プレスリリース

石膏ボードに電波吸収機能を持たせた建材について 基礎的研究を実施

平成15年3月11日

石膏ボードに電波吸収機能を持たせた建材について 基礎的研究を実施

株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊、本社 東京都新宿区)、吉野石膏株式会社(取締役社長 須藤永一郎、本社 東京都足立区)は、青山学院大学理工学部電気・電子工学科 橋本 修 教授と共同で、このほど、石膏ボードに電波吸収機能を持たせた内装建材について基礎研究をいたしました。この建材が実用化すれば、一般の石膏ボードと同様の工法で無線LANのフェージング環境を改善するために充分な電波吸収機能を持つ室が実現します。

1.背景

最近のIT技術やブロードバンド化に象徴される情報通信の広帯域化、ワイヤレス化が発展するなか、無線LANに使用する電波が、鉄筋コンクリートや什器で反射し室内がフェージング環境となるために転送速度が低下する干渉問題の対策技術や、簡易的に電波の漏洩を防止する対策技術に対するニーズが高まっています。

従来、干渉防止や電波漏洩の防止には電磁シールド技術が導入されてきましたが、転送速度が11Mbps以上の高速通信では、室内通信のために発信した電波が受信点に到るまでに、く体やシールド面で反射した電波と干渉し、無線通信の品質を劣化させることから、転送速度の低下や誤り率の増加を招く原因となっていました。

また、壁に入射した電波を吸収するための電波吸収体も優れた材料が開発されていますが、非常に高価で、建材として利用できる物件は限られていました。

一般的に電波吸収体としては「誘電体型電波吸収体」「磁性体型電波吸収体」「λ/4型電波吸収体」が知られていますが、これまで内装建材の電波吸収体として利用されてきたのは「誘電体型電波吸収体」「磁性体型電波吸収体」でした。

誘電体型電波吸収体は建材にカーボンなどの誘電体を混入することで、建材の誘電率を調整し電波吸収性能を発揮します。しかし、建材成型時に混ぜむらが出やすく、誘電体が多く混入された部位は反射体となり、誘電体が混入されていない部位は透過体となるため安定した量販が困難でした。

また、磁性体型電波吸収体は建材にフェライトなどの磁性体を混入することで、建材の透磁率を調整し電波吸収性能を発揮します。しかし、フェライトは重量が重いため施工がしにくく、建材として利用するには高価なため、特殊用途の材料として考えられてきました。

2.概要

熊谷組、吉野石膏では共同で、導電性印刷シートと石膏ボード型スペーサを組み合わせることで電波吸収性能を発揮する、石膏ボードの開発を行ってまいりましたが、材料設計や測定評価の困難性及び信頼性の確保などの問題を抱えておりました。

そこで、材料設計及び材料評価を担当する熊谷組は電波吸収体研究の第一人者である青山学院大学 橋本教授の協力を仰ぎ、共同で材料の設計及び評価を実施いたしました。

熊谷組と青山学院大学 橋本教授が「λ/4型電波吸収体」の技術を導入して共同で設計した電波吸収型石膏ボードは、実験室レベルでの性能測定で、無線LANの搬送周波数帯(5.2GHz帯)において20dB以上の電波吸収性能を発揮することを確認致しました。

(1)電波吸収石膏ボードの概要

一般的な石膏ボードをスペーサとし、表面及び裏面にそれぞれ印刷シート抵抗皮膜、アルミニウム箔を配置した3層構造の石膏パネルです。比重は0.7程度で一般の石膏ボードと同様で、優れた耐火性能を有しています。さらに、一般的な石膏ボードと同様な取り扱いが可能で、これまでの電波吸収体に比べて施工性が格段に向上します。

石膏ボード

※画像をクリックすると拡大図が表示されます

(2)電波吸収石膏ボードの吸収性能

電波吸収石膏ボードは無線LANの搬送周波数である5.2GHz帯で20dB以上の電波吸収性能を発揮します。また、下図に示すように材料設計による値と性能試験結果が極めて一致することから、同様に無線LANの搬送周波数である2.45GHz帯や、携帯電話で利用される1.5GHz帯などでも、同様の吸収性能を発揮する材料の製造が可能です。

電波吸収石膏ボードの電波吸収特性

図1 電波吸収石膏ボードの電波吸収特性

電波吸収石膏ボードの斜入射吸収特性

図2 電波吸収石膏ボードの斜入射吸収特性

(3)電波吸収石膏ボードの工法と用途

電波吸収石膏ボードは、比重が通常の石膏ボードと同様で、施工法も一般内装工事と同様です。  

また、電波吸収性能を目的とする場合、電磁波シールド工事のような接合部処理や、開口部処理も必要ありません。

主な用途は、内装下地材として壁及び天井に使用します。

3.今後の課題

今回発表した、「電波吸収石膏ボード」は実験室レベルの性能確認であり、実用化に際しては「電波吸収性能の安定性の確保」「印刷技術の生産性向上」などが必要になります。

今後は、橋本教授と共同で、熊谷組、吉野石膏はこれらの課題に取り組んでいく予定です。

[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  経営企画本部広報部
電話03-3235-8155
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