プレスリリース

バルコニーの風切り音防止技術を開発

平成17年11月15日

バルコニーの風切り音防止技術を開発!

株式会社 熊谷組(取締役社長 大田 弘)は、集合住宅のバルコニーの風切り音を防止する技術を開発しました。

本技術は、コンピューターシミュレーションと風洞実験結果から集合住宅のバルコニーの風切り音が発生しやすい個所を特定し、さらに風切り音が生じにくい手摺の開発を行いました。これらの技術により計画段階から既存建物のリニューアルまで幅広く、集合住宅のバルコニーの風切り音を防止することを可能にしました。今後、本技術をデベロッパーや設計事務所に積極的に提案していく予定です。

風洞実験写真

写真-1 風洞実験写真

手摺試験体

図-8 手摺試験体

 

1.背景

最近、顧客の要望や設計・施工の合理化などにより、集合住宅のバルコニーにアルミ製たて格子手摺(以下アルミ製手摺)が採用されるケースが増えてきています。また、集合住宅の高層化、臨海地域や眺望のよい高台での建設など日常的に風が強くなりやすい地域に計画される場合も増えてきています。一般的に建物周辺では風の流れが複雑に変化するため、建物部位によって風の強さや風向きも異なります。この風の特性が起因して、アルミ製手摺は格子が低風速(4~5m/sec)で振動する場合もあり、ブーン・ビーンといった耳障りな大きな音が生じます。この格子の振動に伴い、部材の疲労破壊、脚部コンクリートのひび割れ、固体音として躯体への伝搬など、建物完成後に入居者からのクレームにつながることが考えられます。

そこで、コンピューターシミュレーションと風洞実験結果から集合住宅のバルコニーの風切り音が発生しやすい個所を特定し、さらに風切り音が生じにくい手摺の開発および既存建物のリニューアルにも対応できる手摺の開発を行いました。これらの技術により計画段階から既存建物のリニューアルまで幅広く、集合住宅のバルコニーの風切り音を防止することを可能にしました。

2.概要

コンピューターシミュレーションにより集合住宅のさまざまな平面プランについてバルコニー近傍における風の性状(風向・風速)を詳細に予測して、各平面プランで風速が強くなる個所の特定およびその個所における風向特性の把握を行い、その結果をデータベース化しました。また、アルミ製手摺の風洞実験を実施して風向・風速の変化による手摺の風切り音発生の性状について調査し、発生メカニズムの把握を行いました。さらに風切り音が生じにくい手摺の開発および既存建物のリニューアルにも対応できる手摺の開発を行いました。これらの技術により計画段階から既存建物のリニューアルまで幅広く、集合住宅のバルコニーの風切り音を防止することを可能にしました。本開発技術の特徴を以下に示します。   

  • (1)集合住宅のバルコニー風切り音が発生しやすい個所を特定しました。   
  • (2)風切り音が生じにくいアルミ製手摺仕様を考案しました。   
  • (3)既存建物のアルミ製手摺の風切り音防止リニューアル技術を開発しました。  

なお、風切り音が生じにくいアルミ製手摺仕様や風切り音防止リニューアル技術については特許出願中です。

3.今後の展開

今後は本技術をデベロッパーや設計事務所に積極的に提案していくと共に、自社で設計・施工する集合住宅に全国レベルで展開していく予定です。

開発技術について

(1)バルコニー風切り音の発生個所の特定

コンピューターシミュレーション結果

コンピューターシミュレーション結果から集合住宅の代表的な平面プランである長方形タイプの例について明らかになったことを以下に示します。

表-1 風速増加領域  *表をクリックすると大きく見られます(xlsファイル)

バルコニー側は、建物隅角部に風速増加領域が限定される。

風速増加領域

 

シミュレーションモデル1

シミュレーションモデル2

 

図-1 シミュレーションモデル

・バルコニー側は、建物隅角部に風速増加領域が限定される。

バルコニー隅角部の風向特性

図-2 バルコニー隅角部の風向特性(風向:180°)

・バルコニー隅角部の妻面付近では直角に近い風向きで風が吹き抜ける。

ルーフバルコニーにおける風速分布

図-3 ルーフバルコニーにおける風速分布 (風向:180°)

・ルーフバルコニーでは、手摺面に直角に近い風向きで吹き抜ける場所が生じる。

ルーフバルコニーにおける風向特性

図-4 ルーフバルコニーにおける風向特性(風向:180°)

風洞実験結果

風洞実験を行い結果の例を以下に示します。

手摺試験体

図-5 手摺試験体

表-2 試験体寸法一覧  *表をクリックすると大きく見られます(xlsファイル)

試験体寸法一覧

表-3 試験体の風切り音発生状況  *表をクリックすると大きく見られます(xlsファイル)

試験体の風切り音発生状況

  • ・実験結果(表-3)より、格子面に正面(0°)から風が吹き抜ける時に、風切り音が発生しやすい。
  • ・格子間隔が狭くなると、低風速(風速5m/s程度)で風切り音が生じる。

(2)風切り音が生じにくいアルミ製手摺仕様の考案

考案手摺の振動低減効果

図-7 考案手摺の振動低減効果

  • ・無対策の手摺は4~8m/s程度および15m/s以上の風速で大きな風切り音が発生した。
  • ・考案仕様(手摺格子の上端部に振動減衰効果のある緩衝材で栓をして塞ぎ、格子枠にビス止めをする)は風による振動の発生を防止することが出来、聴感上も風切り音が確認できなかった。

(3)既存建物のアルミ製手摺の風切り音防止リニューアル技術

リニューアル技術の効果

図-9 リニューアル技術の効果 (ビス止め有無)

リニューアル技術の効果

図-10 リニューアル技術の効果 (平板の取り付け位置)

  • ・格子と平板は、ビスなどにより強固に固定せず、振動減衰効果のある緩衝材で貼り合せる方法とすることにより格子の振動を大幅に低減させることが可能となる。(図-9)
  • ・平板の取付け位置は格子のできるだけ中央位置に取り付けることが格子の振動を低減させるのに効果的である。(図-10)
  • ・以上の結果から、リニューアル対応技術として振動を大幅に低減することができる取付け方法を開発いたしました。
[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組
[リリースに関するお問い合わせ先]
広報室
室長:藤島 幸雄
担当:石賀 慎一郎(電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
技術研究所 音環境研究グループ
部長:大脇 雅直
担当:近藤 誠一
担当:風環境研究グループ  鰐淵 憲昭 (電話03-3235-8724)
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