プレスリリース

サイレントスラブプレストレスト コンクリート板の開発

平成17年3月10日

サイレントスラブプレストレスト コンクリート板の開発!

株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊、本社 東京都新宿区)、株式会社ファテック(取締役社長 青野孝行、本社 東京都新宿区)、フジモリ産業株式会社(取締役社長 藤森 行彦、本社 東京都港区)は、フジモリ産業のFS板にプレストレスを導入したハーフプレキャスト板とファテックのサイレントボイト型枠を組み合わせた「サイレントスラブプレストレストコンクリート板、略称:サイレントスラブ-PC板」を開発し、製造・販売体制を確立いたしましたので、お知らせいたします。  

サイレントスラブ-PC板を用いると、これまでの高い床衝撃音遮断性能を持つFSサイレントボイドスラブでは、スラブ厚が過大となるため適用が困難であった大スパンスラブについてもスラブ厚を過大にすることなく、高い床衝撃遮断音性能を有した合成スラブを構築することができます。

1.背景

最近、スケルトンインフィルの概念を取り入れたり、フリープランとして付加価値を増すために室内に梁型が出ない構造としたRC造集合住宅が増えております。一方、従来型の住宅においても大スパン化する傾向が見られます。いずれの場合も床スラブは長大化するため、従来のFSサイレントボイド板ではスラブ厚が過大となって設計ができない場合や支保工の数量が大幅に増え不経済となる場合がありました。また、大スパンスラブにおいて、従来のFSサイレントボイドスラブと同様な高い床衝撃音遮断性能を有した合成中空スラブは現状ではありませんでした。  

上記の問題を解決し、従来のFSサイレントボイドスラブと同様に高い床衝撃音遮断性能を有した大スパン化に対応できるサイレントスラブ-PC板を開発いたしました。

2.製品の概要

本製品は、サイレントボイド型枠を用いてプレテンション方式でプレストレスを導入し、曲げ抵抗を増大させたハーフプレキャスト板です。このハーフプレキャスト板を用いることで、従来のFSサイレントボイドスラブでは対応できない大スパンに対しても、スラブを過大に厚くすることなく、合成中空スラブを構築できます。また、本製品は平板部の長手方向にトラス筋とリブ部を設け、このリブ部を有することによりハーフプレキャスト板の曲げ剛性を上げることのみならず、プレストレスの導入効果を高め、スラブ施工時の支保工の省略あるいは簡略化を可能とします。(図1、図2、写真1:特許出願中)

サイレントスラブ-PC板概要図

図1 サイレントスラブ-PC板概要図

断面図

図2 断面図

サイレントスラブ-PC板試験体

写真1 サイレントスラブ-PC板試験体

3.本製品の特徴

(1)大スパンのスラブに対応  

高い床衝撃音遮断性能を有するこれまでのFSサイレントボイドスラブを大スパンスラブに用いる場合、合成スラブの曲げ抵抗、長期たわみ性状等の構造性能を満足させるために、過大なスラブ厚さが必要になります。これに対し、サイレントスラブ-PC板を用いた合成スラブでは、プレストレス導入の効果による曲げ抵抗、長期たわみ性状の改善によって、高い床衝撃音遮断性能を保持した上でスラブ厚を薄くすることが可能です。例えば、スパン10mのスラブの場合、これまでのFSサイレントボイドスラブではスラブ厚が340mm程度必要であったが、サイレントスラブ-PC板を用いた合成スラブでは、300mm程度にすることが可能です。

(2)高い床衝撃音遮断性能を確保  

ボイド型枠にはこれまでに高い床衝撃音遮断性能が実証されているサイレントボイド型枠を使用しているため、サイレントスラブ-PC版においても高い床衝撃音遮断性能を確保できます。

(3)施工時の支保工の省略あるいは簡略化に対応  

サイレントスラブ-PC板はトラス筋の他にコンクリート製リブをハーフプレキャストPC板上面の長手方向に設けることにより、通常のトラス筋のみのハーフプレキャスト板に比べて曲げ剛性を増大させることで、ハーフプレキャスト板敷設時の支保工の省略あるいは簡略化が可能になります。

4.性能確認試験結果

性能確認試験としては、スパンが7.5mのハーフプレキャストPC板および合成スラブとしての構造性能を確認しました。また、大スパンスラブで問題となる長期たわみ性状についてはスパンが12mの合成スラブにより現在計測中です。

 

(1)ハーフプレキャストPC板の構造性能

ハーフプレキャストPC板の設計荷重として一番厳しいと考えられる場所打ち(トップ)コンクリート打設時相当の荷重に対してハーフプレキャストPC板にはひび割れは生じず、最大荷重は場所打ちコンクリート打設時荷重(施工時設計荷重)の約2倍を示しました。 (写真2、図3)

ハーフプレキャストPC板載荷実験

写真2 ハーフプレキャストPC板載荷実験

ハーフプレキャストPC板載荷実験時履歴曲線

図3 ハーフプレキャストPC板載荷実験時履歴曲線

 

(2)合成スラブの構造性能

支持スパンの1/30(250mm)まで加力した結果、ハーフプレキャストPC板と後打ちコンクリートとの境界に明らかなずれは見られず、耐力低下も示しませんでした。また、合成スラブの初期剛性の計算値は実験値と良い対応を示し、実験での最大荷重は曲げ耐力の計算値を十分上回る結果となりました。(写真3、図4)

合成スラブ載荷実験

写真3 合成スラブ載荷実験

合成スラブ載荷実験時履歴曲線

図4 合成スラブ載荷実験時履歴曲線

 

(3)長期たわみ性状

場所打ちコンクリート打設後4週目にサポートを解体し、住宅床の仕上げ荷重と積載荷重に相当する2600N/m2の重錘をスラブ上に敷きつめて載荷しました。載荷を開始したのはH17.1.7で約1年間にわたってスラブのたわみ、鉄筋とコンクリートのひずみなどを計測します。(写真4)

長期たわみ性状確認試験体

写真4 長期たわみ性状確認試験体

5.今後の展開

(1)販売および製造

集合住宅の音環境制御の重要なツールとしてのFSサイレントボイドスラブも市場へ定着してきました。今後は、FSサイレントボイドスラブの高い床衝撃音遮断性能に加え、大スパンスラブにも適用可能な「サイレントスラブ-PC板」をデベロッパー、設計事務所およびゼネコンへ積極的に提案していきます。

販売については、株式会社ファテックとフジモリ産業株式会社の協力体制の下に行っていきます。また、製造については、プレストレスコンクリート専業者である日本鋼弦コンクリート株式会社で行います。

(2)コスト

サイレントスラブ-PC板のコストとしては、他社の類似製品と同程度、FSサイレントボイド板に比べ20~30%程度のアップになりますが、支保工の省略または簡略化が可能となり、仕上げ工事へ早い段階で取り掛かれるため工期短縮になります。また、大スパンスラブに対して、スラブ厚の過大な増加を抑えることができます。

(3)目標

現在、FSサイレントボイド板の採用予定物件が30万m2/年ありますが、今後サイレント-PC板でさらに20万m2/年の増加案件を見込んでおり、3年後には150万m2/年と想定されるハーフプレキャストPC板市場の50%のシェアを目指します。ハーフプレキャス板(FSサイレントボイド板、サイレント-PC板)に加えて、現場打ちタイプの「打込みサイレントボイドスラブ」を含めた「サイレントボイド」としての販売目標を120万m2/年とします。

[お問い合わせ先]
[リリースに関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 経営企画本部広報部
部長:藤島 幸雄
担当:石賀 慎一郎(電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  技術研究所 建築構造研究グループ
担当 : 濱田 真 (電話 03-3235-8722)
[販売・設計・製造に関するお問い合わせ先]
フジモリ産業株式会社 建材事業部建築資材2課
担当 : 橋本 善雄 (電話 03-3574-9522)
[サイレントボイド型枠に関するお問い合わせ先]
株式会社 ファテック  開発営業部
担当 : 坂尾 恵司 (電話 03-3235-6269)
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