プレスリリース

GIS(地理情報システム)を利用した 都市防災エンジニアリングツールの開発

平成13年10月31日

GIS(地理情報システム)を利用した 都市防災エンジニアリングツールの開発
- 「地震被災時交通運用支援システム」の開発 -

株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊)は、都市防災に対する社会的要請を踏まえ地震被災時の緊急輸送の計画を支援する都市防災エンジニアリングツールである「地震被災時交通運用支援システム」を吉井博明東京経済大学教授(東京都国分寺市)ならびに株式会社防災・情報研究所(東京都中央区、代表:高梨成子)とともに共同開発しました。

「地震被災時交通運用支援システム」はGIS(地理情報システム)上で構築しており、震度推定をもとに道路の被害予測や通行が困難になる箇所を推定します。この推定をもとに通行可能な経路を探索し、目的地までの緊急輸送ルート・輸送時間・輸送可能量を算出するなど円滑な救援・救急活動に役立てることができます。

熊谷組は、当システムを地方自治体・防災関連機関・民間の防災計画や防災訓練の支援に適用するほか、都市再生本部より出されている都市再生プロジェクトへの企画提案やリニューアル工事等の営業ツールとして活用していく予定です。

今後は、当社の耐震技術と、運用中の地震リスクマネージメントと統合し、総合的な都市防災支援システムを構築する予定であり、21世紀の都市再生に寄与してまいります。また、今回の開発を、GISを利用した「GISソリューションサービス」の一環として位置づけており、今後は、商業施設向け商圏分析・医療施設向け立地検討といった各ソリューションサービスへのGIS技術転用を図っていく予定です。

1.開発の背景

(1) GIS(地理情報システム)への取り組み

GIS(地理情報システム)は、近年の基盤データの整備が整いその利用価値が高まってきています。今までは、官公庁や自治体、ガス・電力などの社会インフラ関連企業が、主に膨大な図面による業務を効率化することを目的に利用されていましたが、現在、パーソナル・コンピュータの急速な進歩を背景に、物流システム・不動産管理・カーナビゲーション等へとビジネス展開している分野です。 熊谷組では、平成8年にGISをプラットフォームにして、ネットワーク解析機能を搭載した「輸配送計画支援システムLogistics Planner」を開発し、交通・物流分野の営業ツールとして利用してきました。さらに平成10年には交通シミュレーション統合システム“ESCoTE”のサブシステムの一つとしてITS分野への展開を行ってきました。

(2) 防災分野への取り組み

地震被災時においては、早期に被災地の被害状況および被災地域を把握し、初動活動を円滑に行うとともに、応急対策活動の調整を効率的に行うため、被害量と応急対策需要の予測が必要です。 同時に、緊急物資を被災地まで最適に輸送するルートの選定・輸送時間・輸送可能量を推定し、緊急輸送の計画を策定する必要もあります。 熊谷組は、ネットワーク解析技術を応用し、被災時の緊急物資輸送に関する研究を行ってきました。そして、この研究の成果をもとに、行政機関における「地震被害想定調査」の協力も行ってきました。

(3) システム化

今回、熊谷組は、地震被災時の道路被害要因として、高架・橋梁・崖・街路閉塞を評価し、救急輸送の計画を支援する「地震被災時交通運用支援システム」を、吉井博明東京経済大学教授ならびに株式会社防災・情報研究所とともに共同開発しました。

2.システムの全体概要

→下記 参考資料-1、→下記 参考資料-2

(1) システムの機能  

  • 1 任意の地点の震源を設定し震度推定を行います。  
  • 2 震度推定値をもとに、高架・橋梁・崖・街路閉塞の被害状況の評価を行います。  
  • 3 当社の独自技術であるネットワーク解析機能を応用し、高架・橋梁・崖・街路閉塞の評価を基にして、目的地までの緊急輸送ルート・輸送時間・輸送可能量を算出します。

(2)手法について

手法に関しては、行政機関等で実施されている「地震被害想定調査」の手法をベースにしています。震度データ、高架・橋梁延長、耐震化指標、崖崩れ危険度、道路幅員から、高架・橋梁・崖・街路閉塞に対し個別に車両通行可能率を算出します。この通行可能率を直接、緊急避難路のネットワークに反映させて緊急車両の最短経路の探索や輸送時間・輸送可能量を算出します。

(3) その他の機能について

道路被害の評価の基礎となる、震度・崖崩れ・建物被害・火災被害等の推定結果を表示する機能を搭載しております。 当システムは、GIS上で構築しているため、道路データの新規作成・更新・削除も容易に行うことができ、さらに、震災時の被災現状調査結果を即座に反映させて緊急輸送の計画の再検討を行うことが可能です。

(4) システム環境

「地震被災時交通運用支援システム」は、GIS(地理情報システム)を利用してシステム化を行いました。GISは、汎用性とカスタマイズが容易である米MapInfo社の「MapInfo」を採用しました。OSは、Microsoft社のWindows 95、98、ME、およびWindows NT4.0、2000に対応しており、ユーザー・インターフェイスの向上を図りました。

3.システムの適用実績

熊谷組は、高架・橋梁・崖・街路閉塞の被害状況の評価を行う機能(2(2)2)を、某地方自治体の地震被害推定システムの一部として開発し、現在、防災計画の策定・防災訓練に活用されています。

4.今後の予定

→下記 参考資料-3

(1) システムの展開予定

  • 1 民間企業への企画提案
    • ・民間企業の統廃合支援と結びつけたリニューアル工事の営業ツール
    • ・耐震診断前の営業ツール
    • ・民間企業の危機管理の企画立案
  • 2 都市再生プロジェクトへの対応
    • ・救急活動、医療活動、消防活動、緊急物資輸送活動等の地域的オペレーションへの支援
    • ・被災地外からの広域救援物資輸送等の広域的オペレーション活動の支援
    • ・広域防災拠点と地域防災拠点あるいは物資集積拠点間のスムースな緊急輸送計画の支援
    • ・地震被害予測を通じて木造密集地の再整備、震災への対策立案等、災害に強い都市構造形成への支援

(2) GISソリューションサービスの展開

熊谷組では、GISを利用した「GISソリューションサービス」を展開していく予定です。今回の開発を、他分野のGISソリューションサービスへと技術転用を図っていく予定です。

  • ・ 商業施設・集客施設向け「商圏分析ソリューションサービスGeoSHOP」(平成13年11月下旬発表)
  • ・ 病院・医療施設向け「立地検討ソリューションサービス」(平成14年1月下旬発表)
  • ・ 「行政支援サービス」(平成14年3月下旬発表)

 

参考資料-1

参考資料-1

 

参考資料-2

参考資料-2

 

参考資料-3

参考資料-3

[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組
[リリースに関するお問い合わせ先]
経営企画本部広報部
 部長:藤島 幸雄
 担当:柴山・石賀 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
建築本部エンジニアリング部  
 部長:佐久間 茂夫
 担当:中澤(TEL:03-5261-5511)
土木本部社会システム部
 部長:本間 留吉
 担当:永田(TEL:03-5261-5526)
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