プレスリリース

空調室外機の強風による転倒・浮き上がり防止技術を開発

平成25年3月21日

集合住宅のバルコニー床に設置する空調室外機の強風による転倒・浮き上がりを防止する技術を開発

 株式会社熊谷組(取締役社長 大田弘、本社:東京都新宿区津久戸町2-1)は、集合住宅のバルコニー床に設置する空調室外機の風による挙動をコンピューターシミュレーションと風洞実験により詳細に把握し、強風による転倒・浮き上がりを効果的に防止する手法を提案しましたのでお知らせいたします。

1.背景

 集合住宅の高層階では強風が日常的に吹くことも想定されるため、外装材の飛散・落下は地上における通行人への被害につながる危険性が考えられ、充分な対策が講じられています。
 しかし、集合住宅のバルコニー床に設置される空調室外機は、床に固定せずに床置きされている場合があります。特に、集合住宅の隅角部付近は、建物自身の影響によりバルコニー内に吹く風が強くなる傾向があります。
 そこで、バルコニー床に設置される空調室外機の風による挙動を詳細に把握し、転倒・浮き上がりの現象を効果的に抑制できる手法の提案、およびバルコニー内の風の性状を把握し、室外機の設置対策を行う範囲について検討しました。

 


2.開発概要

2.1 エアコン室外機の風による挙動の把握
 風洞実験によりエアコン室外機の風による挙動を写真2.1.2~2.1.4に示すように詳細に把握し、室外機の転倒・浮き上がりの原因を特定しました。

エアコン室外機設置状況 実験風向

 


①正面から風を受ける場合
 ・室外機は配管側が重いため、配管側を中心として風下側に回転し始めます。
 ・室外機は風向きにほぼ平行になるまで回転し、そのまま風下側にスライドします。
 ・室外機につながっている配管が伸びきると、架台が浮き上がり転倒します。
 ・風速が高くなるにつれて室外機に浮力が作用し持ち上がってきます。

エアコン室外機の風による挙動(風向;正面)

 


②側面(重量の軽いファン側)から風を受ける場合
 ・室外機が風下側に滑り始め、配管が伸びきるまでスライドします。
 ・配管が伸びきると、配管側を中心として風下側に回転し、回転の勢いで転倒します。
 ・室外機に浮力が作用し持ち上がってきます。

エアコン室外機の風による挙動(風向;側面/ファン側)

 


③側面(重量の重い配管側)から風を受ける場合
 ・室外機が風下側に滑り始め、配管が伸びきるまでスライドします。
 ・配管が伸びきった状態でさらに風下側にスライドするため、配管側が浮き上がり転倒します。
 ・実験ではスライドし始める平均風速は28m/sぐらいとなり、重量の軽いファン側から風を受ける場合に比べてスライドし始める平均風速が高いことがわかります。

エアコン室外機の風による挙動(風向;側面/配管側)

 


2.2 室外機の転倒・浮き上がり防止対策例
 実験結果から、どの風向きでも配管が伸びきった状態になると室外機が転倒し、さらに風速が強くなると室外機に浮力が作用し持ち上がってくることがわかりました。室外機配管は壁面に沿って取り付けられ、配管カバーによって固定されますが、風洞実験結果からわかるように室外機が回転やスライドすることにより配管が引っ張られ、カバーが外れることも十分考えられます。
よって、室外機の転倒・浮き上がり防止対策としては、図2.2.1に示すように室外機配管側が動かないように、ステンレスワイヤーロープ等の一端を配管側据付台などに固定し、他端をバルコニー外壁に固定するなどの例が挙げられます。

室外機の転倒・浮き上がり防止対策

      


2.3 バルコニー内における風の性状把握
コンピューターシミュレーションにより高層集合住宅におけるバルコニー内の風の性状(風向・風速)を把握し、室外機をバルコニー床に設置する場合に転倒・浮き上がり防止を配慮すべき範囲を設定しました。

 

 

①バルコニー立ち上がり;コンクリート/ガラスパネル(解析モデル1)
 ・バルコニー立ち上がりにコンクリートやガラスパネルを採用する場合、バルコニー床面上を風が吹き抜けにくい状態です。しかし、隅角部を回るバルコニー部分では、低層階~高層階まで各階の他の場所のバルコニー内に比べて風の強さが強くなる(風速比0.5~1.1の範囲)傾向があります。

風速比コンターベクトル図(バルコニー立ち上がり;コンクリート/ガラスパネル想定)

 

 

②バルコニー立ち上がり;格子手摺(解析モデル2)
 ・バルコニー立ち上がりに格子手摺を採用している場合、バルコニー床面上を風が吹き抜けやすい状態です。よって、バルコニーのタイプ(隅角部を回る場合も回らない場合も)に関わらず隅角部付近では低層階~高層階まで各階の他の場所のバルコニー内に比べて風の強さが強くなる傾向があります。
 ・隅角部を回る部分のバルコニーの風の強さ(風速比0.5~1.1の範囲)は、隅角部を回らないバルコニーの強さ(風速比0.5~0.9の範囲)に比べて強くなる傾向があります。

風速比コンターベクトル図(バルコニー立ち上がり;格子手摺想定)

 

 

2.4 室外機の転倒・浮き上がり防止策を考慮すべき範囲
シミュレーション結果を踏まえ、バルコニー内で風が強くなりやすいと予測される場所は、建物低層階~高層階の以下の範囲(斜線部分)であることがわかりました。

<立ち上がり;コンクリート/ガラスパネル想定>    <立ち上がり;格子手摺想定>


     

3.今後の展開

 エアコン室外機の風による挙動を把握し、転倒・浮き上がりの現象を効果的に抑制できる手法の提案及び、バルコニー内の風の性状を把握し、風による室外機の挙動を考慮して対策を検討すべき範囲を示しました。今後、集合住宅における安全・安心を提供できるリニューアルへの対応ツールとして設計事務所やデベロッパーに積極的に提案していく予定です。

 


以上

 

 

 

 

[お問い合わせ先]
[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  広報室
室長:手島 眞之
担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  技術研究所 
副所長:大脇 雅直
風環境研究グループ
担当:鰐渕 憲昭  (電話03-3235-8722)
[設計に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  設計本部 
副本部長:飯田 宏
担当:設計第2部 坂本 博登  (電話03-3235-7746)
 
 

BACK
PAGE TOP