プレスリリース

鉄道用架線金具の風騒音防止技術を開発!

平成22年9月16日

鉄道用架線金具の風騒音防止技術を開発!

  株式会社熊谷組(取締役社長 大田 弘、本社:東京都新宿区)は、株式会社メイエレック(代表取締役社長 安藤 和史、本社:名古屋市)と、鉄道の架線を支持する金具の風騒音を防止する技術を開発しましたのでお知らせいたします。架線金具で発生する風騒音の原因を風洞実験による詳細な調査及び検討によって特定し、その防止技術を開発しました。本技術を用いることにより架線金具の風騒音を効果的に防止することが可能になりました。今後、本技術を営業ツールとして活用し、鉄道事業者などに積極的に提案していく予定です。

1.背 景

 

 近年、鉄道の架線金具には材料強度や意匠性などの理由から鋼管が採用される場合が増えてきています。
架線金具では鋼管周壁にボルト穴やメッキ穴が空いているため、風が吹くと、風向きによっては穴部分で風騒音が生じる場合があります。特に郊外など日常的に暗騒音レベルが低い地域では発生音がかなり遠方まで聞こえる可能性があるため、十分な対策を検討しなければなりません。風騒音を防ぐためには、鋼管穴を塞ぐなどの対策も考えられますが、内部に溜まった雨水や結露水を排出するために機能上水抜き穴を残しておく必要があります。そこで、これらの点を考慮して鉄道の架線金具などに使用される鋼管の風騒音対策技術を開発しました。


 

  写真-1 鉄道架線

2.開発概要

 

 

 鉄道の架線金具に使用される鋼管を風洞内に設置して風洞実験による詳細な調査及び検討を実施しました。さらに数値シミュレーションによる鋼管穴周辺の気流性状を把握することによって架線金具などに使用される鋼管から生じる風騒音発生メカニズムを把握して発生原因を特定し、その防止技術を開発しました。本技術を用いることにより鋼管の風騒音を効果的に防止することが可能になりました。なお、本技術は特許出願中です。
本開発技術の特徴を以下に示します。
(1)鋼管周壁から生じる風騒音発生メカニズムを詳細に把握し、風騒音発生原因を特定
    ・風洞実験による風騒音発生状況の把握
    ・数値シミュレーションによる鋼管穴周辺の気流性状の把握
(2)効果的に風騒音を防止する技術の開発
    ・風洞実験及び数値シミュレーションによる防止技術の開発及び検証  

写真-2 鉄道用架線金具試験体(全体)       写真-3 風騒音防止対策状況      

(1)風騒音発生メカニズムの把握(図-1;<風騒音の発生原因>)
    ・風洞実験や数値シミュレーションを行い、風騒音の発生メカニズムを把握しました。
     鋼管周壁に沿って流れた風が鋼管穴の風上端部で剥離して風下端部にぶつかり、
     穴内側に入ったり入らなかったりを繰り返す。この気流の周期的振動が音として発生し、
     さらに鋼管内部で共鳴することによって「ピー」、「ポー」といった大きな風騒音が
     発生することを確認しました。

(2)効果的な風騒音防止技術の開発(図-1;<低減対策>)
    ・鋼管穴周囲にリング状突起を取り付けて、突起風上側で気流を剥離させ、穴を飛び
     越すような流れ(実線)を起こし、鋼管内に気流が入りにくいように考案しました。
    ・さらに、リング状突起内側に段差部分を設け、一部リング内側に入ってきた流れ(点線)
     をこの段差部分でせき止めて流れの方向を変化させ、鋼管内で流れが広がらないよう
     に考案しました。

 

                             

図-1 風騒音の発生原因及び低減対策

<風洞実験における風騒音低減効果>

図-2は無対策と対策仕様の鋼管から発生した騒音を比較した結果(相対音圧レベル)を示しています。実験結果より対策仕様では300~1kHz帯域において効果的に音圧レベルを低減できることが分かりました。なお、対策仕様では、全方向(風向角0°~90°)で聴感上、風速15m/sの範囲で風騒音が発生しないことを確認しています。


 

 

図-2 風洞実験による風騒音測定結果(風速9m/s)

<数値シミュレーションによる鋼管内部における気流性状把握>

鋼管内の流れの様子を図-3に示します。無対策では、左右の穴から管内に交互に気流が流入し、管内部で流れが広がり、共鳴現象が起きています。一方、対策仕様では、リング状突起を穴周囲に取り付けることによって、左右の穴から管内に流入した一部気流は、管内部で流れが広がらず、対向する穴から流出するため、管内で共鳴現象は発生しません。

 

図-3 鋼管内の流れの様子

 

3.今後の展開

 従来、鉄道営業線では困難であった架線金具で発生する風騒音の発生源を特定し、風騒音対策を効果的に実施する技術を開発しました。
 今後、設計事務所や鉄道事業者に本技術を積極的に提案していく予定です。

 


[お問い合わせ先]
[本リリースに関するお問い合わせ先]
  株式会社熊谷組 広報室
室長 藤島 幸雄
担当 石賀 慎一郎 (電話03-3235-8155)

[技術に関する問い合わせ先]
  株式会社 熊谷組  技術研究所
副所長(兼)都市・居住環境研究部    部長:大脇 雅直
音環境研究グループ            担当:近藤 誠一
風環境研究グループ            担当:鰐淵 憲昭(電話03-3235-8617)
[技術に関する問い合わせ先]
  株式会社メイエレック 設計部       部長:伊藤 明彦
                           担当:祖父江 猛 (電話052-678-1774)

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