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音環境の世界

住まいの「音」への関心が生んだ音創シミュレーター

 

心地よい音、人を不快にさせる騒音。今、私たちの日常を様々な音が取り巻いている。

そんな中、音を知り音を活かす研究や技術が注目されている。

いくつかの取り組みの向こうに見えるより豊かな音環境とは何かを考えてみた。

音創シミュレーター

人の暮らしの回りには音はつきもの。それは江戸時代の町人長屋も現代のマンションも同じで、子供の騒ぐ声もあれば床の響く音もあるだろう。ただ現代では、車の騒音など外部から否応なしに生活に入り込んでくる。また住人同士のコミュニケーションが希薄になった分、お互いの生活音に対する受け止め方は様変わりを見せているようだ。

テレビでの野球観戦。夢中になる余り、ついボリュームを大きくしてしまっても気づきにくいもの。そんな住人が隣の部屋から漏れ聞こえるピアノの音に過敏になり、「静かにしろ」と怒鳴り込む。現代のマンションでのワンシーンである。自分では心地良い音であっても、立場を変えれば不快な音。事態がエスカレートすると訴訟問題にもなりかねず、このようなトラブルが、いつ我が身に降りかからないという保証もない。音を完全にシャットアウトすることは不可能だからこそ、私たちは今、音との付き合い方を問われているのだ。

このような背景を反映して、住宅の基本性能である遮音性や耐震性、火災安全性ほか7項目でランク付け表示を求める「住宅品質確保促進制度」の導入が平成12年に予定されている。これをきっかけに、騒音に対する関心が今以上にに高まりそうだ。特に遮音性能については、マンションを購入する前に、騒音の程度がどれくらいかを知る確かな判断材料が欲しくなる。

音創シミュレーター

マンションの騒音の程度は、音の種類によってD-50とかL-45など専門家にしかなじみのない数値がカタログに並ぶ。モデルルームで説明を聞いても、実際の音がどんなものかを理解することはできなかった。さらに音の感じ方は人によって千差万別。マンション騒音に関するトラブルを防ぐひとつの手だてとして、お互いの出す「音」をあらかじめ体感できる仕組みが望まれていたのだ。

住環境を取り巻く騒音への関心は高まるばかり。そんな時代の流れを先取りするように、5年ほど前から熊谷組の技術研究所音環境研究グループ部長である大脇雅直氏と、信州大学工学部社会開発工学科山下恭弘教授が中心になって、あるプロジェクトが進められていた。マンション購入前に騒音と体験できる装置「音創シミュレーター」の開発である。

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