プレスリリース

打音法によるトンネル覆工剥離検知システム 実用化試験の実証

平成13年11月19日

打音法によるトンネル覆工剥離検知システム - 実用化試験の実証 -

株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊)は、トンネル覆工コンクリートの剥離を打音法によって、検知するシステムの実用化技術の実証試験に成功しました。

各種点検で使用されている点検ハンマーを用いた剥離検知方法の機械化を目的として、供用中の高速道路トンネルでの現場試験及び室内における模擬実験を行い、打撃方法、打撃音の集音方法及び解析方法の実用化の可能性を確認しました。

1.開発の背景

トンネル覆工は大半が無筋コンクリートであるため、明かりの構造物における鉄筋の腐食によるクラックは見られません。しかし、施工時に発生したクラックが時間の経過と共に顕在化する場合やコンクリートの乾燥収縮、アルカリ骨材反応及び構造的な変状によるクラックが経年劣化して剥離となります。

現在、トンネルの点検では、施設管理者が点検ハンマーを使用して、打音法により音の「濁り」やハンマーの「反発度」などを基に判断して剥離の検知を行っています。

しかし、この点検作業は自動車の排気ガスや騒音によって、劣悪な環境の中で実施され,作業自体が同じ動作の繰り返しで、作業量も非常に多い。これらの作業は、トンネル内での「調査の安全性確保」だけでなく、機械化による調査結果の「確実性」および記録に残すことしも重要となります。

コンクリートの内部劣化を非破壊で調査する方法として、打音法、電磁波レーダー法、赤外線法、超音波法などがありますが、いずれも適用条件や効率性の点で本格的な実用化には至っておらず、さらなる技術開発が望まれています。

2.概要

剥離検知システムに必要な基礎データを得るために、供用中の高速道路トンネルの現場試験及び室内における模擬実験を行いました。

(1) 現場試験  

点検ハンマーを用いて人間が行っている剥離の判断を自動化できるかどうかについて以下の条件で供用中の道路トンネルにおいて実験しました。

  • ・ 打撃方法:スプリングバネ式の簡易打撃装置(打撃エネルギー水準:1)、点検ハンマー
  • ・ 打撃音の集音方法:マイクロホンの種類(指向性、無指向性)  打撃点からの離隔距離

この実験により、特定の周波数帯域における特性の相違をもとに剥離の検知が可能であることが検証されました。無指向性のマイクロホンで、打撃点から離隔距離が20cm以下であれば、トンネル内の暗騒音(車両通過音)の影響を受けることなく、集音された打撃音を解析できることがわかりました。

(2) 室内模擬実験

人工的に剥離と空洞を再現した供試体を製作して、検知可能な剥離の状況の定量化とトンネル覆工内部の空洞の識別可能性について検証しました。

  • 1 コンクリート圧縮強度:
    一般の土木構造物のコンクリートと同程度
  • 2 供試体寸法:
    1m×50cm×30cm
  • 3 試験(コンクリート劣化)水準
    ・剥離:
    ひび割れの方向:水平、斜め
    ひび割れの深さ:浅い、中程度、深い
    ひび割れの幅:小、大
    ・空洞:
    空洞深さ:浅い、深い
  • 4 打撃方法:
    スプリングバネ式簡易打撃装置(打撃エネルギー水準:25)、点検ハンマー  室内模擬試験の結果、適切な打撃エネルギーを選択することにより深さ数cmの水平剥離及び空洞を検知できることが判明しました。
3.今後の展開

今後、本実証試験で有効性が確認された簡易打撃装置の実機を製作する予定です。実機のハンマーは、打撃部の位置や質量を対象に応じて設定できるものとし、打撃装置はトンネル覆工断面に沿って円弧状に移動できるようにします。

実機の実証試験は、供用中のトンネルにおいて、剥離・空洞検知の精度等を確認する予定です。

また、この剥離検知システムは既設トンネル覆工調査だけでなく、新設トンネルの竣工検査用及びトンネル以外の一版構造物の内部状況の非破壊検査装置として活用することも考えています。

スプリングバネ式簡易打撃装置による現場試験

スプリングバネ式簡易打撃装置による現場試験

自動打撃装置概要図

自動打撃装置概要図

[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組
技術本部システム技術開発部
部長 時岡 誠剛
土木本部土木技術部リニューアルグループ
部長 岩井 孝幸
担当 森(電話03-3235-8646)
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