ATOMiK合成壁(合成地下外壁)の設計指針改定、建築技術性能証明取得

2011年09月28日

 株式会社熊谷組(取締役社長:大田弘、本社:東京都新宿区)、株式会社新井組(代表取締役社長:中西政治、本社:兵庫県西宮市)、株式会社ピーエス三菱(代表取締役社長:勝木恒男、本社:東京都中央区)は、共同でATOMiK合成壁隅角部(合成壁と基礎スラブあるいは基礎梁が交差する部分)の設計法を新たに確立し、財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC 性能証明 第01-06 号 改)を取得しましたのでお知らせします。

1.開発の経緯

 ATOMiK合成壁は、従来、地下工事の山留め壁に用いられてきた形鋼材(H形鋼)と後打ち鉄筋コンクリート壁(RC壁)をH形鋼のフランジ面に設けた頭付スタッドによって一体化し、本設の地下外壁として利用する構法です。本構法を採用することにより、仮設材として用いられてきたH形鋼を有効活用することができるとともに、RC壁の壁厚を従来よりも薄くすることが可能となるため、地下空間の有効利用を図ることができます。
 また、ATOMiK合成壁ではソイルセメント壁に加え、親杭横矢板壁との組み合わせを可能としており、H形鋼を用いるすべての山留め壁に適用することができます。
ATOMiK合成壁の構造性能ならびに設計方法に関して、2001年7月3日に財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明を取得(性能証明 第01-06号)し、地下階を有する建物などの個別案件に適用してきました。

ATOMiK合成壁の適用例

2.改定内容の特徴

 本年8月に、既性能証明にATOMiK合成壁隅角部(合成壁と基礎スラブあるいは基礎梁が交差する部分)の設計方法を追加し、ATOMiKⅡ合成壁として建築技術性能証明を取得しました。
 既性能証明は、H形鋼とRC壁による合成壁体としての性能証明でしたが、近年、免震建物における免震層ピット部のような片持ち形式となる地下外壁への適用に際し、応力が大きくなる合成壁隅角部の合理的な設計方法の必要性が高まりました。
 今回、合成壁と基礎スラブからなる合成壁隅角部の構造実験を実施し、合成壁と基礎スラブ間の応力伝達機構を確認するとともに、実験から得られた知見を基に合成壁隅角部の設計法を新たに確立しました。本設計法では、地中部の基礎スラブ以深に根入れされるH形鋼に作用する地盤の抵抗力を考慮できる点が特徴であり、合理的な設計法が可能となっております。

3.構造実験

 構造実験では、合成壁から基礎スラブへの応力伝達機構、地中部における地盤の抵抗力が隅角部の応力に及ぼす影響などを考慮した実験方法を採用し、隅角部の設計に必要な基礎資料を得ました。

構造実験の概要
試験状況

4.今後の予定

 ATOMiK合成壁隅角部の設計方法を確立できたことから、本構法のさらなる普及展開を図っていく所存です。特に基礎免震建物における地下外壁では、より合理的な設計が可能となるので積極的に提案していく予定です。

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