プレスリリース

海洋科学技術センターにおける熊谷組のビオトープづくり

平成13年7月27日

海洋科学技術センターにおける熊谷組のビオトープづくり

株式会社熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊)は,海洋科学技術センター新本館建設にともない(所在地:横須賀市夏島町)、食堂棟前に約400m2の水辺を含むビオトープを創造しました(H12.4竣工 )。造成後一年半が経過し、当初の目標であった「生物の生息空間」が成立したことを確認いたしました。

1.背景

都市空間の環境改善を図る緑化技術は、これからの地球環境保全を考える上で欠かせない要素です。熊谷組では、都市の自然環境保全を目的として、ビル群の谷間や建築物の屋上における緑化技術やビオトープの創造に取り組んでい ます。自然豊かな都市空間は、そこに棲む動植物にとって、さらには私たち人間にとっても癒される場になると考えます。

さらに、水系を設けたビオトープにおいては、水循環に自然のエネルギーを大いに活用しています。海洋科学技術センターに造ったビオトープでは、化石燃料を使わず無動力で揚水するシステム・水撃ポンプを導入しました。

2.概要

海洋科学技術センターの職員にとって憩いの場である食堂棟前において、約400m2のビオトープを施工しました。動植物の多様性を図るために、湿地や水辺、地形の起伏など様々な形の自然空間を創造しました。

 

(1)敷地の概要

海洋科学技術センター

写真 1 海洋科学技術センター

全体平面図

図 1 全体平面図

全体写真(海洋科学技術センター一般公開日)

図 2 全体写真(海洋科学技術センター一般公開日)

(2)モニタリング内容

ここでは、ビオトープエリア全体の植生調査と水系の水質調査を行っています。また、鳥類などの動物の観察も随時行っています。

表 1 モニタリング計画

モニタリング計画

 

(3)ビオトープ全体の遷移  

竣工直後は、写真2のようにほどんどは裸地でした。また、ビオトープの立地は潮風が強く、下層植生の繁殖が心配されましたが、飛来した種子は埋土種子が発芽し、写真3のように繁茂しました。(下層植生調査結果:表1参照)

竣工直後

写真 2 竣工直後(平成12年5月)

平成12年夏

写真 3 平成12年夏

表 2 下層植生調査(平成12年夏)

下層植生調査(平成12年夏)

平成13年春

写真 4 平成13年春

 

b)動植物の観察例

○ ハナショウブ  

湿地帯にハナショウブが花を咲かせました。これは、人為的に植栽したものではなく、種子が土壌に混ざっていたか飛来したと考えられます。

ハナショウブ

写真 5 ハナショウブ

○ カルガモ  

カルガモの番がやってきました。営巣のため、水辺の探索にきたようです。

カルガモ

写真 6 カルガモ

○ クロメダカ  

メダカは環境庁のレッドリスト絶滅危惧II類に位置付けているように、いまや希少魚となってしまいました。ビオトープで繁殖しているのはクロメダカに分類される種で、三浦半島水系に生息する三浦メダカです。警戒心が強いため人の手での繁殖は難しいとされていますが、ここでは、昨年春から数えて二世代目のメダカが、元気に泳いでいます。

クロメダカ(三浦メダカ)

写真 7 クロメダカ(三浦メダカ)

(4)揚水システムの概要  

本ビオトープにおいては、水循環に自然のエネルギーの活用として、無動力で揚水するシステム「水撃ポンプ」を導入しました。

○ 原理  

このポンプは、高所より流れ落ちてくる水のエネルギーだけを用いて、より高所へ揚水することができます。設置事例としては、動力源のない山奥などで、主に農耕に用いられています。技術的には、水源と設置場所の地形条件の設定によって揚水量20L/minもしくは揚程100m近くまで揚水することが可能です。今回のビオトープでは、水系の約1割は、この水撃ポンプで循環させています。

○ 動作方法  

図4の(1)~(5)に示すような動作によって揚水が起きます。  

  • (1) 入力管内を流れる水の勢いで排水弁が閉まる  
  • (2) 急激にせき止められた水は上部タンクに流入  
  • (3) 流入水がタンク内空気を圧縮し室内の圧力が上昇する  
  • (4) 逃げ場のなくなった水は揚水管へと押し上げられ揚水される  
  • (5) 揚水後の弁室内は負圧になり排水弁が開き排水される。

水撃ポンプ概略図

図 3 水撃ポンプ概略図

水撃ポンプ設置風景

写真 8 水撃ポンプ設置風景

 

水系概略図

図 4 水系概略図

3.今後の展開について

海洋科学技術センターにおけるビオトープのモニタリングを継続し、生態系の遷移を観察していく予定です。また、あらゆる都市空間(建物の屋上や壁面、隣棟間)へのビオトープ造成を積極的に行う所存です。 都市緑化の展開は、都市計画を行う私たち建設業が、自然環境の保全に役立つことのできる一つのツールであると考えています。

[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組
[リリースに関するお問い合わせ先]
経営企画本部広報部
 部長:藤島 幸雄
 担当:柴山・石賀 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
技術研究所 環境修復研究グループ  
 部長:門倉 伸行
 担当:松田(電話0298-47-7505)
BACK
PAGE TOP