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焼却施設解体用のマルチ・バキュームシステムを共同開発
飛島建設、熊谷組
焼却施設解体用のマルチ・バキュームシステムを共同開発
焼却炉面の汚染付着物を効率的に除去し、洗浄後の廃水と除去物を90%以上回収
焼却施設の解体工事費を約10%コストダウン可能に
飛島建設(取締役社長・富松義晴)と熊谷組(取締役社長・鳥飼一俊)とは、焼却施設解体作業において、焼却炉等の壁面に付着した汚染物質を安全かつ効率的に除去できるマルチ・バキュームシステムを共同開発しました。
本システムは、超高圧ウォータージェットと機械的な表面研削の双方を備えた独自に開発した付着物除去装置にバキュームによる吸引システムを付加したもので、付着物の除去に高い性能を発揮すると共に、洗浄後の廃水や除去物を90%以上回収でき、様々な焼却炉や煙道等のプラント設備の解体に幅広く適用可能です。こうした効果により、焼却施設の解体工事費を約10%コストダウンできると試算しています。
開発の背景
ダイオキシン類に対する規制は「ダイオキシン類対策特別措置法」が2000年に施行され、2001年に厚生労働省により労働安全衛生規則の改正とともに「廃棄物焼却施設内作業におけるダイオキシン類暴露防止対策要綱」が策定され、解体作業時の安全性への要請が高まりました。その結果、焼却施設の解体コストが上昇したため、不適格な焼却炉などの撤去が進んでいないのが現状です。
自治体・公共関連の焼却炉から民間の小型焼却場まで含めると全国で1万炉以上が解体されない状況にあると推定され、今後10年間の市場規模は、約5,000億円と試算されています。
また、焼却施設の解体作業に先立って、ダイオキシン類等を洗浄除去することが必要ですが、現状では、手持ち式の高圧水ジェットにより作業を実施する方法が一般的です。ただ、このような方法では、洗浄水の飛散・ミスト発生による視界不良に伴う不安全作業、作業員の洗浄水からのダイキシン類暴露の危険性の増大、洗浄水の処理コストの増大、汚染物除去の不均一性などの問題が生じています。
これらの問題を解決し、解体工事費のコストダウンを図るために、両社のノウハウを活かし、安全で効率の高いマルチ・バキュームシステムの共同開発を実施しました。
開発したシステムの構成
- 1)全体システム(図―1)
・車輌搭載型としてユニット化されていることが大きな特徴です。 - 2)付着物除去装置(図―2)
・今回新たに開発した装置は、機械的な研削機構と超高圧ウォータージェットのノズルが同軸で回転する機構となっており、付着物を研削すると同時にウォータージェットによる除去が可 能となっている画期的な装置です。 - 3)付着物除去装置の移動装置(図―3)
・狭い炉内にも簡易に搬入、設置ができる。付着物除去装置がこの装置上を上下、左右にスライドできる機構となっているので、天井面、側面など様々な形状に対応できます。 - 4)廃水及び除去物の回収システム(図―4)
・ダイオキシン類汚染物は、除去作業中に装置内よりバキュームで吸引し廃水として回収します。
・回収した廃水(ダイオキシン類を含む)は、少量(50トン以下)の場合は、中間処理し処分します。多量(50トン以上)の場合は、現地の濁水処理設備を設けて処理し、脱水ケーキのみ中間処理し処分します。
炉内面を模擬した供試体での実証試験結果
焼却炉内を模擬した供試体を作成し、実証試験を実施した結果、以下のような利点が実証されました。
- 1)ウォータージェットによる除去と研削機構による除去を同時に行うことができ、従来行われていたワイヤーブラシを用いた除去作業、ピックハンマーを用いた作業、手持ち式の高圧水ジェットによる洗浄作業などに比べ、効率的な作業が可能となります。
- 2)付着物除去時の使用水量は、従来作業と比較し、1/5~1/10に低減でき、経済的、かつ、ダイオキシン類の飛散防止に効果的です。また、作業時には、ミストの発生がほとんどなく、作業員がダイオキシン類に直接暴露しないので、安全で確実な施工が可能です。
- 3)除去性能に関しては、従来行われているピックハンマーを使用したチッピング作業などと比較し、均一かつ正確に除去できます。
- 4)廃水や除去物を90%以上回収できます。
このような結果、汚染付着物の除去作業のコストを約30%削減できると試算しています。また、焼却施設の解体工事では、炉の形式、稼動年数、汚染状況にもよりますが、汚染付着物の除去作業の費用が全体の約30%を占めていますので、解体工事を約10%コストダウンできると試算しています。

装置設置状況

実験実施状況

実験後
今後の展開
今後、両社では本システムを焼却施設の解体工事に積極的に採用していく方針ですが、既に、今秋には、第1号の採用が決まっています。
【補足説明資料】
付着物除去装置の詳細(図―2)
炉表面に付着したクリンカー(焼却灰の溶着したもの)は硬化しているが、内部のレンガはもろい状態となっているので、まず、硬い表面は研削装置で切削し、同時に内部を(レンガの表面まで)複数のノズルを持つウォータージェットによって除去していく。
硬い表面を研削機構で壊しつつ、深さ方向には状況に応じてウォータージェットの圧力や流量を調整して所定の深さまで除去してゆき、レンガ表面が現れたところで終了する。洗浄、研削の両機構を同時に使用する場合以外にも、研削機構だけを使用したり、またウォータージェットだけで洗浄していくことも可能であり、種々の汚染状況にフレキシブルに対応できる。
マルチ・バキュームシステムの特徴
| 各機能 | 特 徴 | 今後の展開 | 特許関係 |
| 付着物除去システム | 超高圧水による除去と研削機構による除去が同時に行うことができ、従来の1/5~1/10の使用水量で、種々の付着物除去に対応できる。 |
今秋、一般炉解体に適用を予定している。 | 本年3月、熊谷、飛島共同で特許を申請ずみ。 |
| 回収システム | バキューム方式で、除去施工と同時に90%以上の回収率で回収でき、ミストの飛散がほとんどない。 |
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| 移動機構 | 狭い炉内にも簡便に装置を設置でき、天井面、側面など種々の形状に対応できる。 |
開発組織・体制
| リーダー: | 時岡 誠剛 | (熊谷組技術研究所) |
| サブリーダー: | 田中 松男 | (飛島建設土木本部) |
| メンバー: | 沼口 栄助 | ( 〃 ) |
| 中西 勉 | (熊谷組土木事業本部) | |
| 小野寺 敏夫 | (飛島建設建築本部) | |
| 川上 正男 | ( 〃 ) | |
| 桜井 重英 | (熊谷組建築事業本部) | |
| 遠藤 登史光 | ( 〃 ) | |
| メーカー: | (株)スギノマシン | |
| WJ専門業者: | (株)アシレ |


