プレスリリース

集合住宅において床仕上げ材を含めた床衝撃音レベルの予測法を開発

平成21年9月30日

集合住宅において床仕上げ材(乾式二重床)を含めた床衝撃音レベルの予測法を開発

株式会社熊谷組(取締役社長 大田弘 本社:東京都新宿区)は山下恭弘信州大学名誉教授の指導のもと、集合住宅において床仕上げ材である乾式二重床を含めた床衝撃音レベルの予測法を開発しましたのでお知らせします。

1.はじめに

 集合住宅の設計に際して,建物竣工時の床衝撃音遮断性能や乾式二重床の床衝撃音低減性能の目標値をデベロッパーや設計者から提示されるケースが増えてきています。建物竣工時の床衝撃音遮断性能を決定する要因としてはスラブ厚や居室面積,建物工法などの躯体条件のほか,各種内装仕様が影響することが知られています。特に,近年の集合住宅においては,バリアフリー,セレクトプランやスケルトンインフィルに対応するため,床仕上げ工法として乾式二重床を採用する場合が増えてきています。
  従来から床衝撃音レベルの予測はスラブ素面に対して行われています。しかし,建物竣工時の床衝撃音遮断性能を決定する要因としては床仕上げ構造による影響が大きく,予測の際にその影響を考慮する必要があります。
乾式二重床のカタログ値(床衝撃音低減量)は実験室における値であるため,重量衝撃源に関しては竣工時の値とは異なることが知られています。従来,乾式二重床仕上げの場合,乾式二重床の構造が複雑であり計算で求めることが難しいため,スラブ素面の予測計算結果から経験的に予測してきました。
今回開発した予測法は,これらの課題を解決するために,予測値と実測値を統計的に処理することによって,集合住宅において乾式二重床の床衝撃音レベルの予測計算が可能となりました。

2.開発した予測法について

 乾式二重床NSフロアーⅢについて予測法を開発いたしました。この乾式二重床の床衝撃音低減性能の仕様はΔLH(Ⅱ)‐2,ΔLL(Ⅱ)‐3です。

① 軽量床衝撃音
軽量床衝撃音レベルの予測は,スラブ素面の軽量床衝撃音レベルの予測結果から乾式二重床の床衝撃音レベル低減量を差し引くことによって予測が可能となりました。

② 重量床衝撃音
  重量床衝撃音レベルの予測は,スラブ素面の予測計算結果と竣工時に測定を行った居室の差を求め,統計的に処理し,乾式二重床の床衝撃音低減量の相当するパラメーターを決定しました。
  乾式二重床上を打撃すると,乾式二重床上を振動が伝わり各支持脚に伝搬し,それぞれの支持脚からスラブへ伝搬していきます。そのため,スラブ素面における打振点位置で梁の拘束を強く受ける場合においても,乾式二重床が施工されている場合,エネルギーが分散され,梁の拘束の影響が小さくなることがわかりました。

乾式二重床上を伝搬する打撃エネルギーの伝搬経路

 

 

図1 乾式二重床上を伝搬する打撃エネルギーの伝搬経路

 打振点毎に梁の影響を検討したところ,インピーダンスレベル上昇量の計算値(スラブ素面)が大きい打振点において予測値と実測値の値が乖離する傾向があることがわかりました。これらの傾向から予測に必要なパラメーターを決定しました。
このパラメーターを乾式二重床が施工された場合の補正値として,スラブ素面の打振点毎に予測された値に与え,乾式二重床を含めた重量床衝撃音レベルの予測計算が可能となりました。

3.実測値と予測値の対応

 5棟24室のデータについて床衝撃音遮断性能の実測値と予測値の差を求めました。軽量床衝撃音遮断性能の平均値は0.3,標準偏差は2.0,重量床衝撃音遮断性能の平均値は-0.3,標準偏差は2.3と非常に精度良く予測できることがわかります。

 床衝撃音遮断性能 差(実測値-予測値)の分布


           (a)軽量床衝撃音                    (b)重量床衝撃音

4.今後の展開

 集合住宅において床仕上げ材である乾式二重床を含めた床衝撃音レベルの予測法を開発しました。さらにデータを収集し,いろいろな乾式二重床に対しても適用できるようにデータベースを作っていく予定でおります。今後,集合住宅においてより良い音環境を提供するためのツールとしてデベロッパーや設計事務所等に積極的に提案していく予定です。

 

[お問い合わせ先]
[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  広報室
室長:藤島 幸雄
担当:石賀 慎一郎 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 技術研究所 副所長(兼)都市・居住環境研究部 音環境研究グループ  
部長:大脇 雅直
担当:黒木 拓 (電話03-3235-8724)
 
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