プレスリリース

大水深構造物を高精度に沈設する 「大水深構造物沈設システム」を開発

平成13年1月18日

大水深構造物を高精度に沈設する 「大水深構造物沈設システム」を開発!

熊谷組(取締役社長 鳥飼 一俊)は、沈埋トンネルや橋梁基礎等の水中構造物を、大水深・潮流下において高精度に沈設する「大水深構造物沈設システム」を開発しました。

沈埋トンネルなどの沈設時の位置計測は、函体内部の傾斜計と函体上に設置された測量塔の位置計測により沈埋函の姿勢を特定していました。この方式を大水深・潮流下で適用した場合、測量塔は沈設完了時まで水面上に突出させる必要性があり、水深と同程度以上の長尺なものとなります。沈設前の測量塔取付時においては、長尺測量塔に対応したクレーン船の大型化・取付時の函体の安定性などに問題が生じ、また沈設時にも長尺測量塔に潮流力が作用し、函体が不安定となります。沈設後の測量塔撤去には潜水作業が必要となり、沈設水深が深くなるに従い潜水水深も増大し、混合ガス潜水・飽和潜水などの設備や安全面でも問題が生じます。

本システムでは測量塔および潜水作業を不要とし、GPS、超音波を用いたレスポンダー、ペンシルビームソナー、水中カメラを用い、大水深・潮流下での構造物沈設を可能とするものです。

GPS(Global Positioning System)は、作業船(プレーシングバージ等)上に4基設置し、動揺する作業船の3次元位置(姿勢)を常時計測します。

レスポンダーは無指向性の水中超音波パルスを送受信するシステムで、音波パルスの到達時間より送受波器間の距離を計測します。送受波器4基は作業船底面に取り付けられ、GPSアンテナとの相対位置と、GPS測位データ(絶対位置)より常時絶対位置が求まります。新設沈埋函上部にも送受波器4基が取り付けられ、作業船底面の送受波器4基(既知座標)からの16 組の距離が求まるため、新設沈埋函の絶対位置が求まります。

音波の到達時間より距離を求める場合、音速が必要となりますが、音速は海水の水温・塩分濃度などにより変化するため、ソナーシステムでは大きな誤差要因となります。本システムでは作業船底面および新設沈埋函上部の既知距離間の音速を測位と同時に計測するため、高精度で安定した計測が可能となりました。

ペンシルビームソナーは、指向角1.7°の高指向性超音波パルスを回転しながら送受信し、レーダーと同様に水中での障害物の断面形状をスキャニングするシステムです。ペンシルビームソナーは既設沈埋函のバルクヘッドに2基取り付け、既設沈埋函側からの沈設沈埋函の水平断面位置・鉛直断面位置をスキャニングし、レスポンダーシステムの補助計測を行います。

水中カメラはペンシルビームソナーと同様、レスポンダーシステムの補助計測を行うもので、新設沈埋函のバルクヘッドに取り付けた水中ランプ4基の光源中心を既設沈埋函バルクヘッドの水中カメラで捉え、画像解析により新設沈埋函の姿勢を計測します。

沈埋函の設置終了後における計測機器の回収にも、潜水作業を無くすため、新設沈埋函は吊治具と一体化した自動着脱フックと連結され、レスポンダー送受波器は吊治具上に配置されています。このため、自動着脱フックにより吊治具を回収することによりレスポンダー送受波器も同時に回収することができます。

ペンシルビームソナーおよび水中カメラ・水中ランプはバルクヘッドに配置されているため、函体接合後におけるバルクヘッド内海水の排水が完了すれば、函体内(気中)にて回収することができます。

1.特徴
1.大水深の沈設が可能。
水深と対応した長尺な測量塔が不要であり、大水深下への沈設が可能となります。
2.潮流下の沈設が可能。
従来の測量塔を用いた沈設方式では、潮流下において長尺な測量塔は流体力を受け、沈設中の構造物が不安定となりますが、本システムでは測量塔不要であるため、潮流下での沈設が可能となります。
3.水作業が不要。
従来の測量塔を用いた沈設方式では、沈設後の測量塔の撤去には潜水作業が必要となり、水深の増加に伴い設備や作業の危険度も増加しますが、本システムでは潜水作業が不要で安全な沈設が可能となります。
4.大水深下への高精度沈設が可能。
本システムを用いて水深60mにおける沈埋函設置を試算した結果、±10cmの精度が確認されました。
2.今後の方針

本システムは大水深沈埋トンネルのみならず、次期海峡横断プロジェクト等の大水深橋梁基礎に対応する分割型施工法などへも利用できるため、今後さらに実証実験等を行い積極的に展開を図っていく予定です。

測量塔を用いた沈設

測量塔を用いた沈設

測量塔を用いた沈設

従来の測量塔を用いた沈設方式では、大水深下における測量塔撤去に伴う潜水作業や、大水深に対応した測量塔の長尺化により沈設時の函体の不安定化などが問題となります。

大水深構造物沈設システム

大水深構造物沈設システム

大水深構造物沈設システム

本システムは測量塔および潜水作業を不要とし、GPS、超音波を用いたレスポンダー、ペンシルビームソナー、水中カメラを用い、大水深・潮流下での構造物沈設を可能とするものです。

[お問い合わせ先]
株式会社 熊谷組
[リリースに関するお問い合わせ先]
経営企画本部広報部
部長:藤島 幸雄
担当:柴山・石賀 (電話03-3235-8155)
[技術に関するお問い合わせ先]
技術研究所 
土木構造研究グループ
副部長 山口 高弘
担当 古川(電話0298-47-7502)
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