プレスリリース

原位置オプト・バイオ土壌浄化システムを開発

平成20年6月23日

原位置オプト・バイオ土壌浄化システムを開発

立命館大学(理工学部:滋賀県草津市 学長:川口清史)および株式会社熊谷組(本社:新宿区 取締役社長:大田弘)、星和電機株式会社(本社:京都府城陽市 取締役社長:増山晃章)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「大学発事業創出実用化研究開発事業」による助成のもと、原位置での微生物による土壌浄化の基本システムを開発しました。
同共同研究グループは、平成18年度から本プロジェクトをスタートし、昨年度までの2年間で光(LED)照射による石油分解菌の活性化や遺伝子解析による微生物の定量化技術、地盤中での油汚染の挙動やシミュレーション解析などの基礎技術をもとに、建屋下への自在削孔技術と地盤中への菌体の的確な注入技術を組み合わせた原位置オプト・バイオ土壌浄化システムの基本システムを構築しました。本年3月にはNEDOの中間評価を受け、最終年度への研究継続も決定した。今年度中に全体システムを完成させ、次年度以降実用化へ向けての最終段階に入る予定です。

1.背景

 油汚染対策として汚染土壌の掘削・置換がよく用いられていますが、操業中の工場の建屋下などでは掘削が不可能なケースも多く、掘削することなく汚染された地盤中の原位置における汚染対策技術が求められています。また、油汚染では微生物を用いたバイオレメディエーションの活用が増えていますが、処理に要する時間が長い、土壌中で分解微生物がどのように働いているかの挙動や活性状態が不明である、などの問題点が多く指摘されています。

2.概要

 本プロジェクトでは光(LED)による微生物活性化や遺伝子解析技術による微生物の定量化技術を組み合わせた高効率なバイオレメディエーションを開発し、さらに汚染拡散シミュレーションや地盤中での自在削孔技術、二重管による注入・回収システムなどの土木技術を融合させることにより、工場直下などでの原位置浄化が可能となるオプト・バイオ土壌浄化システムを目指して、開発に着手しました。原位置浄化工法は米国でも年々採用割合が増えており、今後わが国でもそのニーズがますます増加すると思われます。成果の適用先は製造工場のほか、製油所・油槽所、ガソリンスタンド、空港などが想定されます。

原位置オプト・バイオ土壌浄化システム

 研究は3つのプロジェクトで進め、それぞれ①バイオレメディエーション技術の高度化(立命館大学、星和電機)、②バイオレメディエーションのためのシミュレーション技術の開発(立命館大学、熊谷組)、③原位置バイオレメディエーションのシステム化(熊谷組、立命館大学)を担当しました。
① バイオレメディエーション技術の高度化
石油分解菌の特異的・定量的な検出方法として、すでに構築しているe-DNAによる土壌中の総菌数検出技術をさらに発展させ、e-DNAを用いた石油分解菌のみの検出技術(real-time PCR手法)の構築に成功しました。石油分解菌のライブラリーの構築として、既存の分解菌のほか、新規に分離した石油分解菌、合計61菌株について、油の種類・成分ごとに分解性能や増殖能、微生物分類を解析しライブラリーを完成させました。光(LED)照射による石油分解菌の活性化については、まず光波長の違いによる増殖能への影響を調べ、特定の波長において石油分解菌の生育向上を確認しました。次に、光(LED)の直接照射による石油汚染土壌の分解活性を調べた結果、やはり特定の波長において20~30%の分解率向上を確認しました。なお、使用する石油分解菌の安全性評価の調査を行い、人体への安全性を動物試験により確認しました。現在、環境安全性として土壌中の微生物に与える影響について、上記のe-DNAやreal-time PCRを活用した解析手法により試験中です。
② バイオレメディエーションのためのシミュレーション技術の開発
シミュレーション技術として、油汚染源探査のためのシミュレーション、菌体注入条件の最適化のためのシミュレーション、原位置バイオレメディエーションの浄化予測のためのシミュレーションモデルを構築しました。また、油汚染の分布把握のためのモニタリング手法として電気探査法の優位性を確認し、土槽実験結果とシミュレーション結果の整合性の検証に活用しました。現実的なシミュレーションモデルを目指して、現在大型土槽実験にて検証中です。
③ 原位置バイオレメディエーションのシステム化
自在削孔技術に関しては、既存技術をベースにシステムの改良を施し、微生物の地盤中への注入や回収が可能となるような二重管の設計・試作とともに自在削孔システムを構築しました。また、カラム実験により飽和土壌中での油の生物分解効果を把握しました。各要素技術の検討後、熊谷組のつくば技術研究所においてフィールド実験を実施し性能検証を行いました。フィールド実験の結果、GL-5mの位置で自在削孔を行い、深さ方向・水平方向とも約30cmの精度で削孔できることを確認しました。削孔後の二重管の敷設、二重管からの地盤中への微生物の注入を行い、所定の位置で的確に注入できることを確認しました。

3.今後の展開

 本プロジェクトでは光(LED)による微生物活性化や遺伝子解析技術による微生物の定量化技術を組み合わせた高効率なバイオレメディエーションを開発し、さらに汚染拡散シミュレーションや地盤中での自在削孔技術、二重管による注入・回収システムなどの土木技術を融合させることにより、工場直下などでの原位置浄化が可能となるオプト・バイオ土壌浄化システムを目指して、開発に着手しました。原位置浄化工法は米国でも年々採用割合が増えており、今後わが国でもそのニーズがますます増加すると思われます。成果の適用先は製造工場のほか、製油所・油槽所、ガソリンスタンド、空港などが想定されます。


[お問い合わせ先]
立命館大学
広報課 課長補佐 山本 倫慶(電話075-813-8300)
 
株式会社 熊谷組    
広報室 室長 藤島 幸雄
担当 石賀 慎一郎 (電話03-3235-8155)
技術研究所 地球環境研究部 部長 門倉 伸行(電話03-3235-8617)
 
星和電機株式会社
経営企画グループ 担当 木谷 禎作(電話0774-55-8181)
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