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音環境の世界

衣食足りて欲求は「住」のより良い音環境へ

音創シミュレーターを実際に体験してみる。上階で子供が飛び跳ねる音、隣の部屋からのフルートやピアノの音などが、体感ルーム内に備えられたスピーカーから流れてくる。車の騒音や鉄道騒音なども、実際の室内ではどんな聞こえ方がするのかが手に取るようだ。さらに床のコンクリートの厚さ、サッシの違いなどによって、騒音が明らかに違うことも疑似体験できる。

例えてみれば、感覚は車を購入する前に色々試す試乗車のよう。室内に伝わるエンジン音やロードノイズの大きさが体験できるように、マンションの遮音性能を体験できるのである。「この価格帯ならこの遮音性能」と納得して購入できることで、入居してからこんなはずではなかった、という時代は過去のものになる日がやって来るだろう。

「モノが豊かになり、衣食足りて『住』の質に関心が増してきた今、マンションも性能で選ぶ時代になったのです。言い換えれば、性能の良いマンションでなければ、お客様の支持は得られません」と大脇氏は言う。一方、「熊谷組が初めて遮音性能評価のノウハウやデータを実用化したことで、販売者とお客様が共通の認識を持てるようになりましたね」と語るのは三井不動産都市開発事業部品質管理室主査の谷井春之氏。マンションを販売する側も、音創シミュレーターの登場を待ち望んでいた。

さらに住まいの音環境を良くするには、音が伝わりにくい床を作ることが必要になってくる。マンションの床は、高齢化社会に対応して段差を無くすバリアフリー化が今や常識。そこでフローリングの床をコンクリートの床の上から支持脚で支える二重床工法が取り入れられているが、その間にできる空間が太鼓と同じ作用によってコンクリートの床を振動させる。また、家具を置く壁際の沈み込みを防止するため木材を置いて床を支えると、床の振動が壁を伝わりコンクリートの床を振動させる弊害があった。それを解決したのが 遮音乾式置床工法である。

「この工法によって踏むと柔らかい傾向にあるフローリングを本来の固さに戻してあげることができた」と大脇氏は説明する。

音を理解し、音と上手に付き合う方法を問われている時代に生きる私たちは、目に見えない技術や、足元に隠れているより快適な音環境づくりへの工夫によって支えられているのかもしれない。

 

音創シミュレーター

Onso simulator

 

集合住宅における騒音発生状況のイメージ

集合住宅における騒音発生状況のイメージ

シミュレーションで再生可能な音の例

シミュレーションで再生可能な音の例
(子供の飛び跳ね音/重量床衝撃音)

音環境予測解析システム

企画や設計段階から集合住宅の音環境を数値と再生音で、予測、評価、確認できるシステム。このシステムは「音環境予測解析システム」「音環境体感ルーム」で構成されており、体感ルーム内で間取りや寸法、床や壁の仕様、体感したい音の種類などを対話形式でパソコンに入力すれば、正確な音環境がシミュレーションできる。「音環境予測解析システム」だけでもパソコン上で数値検討が可能だ。

 

●本システムは信州大学工学部社会開発工学科山下恭弘教授・日東紡音響エンジニアリング株式会社による共同開発です。

 

顔写真

(株)熊谷組 技術研究所音環境研究グループ
(工学博士)大脇部長

 

遮音乾式置床工法 

In the sound-absorptive dry-style placement method

 

防振システムネダと特殊防振支持脚を採用した置床工法で、振動を吸収し、音響性能を悪 化させることなく壁際の沈み込み量を1mm程度におさえることができる。重量床衝撃音レベルは裸床と同等の性能を有し、軽量床衝撃音レベルはL-45(日本建築学会の規定 している床衝撃音レベルに関する適用等級で1級)の性能を有している。

遮音乾式置床工法遮音乾式置床工法

 

●本技術は信州大学工学部社会開発工学科山下恭弘教授の指導により開発したものです

遮音乾式置床工法

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