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パイルド・ラフト基礎設計技術の開発 実用化
パイルド・ラフト基礎設計技術の開発、実用化!
株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊)は、パイルド・ラフト基礎を合理的な建物基礎形式の一つとして提案するために地盤沈下量を考慮した実用的な基礎設計技術(解析法)の開発を行い、個別物件に適用、実用化いたしましたのでお知らせします。
1.背景
従来、建物の基礎設計は、沈下に対して特別な配慮をしなくてもよいように強固な支持地盤に支持することを前提に行われてきました。その結果、一般的には地盤条件が良い場合には直接基礎、地盤条件が悪い場合には支持杭基礎が用いられてきました(下図参照)。しかしながら、支持杭基礎の場合、強固な支持地盤が深い場合には杭長さが長くなり、建物規模が小さい場合には不経済となること、兵庫県南部地震での長尺杭の被害等から支持杭基礎一辺倒の設計見直しが行われるようになってきました。そこで、支持杭基礎に代わる合理的な基礎形式としてパイルド・ラフト基礎*が新たな基礎形式として着目されるようになりました。今般、10月に改訂されました日本建築学会「建築基礎構造設計指針」において、パイルド・ラフト基礎が新たな基礎形式として追加されており、また、仕様設計から性能設計に向けて、地盤および建物(基礎)の変形を的確に評価し設計することが要求されています。
このような社会情勢の中で、株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊、東京都新宿区津久戸町2番1号)は、パイルド・ラフト基礎を合理的な建物基礎形式の一つとして提案するために地盤沈下量を考慮した実用的な基礎設計技術(解析法)の開発を行い、個別物件に適用し、顧客の満足も得てまいりました。
*パイルド・ラフト基礎とは直接基礎(ラフト)と杭(パイル)の両者の支持力を考慮した基礎形式であります。建築基準法との整合を図るため、設計において建物荷重は直接基礎で負担し、沈下量・不同沈下量を上部構造の許容値以内に制御する目的で杭(主に摩擦杭)を併用する考え方で採用されています。

建物の主な基礎形式の比較
2.開発したパイルド・ラフト基礎解析法の特徴
パイルド・ラフト基礎は建物荷重に対して直接基礎の支持力と杭基礎の支持力の両者を考慮するため、建物荷重に対する沈下挙動は従来の直接基礎あるいは杭基礎に比べ、非常に複雑となります。そこで、沈下挙動を精度良く予測するためにハイブリッド法と呼ばれる方法を用い、直接基礎、杭基礎および地盤間の相互作用を考慮した解析を可能としています。開発しました解析法を用いることにより、個々の杭の荷重変位予測に加え、基礎全体としての荷重変位を精度良く予測することができるので基礎の不同沈下量を制御することができます。その他、開発しました解析法の特徴は次のとおりです。
- ・ 基礎全体をモデル化しているので、基礎全体の沈下量分布・不同沈下量分布を求めることができます。
- ・ 地盤構成は実状を考慮し、多層地盤とすることができます。
- ・ 地盤の非線形性を考慮することができます。
- ・ 地盤沈下量の種類には即時沈下に加え、圧密沈下を考慮することができます。
- ・ 圧密層を簡略モデル化することにより、圧密沈下量の経時変化を簡便に予測することができます。
- ・ 杭基礎には摩擦杭と支持杭の両方の杭を取り扱うことができます。
- ・ 直接基礎にはべた基礎、独立基礎、布基礎など各種の直接基礎形式に対応でき、さらに基礎梁などの上部構造の剛性を考慮することもできます。
- ・ 基礎梁、基礎スラブの曲げモーメントおよびせん断力の評価を行うことができます。

直接基礎、杭基礎および地盤間の相互作用

直接基礎、杭基礎および地盤に作用する力
3.適用例
開発しましたパイルド・ラフト基礎の解析法を用い、AEON山形南ショッピングセンター(山形市)などの3件の工事に適用しました。
このうち、AEON山形南ショッピングセンターでは、建物荷重はべた基礎(基礎スラブ底面は表層地盤改良)で負担し、沈下量を制限するためにPHC杭(既製コンクリート杭)を併用しました。杭は建物荷重を考慮し、柱位置、基礎梁および基礎スラブ中央にバランス良く配置し、不同沈下量が許容値(勾配で1/1,000程度)を下回るように配慮しています。このような基礎形式とすることにより、従来の支持杭基礎に比べ、杭本数は増加しますが、杭長さは約半分となり、杭工事の工期は約半分に、また、基礎部分の合理化を図ることができました。
適用建物の概要
| 件名 | 用途 | 構造・規模 | 基礎構造の概要 | |
| 1 | AEON山形南 ショッピングセンター | 物販店舗 | 鉄骨造地上3階 | べた基礎にPHC杭を併用 |
| 2 | スーパーセンター アマノ男鹿店 | 物販店舗 | 鉄骨造地上1階 | 独立基礎に地盤改良柱を併用 |

AEON山形南ショッピングセンターにおける基礎断面図
4.今後の予定
現在、解析法予測精度の向上などを目的に、上記AEON山形南ショッピングセンターをはじめ、数件の建物において沈下等のデータを計測中であります。これらの中には、パイルド・ラフト基礎に加え、本解析法を適用した摩擦杭基礎、直接基礎も含んでおります。
今後は、これらの計測データの収集・分析等を通じ、建物の用途・構造・規模、地盤の特性に応じた建物の最適設計方法の確立を目指す予定であります。また、並行して地震時におけるパイルド・ラフト基礎の解析法の開発を行う予定であります。


