プレスリリース

7社共同で簡易型電磁シールドビルの構築技術を開発

平成14年8月6日

熊谷組・佐藤工業・戸田建設・西松建設・ハザマ・フジタ・前田建設工業が
7社共同で簡易型電磁シールドビルの構築技術を開発

株式会社熊谷組(鳥飼一俊社長)、佐藤工業株式会社(梶谷剛代表)、戸田建設株式会社(戸田守二社長)、西松建設株式会社(金山良治社長)、ハザマ(大和文哉社長)、株式会社フジタ(田村宏明社長)、前田建設工業株式会社(前田靖治社長)の7 社は、低コストで居住性を損なわない簡易型電磁シールドビルの構築技術を開発した。

1.開発の背景

近年のIT 技術は、ブロードバンド化や無線LAN を代表とする無線化が進んでおり、これらの利用は高速化と共に今後ますます進展することが予想される。現在、セキュリティの問題から無線LAN の利用は個人が主力だが、セキュリティ規格であるIEEE802.11x ( 注1 )とEAP ( 注2 )が登場したことにより、一般企業においてもLAN ケーブル配線が要らずオフィス構築コストが低減できる無線LAN 導入が進むと予想される。また、教育市場におけるe ラーニング( 注3 )やデータセンター等も進展が期待されている。

しかし、現在の一般オフィス等においては、無線LAN の通信データが階下で受信できてしまう等の問題が発生している。これは情報データの漏洩と本来の使用エリア外に対する電波妨害を意味している。また、このままではセキュリティの隙間を悪用した不正アクセス、データ改ざん、電子商取引の詐欺行為等も懸念される。

2.開発技術の概要

そこで、過去に共同研究実績がある上記7 社が集まり、一般オフィスに適用できる、低コストで簡易に施工可能な電磁シールドビルの新技術・施工法に関する共同研究開発を実施してきた。  

電磁シールド工法は従来からあったが、特殊な用途を目的としていたため、オーバースペック且つ、施工が複雑( 注4 )で一般オフィスで用いるには居住性やコストの面から困難だった。  

本開発では、

  • 1.電磁シールドの主材料として銅箔・亜鉛メッキ鋼板(0.3 mm 程度)を用い、銅箔・亜鉛メッキ鋼板の接合工法は関係式( 注5 )を満足する間隔でタッカー留めにより行うこと
  • 2.扉部は従来型のエアタイト型スチールドアを使用し、扉縁部のビス留め間隔を(1)と同様にすること
  • 3.窓部は一般のアルミサッシにSUS を用いた特殊な改良を施し、電磁シールドガラスを施工すること
  • 4.電気配線では通常用いている高価なノイズフィルタを用いず、金属導波管と磁性材料を使用すること
  • 5.工法を標準化するために、施工要領書、材料データベース、施主提案資料を作成し、電磁シールド工事を特殊工事ではなく通常の内装工事の範囲で施工可能とすること  

以上により、無線LAN 通信の電波干渉防止が可能な30dB を確保することに成功し、これに居住性を確保しつつ低コスト( 注6 )で簡易な施工を実現した。

3.今後の展開

本技術は、新築工事のみでなくリニューアル工事にも対応可能である。今 後は、共同研究各社の標準的な工法として位置づけ、リニューアルを含むオフィスビルや医療施設、学校などの顧客に対して本技術の導入を積極的に提案していく予定である。なお本技術に関しては現在、特許出願中である。

4.参考資料

施工写真

タッカー留めの様子

写真1 タッカー留めの様子

扉 部

写真2 扉 部

 

電気配線の様子

写真3 電気配線の様子

モデルルーム全景

写真4 モデルルーム全景

 

簡易型電磁シールドビルのイメージ

簡易シールドビルの提案

※画像をクリックすると拡大図が表示されます

簡易シールドビルの提案

簡易型電磁シールドビルでは、いままでのオフィスと機能的な使い勝手は変わりません

電磁シールド性能を付加するには、窓・扉などの開口部、設備のダクトや配管類の貫通部の処理が重要になりますが、入居者の使用勝手は、通常のオフィスと同等です。視覚的にも、電磁シールドされているかどうかは一見しただけではわかりません。

簡易シールドビルの提案

※画像をクリックすると拡大図が表示されます

(注1)IEEE802.11x (アイ・トリプルイー802.11x )
米国電気電子学会が定めたセキュリティ規格で国際的影響力を持つ。
(注2)EAP
EAP-TLS とEAP-MD5 の2 種類があり、それぞれ電子証明書を使った認証、ID ・パスワードを使った認証を行う。
(注3)e ラーニング
ネットワークを活用した遠隔教育。学校教育、教育市場、生涯教育等が含まれる。
(注4)
従来の電磁シールド工法は、隙間を完全に無くすために、ハンダ付け等で電磁シールド材料の継ぎ目を隙間無く覆っていた。
(注5)
タッカー留め間隔は、下記を満足するように決定する。

タッカー留め間隔

  • b (タッカー留め間隔及びタッカー針の長さ(m ))=λ/2
  • λ (対象とする電磁波の波長(m))=(3 ×10 8 )/電磁波の周波数(Hz )
  • a (重ね長さは実験より)100mm に設定

タッカー針は材料仕様から銅箔と電食が無いことを確認した。

約30dB の遮蔽効果を得るためには、周波数2.45GHz の場合  

  • λ=(3 ×10 8 )/(2.45 ×10 9 )=0.122 (m )  
  • λ=122mm 、b =61mm となる。

つまり針の長さを61mm とすれば、導波管の効果により予定の遮蔽効果を得ることが出来る。

(注6)
本構築技術におけるコストは、3 万円/m2程度を想定。ちなみに従来工法は8 万円/m2程度。
[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組 技術研究所
遠藤 TEL:0298-47 -0395
佐藤工業株式会社 設備部門
清水 TEL:03-3661-7047
戸田建設株式会社 技術研究所
三浦 TEL:03-5785-1502
西松建設株式会社 大和総合技術研究所
村上 TEL:046-275-0079
ハ ザ マ 技術研究所部
奥野 TEL:0298-58-8811
株式会社フジタ 技術センター
勝又 TEL:046-250-7095
前田建設工業株式会社 建築エンジニアリンク゛・設計部
松尾 TEL:03-5372-4883
BACK
PAGE TOP