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デジタル工事写真管理システムの全作業所展開
デジタル工事写真管理システムの全作業所展開
(株)熊谷組ではデジタル工事写真管理、電子納品にいち早く対応できる体制づくりを行うとともに、生産管理業務の効率化、コストダウンを狙いとして、全作業所(国内外-土木・建築)一斉にデジタル工事写真管理システム「現場名人Ver2.0(株)富山富士通」を標準システムとして導入しました。
1.目 的
- (1)CALS/ECへの早期対応
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- ・ 国土交通省直轄工事電子納品対応
- 2004年までに国土交通省の直轄工事全てに対し完成図書電子納品(「工事完成図書の電子納品要領(案)」)が義務づけられ、工事写真も「デジタル写真管理情報基準(案)」が制定され、電子データでの提出の対応が必要となっている。
- ・ 他公共工事対応
- 他省庁、地方自治体等も国土交通省に追従してデジタル工事写真での提出を徐々に開始している。
- ・ 民間工事
- デジタル工事写真の長期保管によるリニューアル工事への有効活用を行う。
- (2)工事写真管理コスト削減
- ・ フィルムからデジタル写真へ移行した際、1作業所あたり年間約25万円のコスト削減が可能(24枚撮影/日とした場合でデジタル写真環境の初期投資も含む)
- ・ 職員の写真管理・整理時間短縮による、他の有効な工事管理業務時間へシフトが可能
- (3)工事写真管理業務の効率化
- ・ 数千枚ともなる写真整理がパソコンで行え、大幅な写真整理時間短縮になる
- ・ 現像へ出さなくてもすぐに撮影内容が確認できる
- ・ デジタル画像のためデータの再利用が容易である
- ・ インターネット、電子メール等を活用し、情報の水平展開が容易に行える
- (4)CALS/ECに対する意識向上
- ・ 電子納品対象となっている現場だけでなく、対象となっていない現場へも同様に展開することにより、CALS/ECへの意識を深め、デジタル工事写真管理の展開を1つのきっかけとした、作業所職員のさらなる情報リテラシイ向上を図る。
2.デジタルカメラについて
システム導入前でも社内報告用なとに使用するため、既に6~7割の作業所で導入しておりましたが、システム展開を期にほぼ全作業所への導入が完了しました。デジタルカメラの機種選定については特に制約を設けませんでしたが、「デジタル写真管理情報基準(案)」にある80万画素以上の機種を推奨しました。現在市販されているカメラはほとんどクリアしているので心配はしておりませんでしたが、逆に画素数が高すぎる機種はファイル容量が大きすぎ、運用に支障あるためなるべく避けるように注意しております。また工事現場という特性から、防塵・防水仕様のデジタルカメラが求められることがあります。このようなカメラは機種も限定され、入手方法も限られてしまいますので、簡単な手続きで安価に入手できるよう社内体制を整えました。
3.デジタル工事写真管理ソフトの一括導入
デジタルカメラを購入し、工事写真をデジタル化しただけでは、写真整理、アルバム作成、写真項目の記入といった一番時間がかかる部分が改善されません。また既存のエクセルやワープロソフトで実施しても十分な効率化は図れないと思います。そこでこういった機能が充実している専用のデジタル工事写真管理システムが必要であると判断しました。またデジタル工事写真管理へ移行することにより、コストダウン、業務の効率化が確実に図られることは、数々の試行現場の結果から実証されてきました。デジタル工事写真管理システムにおいては、全作業所への展開時期に来ていると判断し、その効果を最大限得るため、個別導入でなく一括導入に踏み切りました。
- (1)選定条件
- ・ 操作が簡単である
- ・ 土木・建築工事の両方で使える
- ・ 国土交通省「工事完成図書の電子納品要領(案)」、「デジタル写真管理情報基準(案)」に対応している
- ・ 公共建築協会「工事写真の撮り方(改訂第2版)」フォルダ構成に対応している
- ・ 工事写真アルバムが容易に作成できる
- ・ ネットワークに対応し、作業分担が可能である
- ・ 自由度がある
- (2)一括導入のメリット
- ・ コストダウン効果、業務効率化のメリットを最大限に得る
- ・ 全社統一ソフトによるデジタル工事写真成果品(電子納品、アルバム)品質一定化
- ・ どの工事が電子納品対象となってもすぐに対応可能となる
- ・ 個別導入によるデメリット防止
- 電子納品未対応ソフトの誤購入
- 個別導入によるコストアップ - ・ 一括導入によるソフト導入費削減
- 以上の条件をクリアした上でコストパフォーマンスに優れたのが「現場名人 Ver2.0」でした。
4.全社展開での課題
もちろん全社展開を行うにあたっては、以下にあるような様々な問題をクリアにしなければなりませんでした。
- ・ 展開、配布方法
- ・ サポート体制(ヘルプデスク)
- ・ 周辺機器の導入サポート(デジカメ、PCカード、メモリ、カラープリンタ等)
- ・ 運営方法、要領の作成
- ・ 発注者、監督官、検査機関へのデジタルカメラ適用確認
特に最後の発注者確認については確実に行うよう注意を促しました。国土交通省や一部の地 方自治体等が認めているとはいえ、まだ全てが認めているわけではありません。実際は過渡期であり、フィルム写真との併用もやむを得ない場合もあります。
5.工事写真管理業務の目的
工事写真がデジタルに変わっても、工事写真管理の本来の目的が変わるわけではありません。そこで今回、熊谷組若手建築職員向け工事写真管理教育の標準書籍「マンガで学ぶ 建築工事写真の撮り方(井上書院発行)」を読みながら現場名人が使えるよう、システムのカスタマイズも行いました。この書籍は親しみやすい「マンガ」形式により工事着工から竣工までの各工種ごとに、技術面からのポイントも含め、工事写真をどのように記録・保存していったら良いかをやさしく解説したものです。システム化されても写真管理業務が確実に行われるよう配慮しております。
6. 実稼働現場状況
既に数多くの現場で稼働しておりますが、ある現場では発注者が非常にデジタル化には意欲的であり且つペーパーレス化を推進しており、カラープリンタによるアルバム出力もいりません。画面に検査官から指示のあった写真を検索して表示し、そして検査を行い、提出も現場名人のデータ抽出機能を用いてCD-Rでの提出となっております。受け取る側、提出する側ともに保管場所の省スペース化が図られます。現場職員も最初は現場名人の扱い方に苦労したところも多少あったが、使い慣れ始めたら写真整理時間は相当短縮されたということです。またペーパーレスなので工事写真にかかる費用は初期投資(デジカメ、現場名人)だけでランニングコストはデータ提出用のCD-Rだけということです。
7. 最後に
土木・建築全作業所への一斉導入ということもあり、展開後、システムに対する不平不満が出たり、浸透するまで時間もかなりかかるのではないかと思って心配しておりました。しかし、意外と作業所の反応はよく、工事写真のデジタル化には積極的でした。現場名人が使いやすいようによく作られていることや、デジタルカメラの急速な普及という時代背景もあるかと思いますが、写真管理はこうあるべきだという考えが現場にもあったからだと思います。
発注者の電子納品等の要望に迅速に応えるのはもちろんですが、やはり一番は作業所生産業務効率化にあります。また導入することにより目に見えてコストダウンが図れるのも特徴の1つです。これからも全現場で完全定着するようフォローしていきたいと思います。


