プレスリリース

既設コンクリートの耐久性評価とLCC算出システム Renewal Doctor 開発

平成14年1月22日

既設コンクリート構造物の耐久性評価とLCC算出システム
-Renewal Doctorの開発-

株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊)は、既設コンクリート構造物を補修する際の最適な補修工法を選定するための耐久性評価及びLCC(Life Cycle Cost)算出システム「Renewal Doctor」を開発しました。  

中性化、塩害、化学的腐食により劣化したコンクリート構造物の耐久性評価と補修後のライフサイクルの予測を対話式で行うシステムです。耐久性評価基準や補修材料の特性を任意に設定でき、最大5ケースの補修工法について初回の補修工事費とその後の維持管理費を含めたトータルコストについて経済比較ができます。

1.開発の背景

1980年代には、コンクリート骨材のアルカリシリカ反応や骨材の塩化物イオン濃度によるコンクリート構造物の劣化事例が数多く報告されるようになり、コンクリートの品質基準が見直されました。また、最近では、トンネル覆工剥落事故を契機にコンクリート構造物の劣化が社会的問題として取り上げられ、あらためてコンクリート構造物の品質や耐久性の保証の重要性が求められるようになりました。

2.概要

システムの概略のフローを図-1に示します。

図-1システムの概略のフロー

図-1システムの概略のフロー

(1) 現状構造物の耐久性評価

現状構造物の調査データ(鉄筋かぶり、中性化深さ、塩化物イオン濃度)、設計図書(コンクリート配合、図面等)と耐久性基準をもとに耐久性評価を行い、補修の要否を決定します。

(2) 補修後のライフサイクルの予測

最大5ケースの補修工法の比較が可能です。補修工法は、表面被覆工法、断面修復工法、電気防食工法、再アルカリ化工法から選択でき、使用する材料の特性を設定しライフサイクルを予測します。

(3) 最適補修工法の選定  

各補修工法の初回補修工事費と一定期間における補修工事費の合計費用を算出・比較し、最適な補修工法を選定します。

3.システムの特徴
(1) モデル化  

中性化と化学的腐食に関する中性化深さは√t法で、塩害に関する塩化物イオン濃度はフィックの法則に基づいて計算します。

(2) 評価基準の設定  

中性化と塩害の評価基準は、鉄筋腐食またはコンクリートのひび割れのいずれかについて確率で設定します。化学的腐食の評価基準はコンクリートの腐食深さ(≒中性化深さ)または表面被覆材の劣化のいずれかを任意に設定します。

鉄筋腐食の基準は、土木学会のコンクリート基準示方書(施工編、平成11年版)を参考にしており、鉄筋腐食からひび割れ発生までの進展期間は、「コンクリート構造物の維持管理指針(案)」をもとに計算します。

(3) 補修工法の設定
1. 表面被覆工法

表面被覆工法による中性化速度や塩化物イオンの浸透量の抑制を定量的に設定でき、この特性の劣化も考慮しています。表面被覆材の耐用年数は施工条件、環境に応じて設定できます。

2. 断面修復工法  

断面修復材の中性化速度係数や塩化物イオンの拡散係数を定量的に設定できます。(計算方法はコンクリート標準示方書参照。)

3. 電気防食工法

耐用年数を任意に設定できます。

4. 再アルカリ化

中性化阻止(アルカリ性維持)期間を任意に設定できます。

4.今後の展開

建設投資が減少する中、維持補修費が増加する傾向にあります。10~20年後には建設市場に占める維持修繕の割合は30~40%程度になり西欧のレベルに達すると言われています。

構造物の耐久性や耐荷性など物理的な寿命を判断基準としてリニューアルするだけでなく、機能性、利便性、安全性の向上、環境への負荷やリスクの低減などを目的に社会資本を維持管理することにより都市の再生を図ることができます。

今回開発したRenewal Doctorは、現在当社で保有している構造物の補修・補強に関する調査・施工技術を補完するものであり、これによりコンクリート構造物の補修工事において調査・計画から設計・施工にわたるまで幅広い検討が可能になります。今後は、データを蓄積し評価精度の向上を図ると共に、新設構造物に関する耐久性評価などシステムの改良を行う予定です。

[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組
[リリースに関するお問合わせ先]
経営企画本部広報部
部長:藤島 幸雄
担当:柴山・石賀 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
土木本部土木技術部
 部長 滝谷 正幸
土木本部土木技術部リニューアルグループ
 部長 岩井 孝幸
 担当 森(電話03-3235-8646)
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