プレスリリース

情報化施工に基づく無人化施工の実施について

平成18年12月20日

情報化施工に基づく無人化施工の実施について
-無人情報化施工システムの完成-

株式会社熊谷組(取締役社長:大田弘 本社:東京都新宿区)は、国土交通省 九州地方整備局発注の赤松谷川1号床固工工事において、無人化施工でブルドーザ排土板制御システムを国内で初めて導入し、その効果を実証しました。またGPSによる無人測量システムを開発し、警戒区域内の測量を全て無人建設機械により実施しました。3次元バックホウ誘導システムの導入により3次元CADデータを元に丁張なしで施工しました。転圧管理システムとブルドーザ敷均し管理システムをあわせて、無人化施工砂防堰堤工事の主要な工種全てにおいて、情報化施工による無人化施工を実施しました。無人化施工では排土板の自動制御の本格運用は初めてとなります。これにより、無人化施工全体に対する品質の向上と、施工管理に対するコストの低減などの成果をあげました。

導入成果
  • ●無人化施工主要工種で情報化施工(設計データによる施工指示等)により施工を行った。   
  • ●ブルドーザの排土板を自動で制御することが可能となり、無人化施工での敷き均し作業を約1.7倍に向上させた。
  • ●3DCADデータをそのまま作業指示に利用し、作業効率や信頼性を向上させた。
  • ●GPSを利用した無人測量システムで警戒区域内の測量を可能とした。
  • ●バックホウの施工時、丁張を設置しないで法面等の仕上げ作業が可能になった。
排土板制御システムの導入経緯

無人化施工ではこれまで排土板の管理は、レーザを用いたシステムを用いてきましたが、危険地域での設置作業が必要であり、表示が見にくいなどの問題がありました。また、操作そのものは遠隔操作であるため、移動カメラの位置や周囲の土砂型枠の高さなどを目標に施工していたため、仕上げに時間がかかっていました。また、オペレータの作業負担もかなり大きく、自動化が課題となっていました。

排土板制御システムの概要

ブルドーザの排土板の両端にGPS受信機を取り付け、排土板の位置を直接計測するシステムで、チルトセンサーと電磁バルブを組み合わせ、排土板の高さを自動で制御できます。高さはモニター画面に表示される他、LEDのランプ表示で高さレベルが表示できます。無人化施工では、LED(Lightbar)のデータをPHSを使って伝送し、遠隔操作室で表示しました。自動制御のON/OFFは建設機械側の制御信号を使って操作します。排土板の制御情報は事前に3DCADで生成したデータをCFカードで受け渡し、動作します。施工データはブルドーザの運転席天井部に取り付けたGPSにより常時計測します。その結果は、敷き均し管理システムでリアルタイムに表示、記録します。

排土板制御システムの概要

排土板制御システムの導入の効果

1. 品質の向上

  • ・敷き均し精度が上がることでコンクリート撒き出し厚が均一化することで転圧効果が一定となる。
  • ・仕上りの精度が向上
  • ・敷き均し時間の短縮により、コンクリートの品質が向上する。

2. 施工時間の短縮

  • ・排土板の自動制御で仕上げ時間が大幅に短縮できる。
  • ・敷き均しのための測量作業が必要ない。

3. オペレータの作業負担の軽減

  • ・排土板自動制御で目標に合わせる細かい作業がいらない。
  • ・無人化施工特有の精神的負担が減少する。

また、移動カメラの位置などこれまで設置に苦労した作業が簡単になるなど副次的効果がありました。

実績からの課題

これまで無人化施工では特に敷き均し作業が工程のネックとなることが多かった。敷き均し高さは通常は、目標となる丁張りを設置し、これに基づき施工しますが、無人化施工では移動カメラ車からの映像をたよりに施工するか、ブルドーザの車体に付けたGPSで高さを認識していました。熊谷組では無人化施工での敷き均し管理のためにレーザーレベルを用いた管理システムを導入していましたが、レベルの設置が困難でした。排土板の中央の高さだけを管理していたため、排土板が水平になっているかはカメラ映像から判断するしかなく、精度が悪く、昨年、長崎県での無人化施工でGPSによる排土板管理システムを導入しましたが、PC画面を無線で送るだけで制御まではいたりませんでした。しかし、そのレベルでも施工精度が向上するなど十分に成果がありましたが、オペレータの作業負担はあまり変わらず課題が残りました。

システムが解消した点

本システムでは、高さのレベルを操作室内でLED表示できるため、高さの視認性が向上しました。主に利用するモニターの周囲にLEDを設置するため、視線の移動が少なく、容易に高さの管理が可能です。

排土板の自動制御がボタンひとつで可能となったため、作業が中断せずに仕上げ作業が簡単に行えるようになりました。そのため、オペレータは仕上げ作業に容易に移行できるようにコンクリートの敷き均し作業を簡単にマネージメントすればよいため、作業負担が軽減されました。 敷き均し管理システムにより、データを収集することが容易になり、管理が容易にできるようになりました。

排土板制御システム 操作状況

排土板制御システム 操作状況

排土板制御システム 搭載ブルドーザ

排土板制御システム 搭載ブルドーザ

3次元バックホウ誘導システム
◇導入の背景
これまで無人化施工では丁張りの設置が施工精度悪化や効率低下の大きな原因となっていました。丁張替わりの鋼製フレームの設置やマーキングに多くの時間を必要とし、また施工途中の精度確認も困難でした。
◇システムの概要
バックホウの後方(カウンターウェイト上)に2台のGPSを設置し、バックホウ本体部に設置した傾斜センサーにより、バケット先端の位置を計測、表示するもので、運転席に設置したコントロールボックスに設計データとともにバケット位置をリアルタイムに表示します。コントロールボックスのディスプレイ表示を映像用無線で操作室まで伝送し、オペレータはモニター画面を見ながら設計ラインとバケットを比較して施工を行います。
◇システムの導入効果
1.事前の測量作業が要らない。
 →測量作業の負担軽減、工程短縮
2.設計データを確認しながらバケットを誘導できる。
 →オペレータの技量に関らず一定の出来形を確保
3.常時、設計と現況の確認が容易にできる。
 →施工中の確認、測量の時間短縮による工程の短縮(作業の中断がない)

3次元バックホウ誘導システム 操作状況

3次元バックホウ誘導システム 操作状況

3次元バックホウ誘導システム 施工状況

3次元バックホウ誘導システム 施工状況

無人測量システム
◇導入の背景
測量作業が困難である無人化施工では、これまで有人区域からトータルスティション(光波測量機)で見通しのある部分で行われていましたが、掘削が深い場合、測量が難しかった。また測量ポイントを現地にマーキングする作業が必要で、かつマーキングの位置を検査のために再度正確に計測することが求められていました。
◇システムの概要
無人化施工用パックホウの先端に設置した先端装置にGPSを設置し、水平を保ちながら、精度よくマーキングおよび測量チェックを行うシステムで、すべての操作を遠隔操縦でおこなうことが可能です。
1.マーキング装置
現地地盤へスプレーでマーキングする。
2.水平同調機構
装置先端部の水平度を保つ
3.視認カメラ機構
マーキング装置と同じ回転軸の対極に設置
4.地盤高計測機構
距離センサによりGPSの高さを計測

操作室に設置したPCに設計データとGPS位置をリアルタイムに表示します。コントロール用P Cのディスプレイ上に視認カメラ映像を表示、確認しながら装置を制御します。目標に近づいた ら、自動計測を行い、目標位置に合わせる。確認後、マーキング装置で現地地盤へスプレー でマーキングをおこないます。
◇システムの導入効果  
  • 1.今回の工事では、着工前測量やRCCコンクリート土砂型枠の測量、出来形確認測量等すべての測量に無人測量システムを使用しました。  
  • 2.GPSを利用した測量システム(GPS-RTK測量)を使用しているので、直視できない場所でも測量ができます。
  • 3.測量精度は、XY方向は±3cm程度、Z方向は±5cm程度です。《GPS測量と同等の精度》
  • 4.測量と同時にマーキングを行うことが可能で、マーキングした位置を真上からカメラで確認できるため、正確に測定ができます。

無人測量システム 操作状況

無人測量システム 操作状況

無人測量システム

無人測量システム

転圧管理システム

振動ローラーにGPSを搭載し、PHSを用いてGPS計測データをシステムPCに送信することにより、車両位置を測位し転圧工事をリアルタイムに管理するシステム     

  • ・このシステムを利用してRCCコンクリートの転圧を後戻りなく均一に(10回)転圧できる。
  • ・このシステムを利用して転圧記録の保存が可能。転圧回数を色別に表示、記録できる。
敷均し管理システム

ブルドーザの運転席上にGPSを搭載し、PHSを用いてGPS計測データをシステムPCに送信す ることにより、車両位置を測位しブルドーザの敷き均し作業をリアルタイムに管理するシステム。

  • ・このシステムを利用してRCCコンクリートの敷き均し状況を計測表示することがでる。
  • ・敷き均し高さを色別に表示、記録できる。
今後の展開

無人化施工での標準的なシステムとして、普及展開を行いたいと思います。また、通常の有人施工でも、大規模な造成工事やロックフィルダムなどへも積極的に展開し、情報化施工の具現化のツールとして技術を高めていきたいと考えています。

本システムの開発は新キャタピラー三菱株式会社・株式会社ニコン・トリンブルの協力を得て実現しました。

 

工事概要
工事件名:
赤松谷川1号床固工工事
発 注 者 :
国土交通省 九州地方整備局
工事場所:
長崎県南島原市深江町上大野木場地先
工   期:
平成18年2月10日~平成19年1月31日
工事概要:
床固本体工(重力式RCCコンクリート)
堤体積  16,680 m3
堤長:357.5m  堤高:14.5m
施工方法:
無人化施工(一部有人施工)
[お問い合わせ先]
[本リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  広報室
室長:藤島 幸雄
担当:石賀 慎一郎 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組   土木事業本部 機材部
部長:岩本 雄二郎
担当:北原 成郎 (電話03-3235-8627)
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