当社社員がエジプト アメンヘテプ3世王墓保存修復プロジェクトに参加

2013年02月18日

 当社は吉村 作治 早稲田大学名誉教授が隊長を務める同大学古代エジプト調査隊に長きに亘り、技術の協力をしています。今回は 現在、エジプトのルクソールで行われているアメンヘテプ3世王墓保存修復プロジェクトに、技術アドバイザーとして当社社員が参加しました(2012年12月24日~29日)。

現地確認を行う当社社員(左)

 アメンヘテプ3世は新王国時代第18王朝、第9代のファラオ(王)であり、在位期間は紀元前1388~1351年頃までの約38年に及び、同王の治世は古代エジプトが文化的、経済的に最も繁栄した時期で、エジプトの領土は最大規模を誇っていました。

 同王の墓はルクソール(カイロから700km南、古代エジプトの都(テーベ)があった場所)の王家の谷・西谷に位置し、第18王朝の中でも最大規模を誇り、その王墓に描かれた壁画は古代エジプト史の中でも最高水準にあり、緻密で色鮮やかなものでした。
 早稲田大学古代エジプト調査隊は、王墓内部に堆積していた土砂などのクリーニングを行い、墓の測量、壁画の記録などを1989年から2000年まで計15回実施しました。

王墓周辺の様子
王墓入り口

王墓の壁画

 しかし、同墓は長年のコウモリの侵入による排泄物等の汚れや、自然崩落・亀裂の進行、人為的な破壊によって壁画は深刻な被害を受けていました。

 その状態を受けて、早稲田大学エジプト学研究所が中心となってプロジェクトを立ち上げ、貴重な文化遺産の継承を目的に修復等の作業が行われています。なお、同プロジェクトは日本国外務省ユネスコ文化遺産保存日本信託基金、独立行政法人国際交流基金などの助成を受け、ユネスコ、エジプト考古最高会議(現エジプト考古省)の協力を得て行われました。
 その中で当社は王墓の柱・壁の亀裂の補修方法に関する技術的なアドバイスを行っています。

亀裂やはく離が目立つ内部

同プロジェクトにおける当社の今までの活動について
 2011年10月~2012年5月(第3期)    壁画修復作業、壁・柱の亀裂の補修、石棺の修復
 2012年12月             壁・柱の亀裂の調査



 第1回目の調査(2011年10月)では、柱のはく離箇所の仮受けを木材からナイロンスリングに交換するなどの補修工事を行いました。今回の第2回目の調査(2012年12月)では、壁・柱の亀裂の補修方法に関する調査を行いました。
 また当社社員は早稲田大学エジプト学研究所が行っている「ルクソール・アル=コーカ地区ウセルハト墓の調査」も視察し、技術的なアドバイスを行いました。

調査に行く前に現地の石灰石を取り寄せて、当社の技術研究所で接着剤の効果について試験を行ないました
貴族の墓(ウセルハト墓)の調査を行う当社社員(手前)