プレスリリース

技術研究所本館に緑のカーテンを育成 ~暑熱環境の緩和、癒しの場の提供に貢献~

平成24年10月2日

技術研究所本館に緑のカーテンを育成
~暑熱環境の緩和、癒しの場の提供に貢献~

 株式会社熊谷組(本社:新宿区 取締役社長:大田弘)は、当社技術研究所(茨城県つくば市)の本館に、つる性植物による壁面緑化(緑のカーテン)を設置、育成しました。建築物内外の利用者に対しての西日対策、暑熱環境の緩和、癒しの場の提供を含め、環境に対する取り組みの一つとして実施したものです。
この緑のカーテンの設置、育成を通じて、カーテンの形状の違いによる生育差異の調査、早期育成方法の検討、温熱環境の調査等を実施し、技術的なデータの収集、蓄積を図ることにより、環境負荷低減に寄与する建築物の提案、設計に関する技術メニューの一つとして展開していきたいと考えています。

1.背景

  近年、建物内外における暑熱環境の改善効果、植物の緑を鑑賞する楽しみ、植物によっては実の収穫の楽しみ、環境教育への活用、エコに対する取り組みの内外へのアピール性などの点から、つる性植物による壁面緑化(通称、緑のカーテン)が注目され、夏季においては一般家庭の住居、学校、庁舎、事業所、建設現場などで自主的な緑化として広く取り組まれてきています。国交省調査によると2011年度は全国の約8割の都道府県内、9割の政令市において「緑のカーテン」への取り組みが実施されています。
緑のカーテンは、一般には夏場のあいだのみ、屋外の窓際にネットを垂直に張り、地植え又はプランターにより植物を生育させ、ツルをネットに絡ませて植物を上方に向かって生育させることで、ネットの全平面にわたって葉を密に生い茂らせ陽を遮ることのできるカーテン形状とするものです。使われる植物の種類としては、ゴーヤ、アサガオ(琉球アサガオ、西洋アサガオ)、キュウリ、フウセンカズラなどが挙げられます。真夏の直射日光を遮り建物内外の暑さを緩和することのほか、地域にこの緑のカーテンの取り組みの輪が広がり地域全体に緑が増えることで、特に都市部でのヒートアイランド現象の緩和への貢献も期待されます。
一方、弊社では今年度技術研究所節電目標が平成22年度比削減率30%と示され、節電の取り組みが求められているなかで、日射の遮蔽による冷房負荷の低減についても期待されていました。
  そこで、環境配慮への積極的な取り組みを行うとともに、夏季の熱負荷を抑制し、節電に寄与することもねらいとして、緑のカーテンを技術研究所本館壁面に設置/育成し、その効果の検証を行いました。

 

 全体風景 右からカーテンA、B、Cの順 (左:正面より 右:右側より)

 

 

2.実施概要

 今回、緑のカーテンを育成した場所は弊社技術研究所本館の西面にあたり、職員/業者用の駐車場(一部芝生)に面し、ここには当該者が出入りに利用する通用口と屋外通路があります。この場所は夏場の西日を遮るものがなく、出社・退社・納品時等に出入りをする利用者にとっては、厳しい暑熱環境にあります。また、西外壁に面しては室内に居室があります。そこでこの屋外通路と通用口の利用者に日影をもたらし、また、室内についても熱の流入を抑え冷房負荷を低減させることを主目的として、実施箇所の特徴に応じた3つの異なるタイプ(形状)の緑のカーテンを育成しました。
実施した緑のカーテンは、カーテンA(傾斜型)、カーテンB(門型)、カーテンC (垂直型)の3種類です。使用した植物は生長が旺盛で早期な被覆や秋季まで長期にわたる花の鑑賞とが期待できる琉球アサガオ(3種類)を中心として、一部西洋アサガオ(2種類)、ゴーヤ(1種類)を用いました。植物の生長に良否が生じても全てが不良となってしまわないように、同一の植物でなく複数の植物種を用い、植え方(株数)にも変化をつけました。植栽基盤は市販のプランター及び市販のネット(目合い10cm)を用いています。 

   【緑のカーテン概要】
   ・植    物: 琉球アサガオ、西洋アサガオ(一部)、ゴーヤ(一部)
   ・植栽基盤 : プランター、ネット(目合い10cm)
   ・規    模: カーテンA: ネット幅7.2m×高さ11m(傾斜型)
             カーテンB: ネット幅5m×高さ9m(門型)
             カーテンC: ネット幅7.2m×高さ9m(垂直型)
   ・育成期間 : 平成24年6月~継続中(予定12月まで)

 

3.3種のカーテンのコンセプトと特徴

・カーテンA:(傾斜型)
 外壁の前側に屋外通路を挟んで芝生がある場所に実施したものです。この芝生部分にプランターを置き、地面に対し傾斜して屋上までネットを渡しかけることで、ただ垂直に壁面を覆うだけの緑のカーテンではなく、外壁面と緑のカーテンとの間に空間を確保し、通行者が直射日光を避けて歩くことができるようなものを目指しました。地面とのなす角はおよそ65°の勾配です。
・カーテンB:(門型)
  駐車場から通用口への人の動線上に実施したものです。ネットは通行の邪魔にならないよう高さ2mより上側に設置し、両脇は地面に置いたプランターからロープ数本を垂直にネットまで張り渡すことで植物のツルが当該ロープを伝って上部のネットに達するようにし、そこで横方向に誘引することで全体として門型形状の緑のカーテンの実現を目指しました。
・カーテンC(垂直型)
  上部に天井がある(つまり、ピロティ状となっている)屋外通路の西側に、地上から2階を経て屋上にかけて鉛直に設置したものです。この屋外通路は西日を直接に受け、夏場には非常に暑い場所となっていました。そのため、1階の屋外通路に日影をもたらし、2階の窓側にも日陰をもたらすカーテンを目指しました。



4.効果

 カーテンCを用いて行った熱電対による温度測定例を示します。
屋外通路上で、緑のカーテンの葉陰付近(緑のカーテン「あり」)と、緑のカーテンを設置していない場所(緑のカーテン「なし」)の高さ1.5mの気中温度は「あり」のほうが「なし」より最大で4℃程度低くなっています(下記①)。
高さ5mの外壁面の温度は緑のカーテン「あり」のほうが「なし」より最大で10℃程度低くなっています(下記②)。2階の窓の室内側での気中温度は緑のカーテン「あり」のほうが「なし」より最大で6℃程度低くなっています(下記③)。これらは、測定している地点が生育初期で葉で覆われる前にはその差がほとんどみられないため、生育後に葉で覆われたことによる温度低減効果といえます。


①屋外気中温度測定例


          8月1日(葉に覆われている状況)

 

②外壁面温度測定例

        8月31日(葉に覆われた後)

 

③室内側気中温度測定例

         8月31日(葉に覆われている最中)

 

 

5.今後の展開

 今回、技術研究所本館に緑のカーテンを育成し、西日対策として有効にはたらき、所員らに対する暑熱環境の改善に寄与することができました。今後は環境負荷低減に寄与する建物に関する技術メニューの一つとして展開していくとともに、カーテン形状や生育の仕方に工夫を加えた新たな緑のカーテンを提案できればと考えています。



以上

 

[お問い合わせ先]
[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  広報室
室長:手島 眞之
担当:小坂田 泰宏 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  技術研究所 地球環境研究グループ
グループ部長:佐々木 静郎
担当:村上 順也(電話:029-847-7505)


BACK
PAGE TOP