プレスリリース

「プレ・サポーティング・システム アーチ工法」を涌波トンネルで採用

平成15年6月13日

めがねトンネルの中央導坑から本坑支保工を構築
先行アーチ支保による地山補強工法
「プレ・サポーティング・システム アーチ工法」を涌波トンネルで本格的に採用

株式会社 熊谷組(取締役社長 鳥飼一俊)は、先行アーチ支保による地山補強工法「プレ・サポーティング・システム アーチ(PSS-Arch)工法」を開発し、涌波トンネル(発注者:石川県、所在地:石川県金沢市)において本格的に採用しました。同工法は、以下に示すような優れた特徴を備えています。

1.開発の背景
  • ・ 涌波トンネルでは、めがねトンネルの本坑掘削に際して、現設計では注入式長尺鋼管先受け工(AGF工法)、鏡補強工、脚部補強工等の補助工法が必要とされているが、地表面の沈下量をより抑え(品質の向上)、工程の短縮、安全性の確保、コストの縮減を図るために、現設計に替わる新たな補助工法の検討が必要となった。
  • ・ 従来の方法における問題点に対して、トンネル掘削に先立って(切羽よりはるか前方まで)あらかじめ地山の補強ができていること、および掘削ごとに建込む支保工を掘削前に設置した状態にすることで、以下の問題が解消できるものと考えた。
    • ○切羽安定や地表面沈下抑制のための先受け工と呼ばれる補助工法は、切羽からの作業となるため、掘削との交互作業となり時間がかかるのが欠点である
    • ○支保工の建込み作業はトンネル工事の宿命であり、切羽直下に立ち入ることが、安全上の最も大きな問題となっている。

PSS-Arch工法のイメージ図

PSS-Arch工法のイメージ図

PSS削孔システム概要

PSS削孔システム概要

2.工法の概要
  • ・ めがね型トンネルの中央導坑から本坑のアーチ状の掘削断面に沿って、ウォータージェットを併用する刃口推進方式により曲線鋼管を挿入し、鋼管から所定の領域に薬液注入して地盤を補強するとともに、この鋼管をトンネル支保工とする(プレ・サポーティング・システム)。
  • ・ 鋼管は本坑トンネルの底盤レベル以下まで挿入し、根入れ効果により支持力と先行支保工としての安定性を確保する。
  • ・ 当該地山の特性を活かした削孔方法をはじめ、鋼管の製作ならびに注入方式等、種々の合理化(コストダウン)方策を取り入れ、従来の補助工法(脚部補強工等を一部併用する長尺先受工)と比較して、同等以上の品質・工期・経済性を有する。

PSS施工状況(全景)

PSS施工状況(全景)

PSS推進状況

PSS推進状況

 

3.施工システム
  • ・ 比較的均質な未固結砂層に適した鋼管の挿入方法(削孔方法)を検討し、新たな削孔機構として回転モーターを用いない「ウォータージェットを併用した刃口推進」による方法を開発した。
  • ・ 刃口を地山に食い込ませることにより地山の崩壊を防止するとともに、内管の中央にバキュームによる大口径の排土経路を設け、効率の良い排土を実現した。
  • ・ 二重管の鋼管推進方法は、内管をチェーンフィードにより元押しし、先端部で外管を牽引する方式として、外管の変形防止と削孔精度の向上を図った。
  • ・ 円形鋼管および中詰めモルタルによる鋼管支保工は、現設計のH型支保工と同等以上の断面性能を有する。
  • ・ 注入方式については、各々が独立して作動する重層ダブルパッカー(2連式)を新たに開発し、注入時間の短縮を図った。

削孔システム(刃口と先端ノズル)

削孔システム(刃口と先端ノズル)

鋼管設置完了状況

鋼管設置完了状況

 

4.工法の特長
品質 ⇒ 地表面の沈下を少なく抑えることができる。
【従来の補助工法に比べ掘削による沈下が少ない。】
工程 ⇒ 掘削と並行作業が可能なため工程が短縮できる。
【従来の補助工法に比べ掘削と並行作業が出来るため工程短縮ができる。】
コスト ⇒ 従来の工法と比べ安くできる。
【従来の同種工法に比べ早く安くできる。】
安全 ⇒ 切羽近接作業の軽減ができる。
【支保工を建て込む必要がなくなるため切羽での作業が軽減できる。】
5.契約後VE提案
  • ・ 本工事は、民間の技術開発を積極的に活用することにより建設工事のコスト縮減を図る「契約後VE方式の試行対象工事」となっており、本工法を、そのコストダウン、工期短縮効果等より「契約後VE提案」工法として発注者(石川県)に提案し採用された。
  • (VE提案の評価内容)
  • ・ 工期短縮 : 約20 %(VE対象工種本坑掘削工期)
  • ・ コスト縮減 : 3 %(VE対象工種本坑掘削工費:75百万円)
  • ・ 品質 :地表面沈下量:約30%低減
6.今後の展開
  • ・ 今回新たに開発した削孔機構は、回転モーターを必要としないため、使用する鋼管は円形に限定されず、矩形鋼管等を用いることが可能であり、施工性(鋼管接続時間の短縮等)の面でさらに有利になる(工期の短縮、コストダウンが期待できる)。
  • ・ 今後、都市内でますます増大が予想されるめがねトンネル工事において、当トンネルと同様の地盤条件では、本工法の適用・展開が大いに期待される。
  • ・ さらなる合理的な施工法の確立に向けて、削孔径の拡大、削孔機の改良、削孔機構の拡充等により、適用地盤の拡大や変断面・偏平大断面の先受け工法としての適用拡大も期待される。

涌波トンネル完成予想図

涌波トンネル完成予想図

金沢外環状道路 涌波トンネル 工事概要

  • 建築場所 :
    石川県金沢市錦町~大桑地内
  • 発注者 :
    石川県
  • 施工者 :
    熊谷・西松・北都・豊蔵JV
  • 工期 :
    平成12年9月~平成17年8月
  • 構造・規模 :
    中央導坑 L=636m(断面積=50m2
    本線トンネル L=663m(めがね型)
    (導坑を除く断面積=72m2(山側本坑)+111m2(海側本坑))
    連絡道トンネル L=174m(断面積=120m2
[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 経営企画本部広報部
部長:藤島 幸雄
担当:石賀 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 土木本部 トンネル技術部
副部長:松尾  勉 (電話03-3235-8649)
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