プレスリリース

山岳トンネルの爆薬遠隔装填システムの実用化

平成14年6月28日

山岳トンネルの爆薬遠隔装填システムの実用化
装填作業の安全性確保と装填効率・発破効果の向上

株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼一俊)は、山岳トンネルの最も代表的な発破掘削方式での爆薬装填の安全性向上を目的に、爆薬遠隔装填システムを旭化成株式会社(取締役社長 山本一元 本社:東京都千代田区)と共同で実用機を開発し、長期間にわたる現場での実稼働により当初の目的を実証しました。即ち本システムは、崩壊発生の可能性の高い切羽に作業者が密着している時間が最も長い装薬作業を遠隔操作化することで安全性を確保し、かつ爆薬の密充填化と共に、新方式の孔清掃装置により確実な孔清掃を可能にし、装填効率及び発破効果の向上を実現しました。さらに、苦渋性の高い作業の回避も実現しました。またこの実績により、本年、(社)日本建設機械化協会で貢献賞を受賞いたしました。

1.システム開発の経緯

山岳トンネル工事における切羽事故は、発生すれば重大災害となる可能性が非常に高く、作業の機械化などにより、一層の安全性向上が進められています。しかしながら、掘削方式で最も代表的な発破方式において、爆薬の装填や脚線の結線作業は、崩壊発生の危険性の高い切羽に、作業者が密着する手作業となっております。

本システムは作業者が切羽に密着している時間が最も長い装薬作業を遠隔操作化し、出来る限り危険な切羽に近づかず安全に作業が出来ることを目的に開発されました。

2.システムの構成

本システムは爆薬と込め物を、エアーを使って遠隔操作により装填できる遠隔装填装置(2連型)と、装薬孔の清掃装置から構成されています。

遠隔装填装置は含水爆薬供給・込め物供給・装填の各装置と、装填ホース、手元スイッチから成ります。各装置の動力は爆薬・雷管への安全性確保のためエアーを基本とし、制御は光ファイバー制御としています。

装薬孔の清掃については、遠隔装填を確実に行うため、バキュームとブローを組み合わせた新方式の孔清掃装置(ハイブリッドスウィーパー)を装備しています。

3.システムの特徴

A.安全性

  • 1)切羽から2~3m離れた位置より装填用パイプを挿入して装填するため、切羽に密着せずに装薬作業ができ、切羽崩落等による事故を回避できる確率が大幅にアップします。
  • 2)増しダイ、込め物は低圧の圧縮空気により搬送、装填します。エアーに水を噴霧する事により静電気の発生と閉塞トラブルを防止しています。
  • 3)親ダイは装填装置を通さず装填パイプで直接孔奧へ装填するため、従来と同様な方式です。
  • 4)現在の作業内容(何を装填中か)と本数を手元スイッチおよび表示器に明示しており、装填作業者が確認しながら作業することができます。
  • 5)静電防止性のホースを使用するとともに、非電気式スイッチ(光ファイバー)によるリモート操作および、装置全体にも静電防止措置を講じています。
  • 6) 装填孔の掃除は、従来のエアーブローの単独方式ではなく、新開発したエアーブローとバキュームを組み合わせた孔清掃装置により、孔壁を傷めることなく、しかも切羽に密着せずに確実に行うことができます。

B.効率化

  • 1)爆薬および込め物は孔内に均一に装填され、手作業に比べて密充填が可能となり発破効果が向上します。
  • 2)装填・各作業の切り替え、増しダイの本数設定および確認が装填作業者の手元で行うことができます。
  • 3)増しダイの供給は数量をチェックできる専用のホッパーおよびフィーダーにより最後の1本まで確実に供給でき、装置に火薬が残る心配がありません。
  • 4)増しダイ、込め物はそれぞれの供給装置に、通常の梱包を開封するのみで供給でき、カートリッジへ再装填するような特別な事前作業を必要としません。
  • 5)新方式の清掃装置で確実な孔清掃が可能で、装填効率および発破効果が向上します。

C.作業の改善

  • 1)従来の人力装薬と比較して、遠隔装填機の使用により装薬作業を楽な姿勢で行うことができ、苦渋作業が改善された。
  • 2)苦渋作業の改善により作業員の安全に対する注意意識がより向上した。
4.システム導入実績

 

施工年月 件  名 施  主 稼働方式
平成 8年 6月 東海北陸自動車道城端トンネル工事 日本道路公団 試作機による試験施工
平成 9年 2月 九州自動車道肥後トンネル南工事 日本道路公団 試作機による試験施工
平成10年 2月 松山自動車道中山トンネル工事 日本道路公団 実用形タイプによる実用レベルでの試用
平成13年11月~
現在に至る
新主寝坂トンネル工事 国土交通省 本格的な継続稼働で現在(6/26)に至る

 

5.その他

平成14年5月22日 (社)日本建設機械化協会 貢献賞を受賞

6.導入現場概要・導入結果-新主寝坂トンネル工事

A. 事業概要

  • ・ 一般国道13号は、福島市を起点、山形市等を経て秋田市に至る広域主要幹線道路
  • ・ 山形県の産業・経済・文化を支える重要な役割
  • ・ 金山町の主寝坂峠付近、一般国道13号の最大の隘路区間
    -幅員狭小、急カーブ、急勾配の連続
    -大型車のすれ違いが困難で老朽化の著しい主寝坂トンネル
    -通行規制指定区間がある  
    そのため、「主寝坂道路」は当地域の地形条件、気象条件下
  • ・ 広域主要幹線道路としての安全性、信頼性を確保
  • ・ 地域活性化を図るための基盤施設として計画
  • ・ 将来「東北中央自動車道」の機能、当面は、一般国道の自動車専用道路

B. 工事概要

  • 1)工事名
    新主寝坂トンネル工事
  • 2)工事場所
    自 山形県最上郡金山町大字中田字主寝坂
    至 山形県最上郡真室川町大字及位字新及位
  • 3)工期
    平成12年8月31日~平成14年11月30日
  • 4)発注者
    国土交通省 東北地方整備局
  • 5)請負者
    新主寝坂トンネル工事 熊谷組・三井建設特定建設工事共同企業体
    JV比率
    熊谷組 : 60%  
    三井建設 : 40%
  • 6)工事内容
    トンネル延長 2,937m のうち(平成12~14年度)
    トンネル掘削  1,900 m
    トンネル覆工 1,700 m
    掘削断面積 75.6 m2
    道路土工 1 式
  • 7)特色
    加無山県立自然公園に指定されているため、自然環境に配慮した。
    特に、「クマタカ」の営巣が坑口付近に確認されたため、防音扉の設置、低騒音型機械の採用、仮建物等の配色など、影響を極力少なくするための工夫を施している。

C. システム導入結果

  • ・ 爆薬遠隔装填システムの導入により、爆薬装填作業は切羽から離れて行うことが可能となり、作業の安全性が格段に向上しました。
  • ・ 手作業に比べて爆薬・込め物の密充填が可能となり、装填効率および発破効果も向上しました。
  • ・ 従来人力装薬では一孔ずつ爆薬を手で直接装填するため、長時間無理な姿勢で強いられる場合が多かったが、遠隔装填機により苦渋作業が改善されました。
  • ・ 爆薬遠隔装填システムを使用した作業員からは、作業環境・無理な姿勢・単純繰り返し作業等の、苦渋性解消のメリットの評価も高く、積極的な使用気運が永続的な完全稼動の大きな要因になっています。
  • ・ 爆薬遠隔装填システムは、切羽での作業環境と作業内容を当初の安全性向上という主目的の他に、機械化によるトンネル施工の品質や作業性の向上等に大きな効果を上げていることを確認しました。
[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組  経営企画本部広報部
部長:藤島 幸雄
担当:柴山・石賀 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
株式会社 熊谷組   土木本部 トンネル技術部
部長:西村 清亮
担当:岡田・畔高・岡本 (電話03-3235-8649)
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