小型リアルタイム音カメラの開発~音の発生状況をその場で見ることができる装置の実用化~
2010年12月08日
株式会社熊谷組(取締役社長:大田 弘 本社:東京都新宿区)は、リアルタイムで音を視覚的に表示できる「小型リアルタイム音カメラ」を開発しましたので、お知らせいたします。本技術を用いることによって、音の発生方向・大きさといった情報をその場で簡単に可視化して確認することができるようになりました。
1.背景
通常、音は眼で見ることができません。このため、音を視覚的に見ることのできる機器があれば、「音」をもっとわかりやすく捉えることができると考え、これまでに「音カメラ」※1や、音カメラを改良した「リアルタイム音カメラ※2」を開発してまいりました。このうち、従来の「リアルタイム音カメラ」は、カメラから取り込んだ画像上に専用のハードウェアを用いて音の可視化情報をリアルタイムで合成処理し、専用モニタ上に表示させる画期的なシステムでした。しかしシステムが大きく,現地調査などに持ち出すことは困難でした。また測定データを保存しながらリアルタイム表示することができませんでした。
※1 音カメラとは、音の発生方向、音の大きさ(音圧レベル:dB)、音の高さ(周波数:Hz)
を特定し、デジタルカメラから取り込んだ画像上にそれらを表示するものです。
平成13年6月13日に、中部電力株式会社、山下恭弘信州大学名誉教授と当社が共同
で開発し、発表しています。
※2 リアルタイム音カメラとは、先に開発した音カメラを改良して、リアルタイムに結果の
表示なシステムです。平成19年3月15日に、中部電力株式会社、山下恭弘信州大学
名誉教授と当社が共同で開発し、発表しています。
2.概要
今回開発した「小型リアルタイム音カメラ」は、先に開発した「リアルタイム音カメラ」の技術を推し進め、ノート型パーソナルコンピュータのディスプレイ上に、映像化した音をリアルタイムで表示することが可能となりました。また、システム全体が小型化されて可搬性が向上しました。
【システムの概要】
発電用風車の左下付近から200Hz~1kHz付近の音(ブレードの風切り音)が発生しているのがわかる。
3.特徴
今回開発した「小型リアルタイム音カメラ」は、以下に示す特徴があります。
①ソフトウェアのアルゴリズムを大幅に見直して最適化し、高速処理を実現しました。
これまでは難しかった、リアルタイム表示を行いながら測定データを保存することも
でき、後から詳細な分析を行うことが可能です。
②マイクロホン部分を見直して大幅に小型化しました。従来の音カメラは100~4500Hz
まで測定できましたが、本システムでは160~7600Hz まで測定が可能です。
③マイクホロンとカメラを装備したセンサ部分を大幅に小型化しました。また制御部分
も大きめのアタッシュケースサイズになり、可搬性に優れております。
本装置の利用により、発生音の情報を容易に、また即座に確認することができ、音環境調査等で作業効率や信頼性が向上します。
4.今後の展開
音源の位置をリアルタイムで把握していく必要があるメーカや設計事務所、コンサルティング会社などに本技術を積極的に提案していく予定です。
[お問い合わせ先]
[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 広報室
室長:藤島 幸雄
担当:石賀 慎一郎 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 技術研究所 都市・居住環境研究部
副所長(兼)部長:大脇 雅直
担当:財満 健史 (電話03-3235-8724)
個人のお客さまへ
「音カメラ」(各種)を使用した計測・調査等につきましては、個人のお客様からのご依頼には応じかねますのでご了承ください。
法人のお客さまへ
「音カメラ」(各種)に関するお問い合わせは、最寄の弊社支店「お客さま相談室」、または弊社営業担当者にお問い合わせください。
販売・リース等
「音カメラ」(各種)は、機器の販売・リース・レンタル等は行っておりません。