「保温・湿潤養生台車」による覆工コンクリート養生工法」の開発・実用化

2009年05月11日

株式会社熊谷組(取締役社長 大田弘、本社:東京都新宿区)はかねてから「山岳トンネル工事における覆工コンクリートの養生方法」の一環として、養生剤等による対応から「専用台車による養生工法」を開発し、NEXCO西日本株式会社(代表取締役社長COO 奥田 楯彦、本社:大阪市)発注の「鳥取自動車道智頭用瀬トンネル南工事」で試験施工を行い良好な結果が得られました。今回、岐阜工業株式会社(代表取締役社長 北川 智秋、本社:岐阜県本巣市)と共同及びテクノプロ株式会社(代表取締役社長 佐土原 千尋、本社:兵庫県明石市)の協力で一部改良を行い、今後のトンネル工事において本格採用をめざすことにしました。

保温・湿潤養生台車

1.背景

 トンネル覆工コンクリートの初期養生に起因するコンクリートの表層品質は、供用後のひび割れの発生や表面の劣化に大きな影響を与えます。供用を開始してから補修が発生した場合には、通行規制や費用等の問題も発生します。そこで、施工時における覆工コンクリートの表層部の品質を向上させることにより、耐久性の確保・維持管理や費用の縮減が期待できます。
 従来は、トンネル坑内の外気遮断や、コンクリート塗膜養生剤による覆工コンクリートの乾燥防止で対応していました。

2.本システムの特徴

 本システムは、トンネル二次覆工コンクリートを「保温・湿潤養生台車」を使用して2種類の方法で養生する工法です。
この工法は従来技術と比較して、以下の優位性があります。
・ トンネル覆工コンクリート養生用の専用移動式設備により初期養生を迅速に行える。
・ 外気遮断養生と湿潤養生を継続して行い、6日間の初期養生ができる。
・ 専用移動式設備はレール方式電動移動機能を備えており、移動・設置が容易である。
・ 坑内換気用の風管通過型である。
・ 養生中も通路、ダンプトラック・トラックミキサー車等の工事用車両の通行が可能である。

 本技術では脱型直後から気密性の高い外気遮断・湿潤養生ができるため、次のような効果が期待できます。
・ コンクリート温度履歴を考慮して、湿潤養生時期を設定できる。
・ 二次覆工コンクリート面全体でほぼ均一な養生効果が確保できる。
・ コンクリート表面部での乾燥収縮に伴うひび割れの発生を抑制できる。
・ 表面からの乾燥を防止し、表層コンクリート組織の緻密化をはかることができる。
・ 膨張剤や乾燥収縮低減剤を使用することなく、品質の向上を図ることができる。
・ 養生することにより、コンクリート面の仕上がりがきれいになる。
・ 耐久性に優れた保水マットの採用により養生中のメンテナンスが容易になる。

図.1 保温・湿潤養生台車全体図
図.2 養生設備配置図

「保温・湿潤養生台車」は、覆工セントルの後方に「外気遮断養生台車」1台、「湿潤養生台車」2台を連ねた設備です。覆工コンクリートを2日サイクルで施工する場合、覆工コンクリートの施工サイクルに合わせて養生台車が、2日間ずつそれぞれの台車で継続して養生を行います。この場合、2日×3台で6日の養生を行うことができます。

図.3 養生施工順序図

3.今後の展開

 湿潤養生台車については、湿潤マットの保水性の向上と装置の簡素化及び軽量化を進めていきます。

 この技術は、NETIS登録(国土交通省 関東地方整備局)申請中です。

[お問い合わせ先]

[本リリースに関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  広報室
 室長:藤島 幸雄
 担当:石賀 慎一郎 (電話03-3235-8155)

[技術に関するお問い合わせ先]
 株式会社 熊谷組  土木事業本部 トンネル技術部 
 担当部長:畔高 伸一 (電話 03-3235-8649)