上下階で異なる間取りとなる可能性があり、より音環境への配慮も求められることになります。共同住宅の住宅相談では、不具合事象として売り手と購入者の音環境に対する認識の違いよる「遮音不良」、「床鳴り」などが指摘されています。
 当研究会では、2007年7月に信州大学工学部の山下恭弘教授(現信州大学名誉教授)に監修いただき、乾式二重床について判りやすくまとめた「集合住宅の音環境-乾式二重床のQ&A-」と題した解説書を発刊するとともに、その後も乾式二重床に関する研究を進め,新たな技術や施工法の開発を行ってきました。
また、発刊後の2008年、一般財団法人日本建築総合試験所の「床材の床衝撃音低減性能の等級表記指針」(以下、等級指針)が示されました。等級指針に基づいて性能を表示することによって従来の「推定L等級」による表記での課題を解決し、さらに「標準型試験体」を規定することで乾式二重床メーカー間での床衝撃音低減性能の相互比較がより適切に行えるようになりました。等級指針では、製品の床衝撃音低減性能を「部材性能」としてΔL等級で表示しており、大手デベロッパー各社は乾式二重床の仕様規定を等級指針に対応したものへと変更しています。
 さらに、施工面では、従来は「壁先行工法」が一般的でしたが、近年では超高層集合住宅の多くが「床先行工法」で建設されています。また床衝撃音遮断性能の確保がしやすいことから、超高層集合住宅以外でも「床先行工法」の割合が増えてきています。

2.概要

 このような背景から当研究会では「等級指針」やフリープラン等に対応できる乾式二重床の納まり等についての最新の知見を取り入れ、山下恭弘 信州大学名誉教授監修のもと、「集合住宅の音環境-乾式二重床のQ&A-」を改訂することとしました。
改訂では新たに章を設けて床衝撃音低減性能の確保に有利な「床先行工法」と「乾式二重床の施工上の注意点」についてそれぞれ詳しく解説しています。さらに「乾式二重床の実例データ集」についても最近竣工した事例を掲載しています。 

 この解説書は、以下のような特徴があります。
(1) 乾式二重床全般について幅広く取り上げ平易に説明。
(2) 乾式二重床を用いた集合住宅について、床衝撃音レベルの実測データを紹介。
(3) 乾式二重床の音環境に関する疑問については、Q&A形式でわかりやすく解説。
(4) 乾式二重床の構成部材、構造の断面などの豊富な図表を用いて説明。

 各章の主な内容は以下の通りです。
  ・ 第1章「乾式二重床の基礎」
    種類や特徴,性能試験や評価方法、製品カタログの見方など
  ・ 第2章「乾式二重床の床衝撃音低減性能」
    床衝撃音低減性能の変化要因となる各部構成や納まり、工法による特徴など
  ・ 第3章「床先行工法」
    近年増加してきた「床先行工法」の特徴やメリット・デメリット
  ・ 第4章「乾式二重床施工上の注意点」
    施工上注意すべき点についてのさまざまな事例を挙げ解説
  ・ 第5章「乾式二重床の実例データ集(16 例)」
  ・ 第6章「乾式二重床のQ&A(31 問)」
    デベロッパーや設計事務所から寄せられた質問と回答を提示
  ・ 第7章「参考資料」
    集合住宅の音環境に関する居住者の意識調査結果や専門用語の解説
  ・ 第8章 乾式二重床の床衝撃音に関連する文献の紹介(266編)

集合住宅の音環境‐乾式二重床のQ&A‐(改訂)」の表紙

3.今後の展開

 今後、集合住宅の乾式二重床に関する重要なツールとして位置付け、デベロッパーや設計事務所などに対して積極的に提案していく予定です。さらに、本手引書をご覧になった方から、忌憚のない評価・意見を頂き、より使いやすい手引書に仕上げていくよう、今後も継続的に検討をしてく予定でおります。なお、本手引書は下記のホームページのどこからでも申し込み頂けます。

以上

[お問い合わせ先]

[本リリースに関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  広報室
 室長:手島 眞之
 担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)

[技術に関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  技術研究所
 副所長:大脇 雅直
 担 当 :財満 健史 (電話 03-3235-8724)    

    有限会社 泰成電機工業
   常務取締役:堀内 一治
   担 当 :石丸 岳史 (電話 0265-83-1138)
   フジモリ産業株式会社
   取締役建材事業部長:浜口 浩孝
   担 当 :西野 嘉一 (電話 03-5789-2381)
   野原産業株式会社
   建材営業本部副本部長:今井 力
   担 当:小林 秀樹 (電話 03-3355-4809)
   万協株式会社
   営業2部 部長:鴇田 文男
   担 当:北洞 武志 (電話 03-5424-0707)
   有限会社 音研
   代表取締役:石川 義治
   担 当:杉木 陽次 (電話 03-6279-7294)