プレスリリース

間欠エア噴射併用型インナースクリュー式締固め工法の開発

平成15年1月16日

間欠エア噴射併用型インナースクリュー式締固め工法の開発

株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊)と、日本海工株式会社(代表取締役社長 豊田 茂男)は、両社が保有する技術((株)熊谷組が有する間欠エア噴射技術と日本海工(株)が保有するインナースクリューを用いた地盤改良技術)を融合させ、平成11年2月から約3ヵ年にわたり高圧エア間欠噴射併用型インナースクリュー式締固め工法を開発しましたのでお知らせします。

1.開発の背景

地震時に生じる地盤の液状化現象は、昭和39年6月16日に発生した新潟地震で初めて明らかとなり、これによって広く一般に知られるようになりました。さらに、平成7年1月17日に発生した兵庫県南部地震では、今まで液状化しないと考えられていたレキ質土においても液状化が生じ、大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいところです。

液状化現象とは、地震によって地盤が一時的に液体状となってしまう現象のことです。比較的強度が低い(密度が低い)地下水以下の砂質土系地盤に、強い地震動が作用すると、土粒子骨格構造の破壊と泥水化により、地盤のせん断抵抗力(*)が失われます。すると、通常砂と砂の間を満たしている水が受けている圧力(間隙水圧)が、大きくなって砂粒を浮き上がらせ、地面を液状化するため、構造物に不同沈下や転倒などの重大な被害をもたらします。

液状化防止策として最も有効な方法は、地盤の密度を高め強固にする(間隙を小さくし土粒子の結びつきを強くする)ことです。その方策として、今まで多用されてきた地盤改良工法が、サンドコンパクションパイル工法(SCP工法)です。しかし、近年、市街地や既設構造物近傍での需要が増加しているため、大型バイブロハンマーを用いる従来のSCP工法では、施工時に発生する騒音や震動などから適用が難しいという課題を抱えていました。

*せん断抵抗力:通常、地盤の砂粒子同士がくっつきあって動かないようにしている抵抗力のこと

2.間欠噴射併用型インナースクリュー式締固め工法

本工法は、インナースクリュー先端部から間欠的に噴射される高圧エアの衝撃力と、インナースクリューによる管内材料の強制吐出力を利用して、拡径された締固め杭を造成するものです。

高圧エアの間欠噴射は、ケーシングオーガ内に装備したインナースクリューを用いて管内材料を強制吐出する過程で、削孔された地盤の側壁に土中水を介して衝撃力を与え、土粒子の移動や土中水の流れを生じさせる効果があります。この作用を受けた地盤は、部分的に土粒子骨格の緩みや間隙水圧の上昇、不飽和領域部の形成、空洞化などの現象を生じることになります。この乱れ領域に材料をインナースクリューで定量的に強制充填することで、拡径された杭を造成することができます。また、前装備重量をインナースクリューに作用させ、その際生じる回転トルクを吐出された材料に付与することで、捻りによる締固め効果が発揮され、これら二つ作用を併用し、拡径された締固め砂杭を造成するものです。
図-1に高圧エアの噴射効果及びインナースクリューの締固め効果のイメージを示します。

3.全体図およびケーシング先端形状

図-2に本工法機械全体写真を、図-3に先端スクリュー形状概略図を示します。また、図-4に機械設備及び施工機械組立図を示します。

4.造成工程

図-5に本工法のモデルオシログラフおよび砂杭造成の詳細を示します。モデルオシログラフは実線がケーシングの貫入状態、左縦軸にその値を示し、破線がケーシング先端から砂面天端までの距離、右縦軸にその値を示します。

5.周辺環境への影響

図-6図-7は、実験施工においてに測定した騒音、振動レベルデータに基づく距離減衰図です。騒音、振動レベルとも従来のSCP工法に比べ大幅に測定値は低く、超低騒音、低振動型の地盤改良工法であることが理解できます。

6.特徴

本工法は、これまでの実験結果から以下のような特徴を有していることが明らかになりました。

  • 1) 超低振動・低騒音の締固め工法で、市街地や民家近傍などに適応できます。
  • 2) 緩い砂地盤に対しては密度増加による液状化の防止、軟弱粘性土地盤に対しては複合地盤の形成による支持力増加、圧密促進等の効果があります。
  • 3) 材料はインナースクリューで強制吐出されるため、定量的な管理が可能です。
  • 4) 高圧エアの間欠噴射は、衝撃力の付与と土中水の流れを生み、さらに地盤の空洞化を促す効果があります。
  • 5) インナースクリューの回転トルクを吐出材料に作用させることで捻りせん断効果が発揮され、良好な締固め杭を造成できます。さらに、トルク値と杭の強度には相関が認められ、杭芯強度を定量的に管理できる可能性がります。
  • 6) 締固めた砂杭はNd値が20程度、杭径は削口径の1.2~1.5倍程度が期待できます。
  • 7) 連続引抜きによる効率的な杭造成ができます。
7.今後の動向

今後は施工機械の簡素化、施工時間の短縮など実施工に向けた改良を行う予定です。 なお、本工法は現在特許を申請中です。

施工状況図

施工状況図

ケーシング先端部の構造写真

ケーシング先端部の構造写真

[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  経営企画本部広報部
部長:藤島 幸雄
担当:柴山・石賀 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
技術研究所地盤基礎研究グループ
 グループ部長 渡辺 則夫(電話 0298-47-7504)
日本海工株式会社
 技術部技術課
 次長 服部 正裕(電話 03-5762-8767)
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