集合住宅において重量床衝撃音レベルを低減させる工法リブ付サイレントボイドスラブを開発

2011年10月28日

 株式会社熊谷組(取締役社長 大田弘、本社:東京都新宿区)は、集合住宅において重量床衝撃音レベルを低減させる工法(リブ付サイレントボイドスラブ)を開発しましたのでお知らせいたします。今回開発しましたリブ付サイレントボイドスラブ工法は、集合住宅居室の重量床衝撃音遮断性能を従来のボイドスラブ工法に対して20~40mm程度スラブを薄くすることができます。

1.背景

 集合住宅のスラブ支配面積は、近年大きくなる傾向にあります。これらの大型スラブにおいては、居室がスラブ中央に配置される場合が増えてきています。しかし、スラブ中央に配置される居室の床衝撃音遮断性能は梁に接している居室に比べて低下するため、スラブを厚くする必要がありました。

2.概要

 今回開発した,リブ付サイレントボイドスラブは,サイレントボイドスラブの中央にリブを設置して床衝撃音遮断性能を向上させます。住戸や居室プランにあわせてリブを設置することによって、スラブ厚を抑えることが可能となります。なお、本工法は特許出願中です。

図1 断面図(スラブ厚300mmの場合)

3.特徴

 本工法の特徴は、
① 住戸プランに合わせてリブを設置することができるため、住戸プランに影響を与えません。
② 設計時にプランにあわせてリブを設置することで、スラブ厚を抑えることができます。
③ リブを設置することによって、スラブの拘束力が増すため、遮音性能を向上させることができます。
④ リブを工場生産することによって、施工性を向上させます。

4.遮音性能

 今回開発したスラブのインピーダンスレベル(床の揺れ難さ)は図2、3に示すようにリブの端部で3dB~5dB上昇することを確認しました。

図2 LINE01測定結果
図3 LINE02測定結果
図4 測定位置

 モデルプランについて効果を検証しました。通常のサイレントボイドスラブの場合スラブ厚は320mmとなりますが、リブ付サイレントボイドスラブの場合は290mmとなりスラブ厚さを30mm薄くすることが可能となります。

図5 モデルプラン

5.施工状況

 リブ付サイレントボイドスラブの試験体の施工状況を以下に示します。

写真1 PCa板・リブの設置状況
写真2 配筋・型枠施工状況
写真3 コンクリート打設状況
写真4 試験体施工完了
写真5 試験体施工完了(リブ)

6.今後の展開

 今後、集合住宅の音環境に関する重要なツールとして位置づけ、デベロッパーや設計事務所などに対して積極的に提案していく予定です。

[お問い合わせ先]

[本リリースに関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  広報室
 室長:藤島 幸雄
 担当:石賀 慎一郎 (電話03-3235-8155)

[技術に関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  技術研究所 都市・居住環境研究部
 副所長(兼)部長:大脇 雅直
 担当:黒木 拓 (電話03-3235-8724)