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渋滞解消をめざす車線拡張工事 東北自動車道 岩舟工事

渋滞解消をめざす車線拡張工事 東北自動車道 岩舟工事

NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)は、
東北自動車道・岩舟JCT(ジャンクション)付近から東北方面に向かう下り車線に、
新たに1車線を追加する付加車線工事を行う。
目的は、同区間で頻発する渋滞の解消だ。工事の対象となる区間は5kmを越える。
これだけ長い距離を通行止めにすることなく一度に施工するのは、熊谷組にとって初めてのことだ。
主な工事は約5kmの区間に付加車線を設置することだが、
それにともなう橋台・橋脚の増設、遮音壁の撤去および設置、
さらにボックスカルバート(※1)の拡幅等も同時に行う。
既に、工事は昨年(平成27年11月)終了しているが、
今回、完成した施工現場を訪ね、工事に携わった熊谷組社員から、
これまでの工事の状況を振り返ってもらった。
※1:断面がボックス形で、内部空間をいろいろな目的で利用する鉄筋コンクリート構造物。

発注者
東日本高速道路株式会社
施工者
株式会社熊谷組
工事場所
栃木県栃木市岩舟町小野寺〜小野口

工事概要

延長 5,381m、掘削 29,000m³、 構造物掘削 6,830m³、 工事用道路 5,000m、
法面工 18,060m²、 せん孔鋼杭 1,400m、 下り線1車線拡幅、 コンクリ−トブロック積 3,782m²、
用・排水溝、排水管 199m、 橋台・橋脚増設 7基、PC上部工 2橋、 BOX増設 8基、遮音壁 3,437m、
鋼管Φ508〜Φ609.6 1,382本

渋滞解消をめざした車線拡幅工事

東北自動車道の下り車線は、岩舟JCT(ジャンクション)付近から上り坂が続く。そのため走行する車の速度が落ち、車間距離が短くなるにしたがって、渋滞が発生しやすくなる。さらに、平成23年に全通した北関東自動車道が岩舟JCTで合流して交通量が増加し、ますます渋滞は避けられない状況だ。特にゴールデンウィークなどの行楽シーズンやお盆時の帰省などに、この下り車線は渋滞のピークを迎える。

そこで、NEXCO東日本(東日本高速道路株式会社)は、東北自動車道・岩舟JCTから栃木インターチェンジ間の下り車線において、渋滞対策の一環として車線の増設工事を行った。

工事は、主に岩舟JCT北方約5.4キロメートル区間(下り車線)の道路拡幅、さらに防音壁の撤去・新設、橋梁・ボックスカルバートの拡幅工事等多岐にわたっている。施工期間は平成25年10月〜平成27年11月。ただし、施工中は交通規制を実施しながらも、高速道路を通行止めにせずに作業を進めるという厳しい工事となった。

個々の難工事も同時進行で臨む

「はじめる前は不安だらけでしたね」

現場を統括した真船常雄作業所長はこう話を切り出し、今回の工事の概略を語った。

まず、危険防止のために施工区域沿線の斜面の伐採を行った。そして、下り車線の拡幅工事だが、施工区域内には拡幅のためのスペースがとれない区域もあり、そこでは先に反対側(上り車線)の外側に拡幅工事を行い、次に中央分離帯を上り車線側へ一車線分移動させ、下り車線に一車線を増設した。

また、約5キロメートルの拡幅区間を30区間に分けて施工した。そのため、重機設置や資材置き場となる土地の確保ができたところから、それぞれ順不同で着手していった。

工事内容は多岐にわたっており、それぞれの工事によって施工方法も手順も異なる。いわば個々が独立した工事でもある。それらを同時に効率よく進行させるためには、現場ごとに起こる想定外の要求や状況に対し、その都度適切な判断と指示をくだし、臨機応変に対応していかなければならない。

(写真をクリックすると拡大して表示されます)

立木伐採
立木伐採
仮設防護柵設置
仮設防護柵設置
Box(ボックスカルバート)延伸工
Box(ボックスカルバート)延伸工
ダウンザホール工法による遮音壁・鋼管杭
ダウンザホール工法による遮音壁・鋼管杭
遮音壁移設作業状況
遮音壁移設作業状況
遮音壁移設作業状況
遮音壁移設作業状況
支障物移設工(通信管路)作業状況
支障物移設工(通信管路)作業状況
盛土 狭小部施工状況
盛土 狭小部施工状況
狭隘部施工状況
狭隘部施工状況

ひとつの施工箇所を担当する人数は、1チームで常に3〜5人。工事全体では、延べ百人体制で臨んだ。いつ、どこから作業が開始されても良いように、それぞれのチームが前段階で、重機の手配や資材調達、施工システムの確認など万全な準備をしていたことは言うまでもない。

施工では既設構造物(橋梁上部工、溝渠工)の品質確保のため、拡幅工事の際に鉄筋センサ付コアドリルを使用した。

また、狭隘部における地盤の転圧では小型締固め機械で試験施工を実施し、コンパクタ使用の際は地盤剛性計測装置(エコノマイザー)を搭載して、転圧と締固め度の確認を同時に実施した。こうした試みは、今後の工事における技術向上にも役立つ結果となった。

PC(プレストレスト・コンクリート)施工【田代橋】(写真をクリックすると拡大して表示されます)

施工前
施工前
施工状況
施工状況
施工後(完了)
施工後(完了)

PC(プレストレスト・コンクリート)施工【川入橋】(写真をクリックすると拡大して表示されます)

施工前
施工前
施工状況
施工状況
施工後(完了)
施工後(完了)

最大の苦労は「安全」の維持管理

真船作業所長に、一番苦労したことを尋ねた。迷うことなく「安全管理」と答えた。

仮設の防護柵が設けられているとはいえ、作業をしているすぐ横を通常と変わらぬ速度で車両が通過していく。一歩間違えれば重大な事故につながるような厳しい施工環境の中で、目の前のことばかりでなく、その周囲の状況にまで気を配り、終始緊張しながら作業を続けるのは容易なことではない。

またそれは、高速道路内の現場だけに限らない。施工上、高速道路のすぐ脇や下部に仮設の工事用道路を設けて工事を進行させる。その場合、高速道路内と同時に、その外部にも同様の注意を払わなければならないのだ。

さらにいえば、実際の工事範囲は5キロメートルだが、上下線にわたって工事を進めるので、全体では10キロメートル以上にわたる工事範囲に注意の目を向けるということだ。それも、点在していた施工箇所が、進行すればするほど線でつながって延びていくので、想像以上に管理範囲は広がっていく。

大小に関わらず事故やトラブルは予期せぬとき、突発的に起こる。それを最小限に防ぐには、どんなに広範囲であっても、どんなに些細な行動にも、常に最善の注意を払う以外にない。今回の工事で大きな事故もトラブルも生じなかったのは、こうした安全管理に対する徹底した姿勢を、長期間にわたって、誰もが日々実践してきたことにあるのだ。

小野口 拡幅施工完了(上り線)
小野口 拡幅施工完了(上り線)
ブロック積み完了(下り線)
ブロック積み完了(下り線)
Box33延伸完了(上り線)
Box33延伸完了(上り線) ※クリックで拡大
遮音壁移設完了(下り線)
遮音壁移設完了(下り線) ※クリックで拡大
Box31延伸完了(下り線)
Box31延伸完了(下り線) ※クリックで拡大
小野口 拡幅施工完了(上り線)
小野口 拡幅施工完了(上り線) ※クリックで拡大
拡幅施工完了(下り線 Box26〜川入橋)
拡幅施工完了(下り線 Box26〜川入橋) ※クリックで拡大
拡幅施工完了(下り線 田代橋〜Box31)
拡幅施工完了(下り線 田代橋〜Box31) ※クリックで拡大

もちろん、施工中に配慮してきたのは現場区域内ばかりでなく、その区域外にもおよんでいる。借用した土地周辺はもとより、工事現場である岩舟町小野寺地内には高速道路付近に一般の住居が多いことから、住民への配慮も必要だ。

「住民の方には、定期的に毎回工事の進捗状況などをお知らせしていました。その資料づくりも私たちの仕事のひとつでした」

そう話してくれたのは、工事完成後の残務に追われる奈須直人作業所副所長だ。

同じく最後まで作業に携わる角屋郁夫現場代理人が、ほかにも苦労した点をいくつか挙げた。

「掘削中に予期せぬ物が埋まっていたりすると、それによっては支障が生じる場合もあるので、かなり慎重に取り除いたこと。また、狭い箇所での作業はとにかく大変で、盛土にしても通信ケーブルの移設にしても確保できるスペースが限られているから・・・」

細かな点に触れれば、話はつきない。

「でも、仕上がってみると、その苦労は決して目には見えませんからね」

土木工事とはそういうものだというような笑顔で括った。

真船常雄作業所長
真船常雄作業所長
角屋郁夫現場代理人
角屋郁夫現場代理人
奈須直人作業副所長
奈須直人作業副所長

初めての経験を次回に生かしたい

二年という施工期間は試行錯誤の連続で、日々あわただしく過ぎてしまったという。真船所長はかみしめるように、「意義のある仕事を、したんだなぁ」と振り返った。

それは、まさにNEXCO東日本が目指す”暮らしや社会を支え続ける高速道路”の整備事業に関われたことで、より一層安全に、快適で、便利な道路空間づくりに貢献できたという思いだ。

今回の工事を通じて、技術や経験の蓄積もさることながら、危険を伴う現場での作業の「怖さ」を知ることができた。また、多岐にわたる工事を、順不同で同時進行させていくには、時として描かれた図面だけに頼るのではなく、その都度、現場で即座に対応・決断をしていかなければ、効率よく、安全に作業が進行できないということも学んだ。最後に、三人はゆっくりとした口調で「この経験を、次に生かしていきたい」と結んだ。

これから高速道路は本格的な大規模更新・修繕の時代を迎える。熊谷組は構造物の老朽化の調査・診断技術及び施工技術の開発を行い、積極的に工事に参加し、交通量の多い高速道路で通行車両への影響を最小限に抑え、安全・安心な施工ノウハウの蓄積を行っている。

「大更新時代」のいま、さまざまな社会の要請にお応えしています。

日本の社会インフラは、いま「大更新時代」を迎えています。熊谷組は、各種リニューアル技術の開発と共に、 グループ一丸となって、全国の整備事業などに取り組み、皆さまの安心・安全な暮らしに貢献しています。

長野自動車道 一本松トンネル本坑(下り線)及び避難連絡坑の変状対策工事 - 長野県
長野自動車道 一本松トンネル本坑

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盤膨れの発生している路面を掘削し、インバートコンクリートを施工。またひび割れの発生している避難連絡坑にインバート補強と鋼アーチ支保工による内巻補強コンクリートを設置。NEXCO東日本との共同開発による曲線函体推進工(まがるーふ工法)により、通行止め作業を最少限に抑えることができました。

市道新戸相武台道路改良工事(第二工区) - 神奈川県
市道新戸相武台道路改良工事(第二工区)

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幅員5.5mの旧Boxトンネル(昭和13年頃構築)を取り壊し、幅員10.0mの新Boxトンネルをハーフプレキャスト(側壁および頂版の一部が工場製作、底版と頂版の一部が現場打ち構造)工法により構築。歩行者・自転車を通行止めせず、仮歩道を確保しながら施工しました。

西湘バイパス災害応急復旧工事(その1) - 神奈川県
西湘バイパス災害応急復旧工事(その1)

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平成19年9月、神奈川県小田原市付近に上陸した台風9号の影響で甚大な被害を受けた西湘バイパスの復旧工事。発注者からの緊急応援要請に直ちに支援体制を整えて対応。被災から20日後には対面2車線の暫定開通、さらに7カ月後には4車線での供用開始を実現しました。

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一般国道122号 トンネル天井板撤去工事(その1)

発注者●栃木県

国道122号日足トンネル(長さ2,765m/昭和53年開通)内の換気システムを変更するにあたり、既設天井板(受台含む2,233m³・5,360t)を撤去する工事。コンクリートカッターとハンドパレットによるシンプルな施工法を採用し、一般車両の通行を妨げることなくスムーズに施工しました。


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