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「新熊谷式柱RC梁S構法:Super-High-Brid 60」で施工中 - レッドウッド市川原木物流倉庫

いま熊谷組は、千葉県市川市原木に大型物流施設を建設中だ。
敷地面積16,400m²、延床面積32,793m²、地上4階建て、1階に42台のトラックバースと
44台駐車可能な一般車用の駐車場などを有する。
また屋上に太陽光発電システムを設置し、窓ガラスには省エネガラスを採用するなど、
環境を重視した未来志向の省エネルギー型物流施設でもある。
そして、この施設を建設するにあたり最も着目すべき点は、
高層化された大規模な物流施設等にも対応可能な
「新熊谷式柱RC梁S構法:Super-High-Brid60」を初めて採用したことだ。
今回は、本年(平成25年)9月の完成を目指して現在最終段階に入った現場からレポートする。

発注者 RW3特定目的会社
設計監理 株式会社熊谷組一級建築士事務所
工期 平成24年11月24日〜平成25年9月23日
概要 敷地面積 16,400m²
  建設面積 8,967m²
  延床面積 32,793m²
  構造規模 基礎RC造+地上(1〜3階)柱RC造+梁S造
  地上(4階)柱S造+梁S造 4階建
  基礎地業 独立基礎+既製杭(PHC+SC杭)
  高さ 軒高/設計GL+28.04m 最高高さ/設計GL+28.39m
  深さ 基礎深さ/設計GL-2.88〜4.35m

新熊谷式柱RC梁S構法で大型物流倉庫を新築

「レッドウッド市川原木物流倉庫」は、東関東自動車道(湾岸市川インターチェンジへ1km)と東京外環自動車道の市川ジャンクション(平成27年完成予定)に隣接。敷地からは常磐道、東北自動車道、関越自動車道方面へのアクセスも容易で、成田空港と羽田空港の中間点に位置することも最大のメリットとなる。またJR京葉線の「二俣新町駅」から徒歩13分と通勤にも便利な立地である。

当施設は、施主であるレッドウッド・グループ・ジャパン株式会社が、日本国内において最初に開発・新築を実施する案件だ。レッドウッド・グループは、シンガポールに拠点を置き、アジアにおける中心的市場及び新興市場をターゲットとして、不動産の開発・再開発、そしてそれらの物件の経営を行う投資会社として注目されている。その日本法人の物流施設開発プロジェクトが、ここ千葉県市川市で本格的に始動した。  施工にあたり、熊谷組初の「新熊谷式柱RC梁S構法‥Super-High-Brid 60」が採用された。「基本品質」の絶対確保を確実に実施すべく、設計を担当した熊谷組一級建築士事務所との綿密な協議を重ねながら本年9月の完成を目指して工事を進行している。

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広大な敷地である為、2機の杭打機を同時施工させ工期短縮を図る(平成24.12.1)
杭の施工精度を向上させる為、事前に地中障害を撤去する(平成24.12.13)
基礎を2回に分けて打設する*PCa:プレキャスト(平成24.12.26)
広大な敷地ならではの地中梁鉄筋の地組みを行うことにより、労務の平準化を図った(平成25.1.25)

 

経済的かつ短工期で付加価値の高い構造体を実現

「新熊谷式柱RC梁S構法‥Super-High-Brid 60」は、柱をRC(鉄筋コンクリート)造、梁をS(鉄骨)造とした混合構造で施工する。つまり材料の持つ長所を最大限に利用し、短所を別の材料で補うことによって、最適な建物を構築できる構法だ。

熊谷組は既に平成10年、当構法の原形である「熊谷式柱RC梁S構法」を開発していた。これは高さ45m以下の低層で荷重も少ない商業施設向けの構法であった。

近年、大規模物流施設の建設需要が急速に増したことから新たに改良された当構法は、高さ60mまでの大規模な施設を対象とし、地震や津波に耐えるとともに、省エネや二酸化炭素排出抑制等の環境にも配慮するといった付加価値の高い構造体の施工を可能にした。

現在施工中の大規模物流施設は、通常の建物に比べて重い積載荷重、長いスパン、高い階高となる。したがって、軸力が大きくかつ長い柱部材には圧縮に強いRC造、スパンが長い梁には軽量で粘り強いS造を採用することで経済的で堅牢な構造体が実現できる。また、これにより免震・制振・耐震いずれの構造にも柔軟に対応可能となり、さらに工期やトータルコストに対しても最適な建物を構築できるのだ。

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現場最初の工区では30本/日の柱を建てる為に前日に先行搬入を試みた 柱下部中央に事前に設置されたライナープレートで
柱の高さ、方向の精度を確保する 何度も精度確認した柱鉄筋にPCa柱を差し込む、緊張の一瞬 床に書かれた柱の墨にミリ単位での調整を行う PCaサポートを取付、柱の建入精度を調整する 精度良く設置完了したPCa柱は、高所作業車を使用してクレーンのワイヤーロープを外す 建方初日、PCa柱建込み状況 柱仕口、大梁、鉛直ブレースを安全な地上で地組・本締めを行い、一気に揚重 先行して建てたPCa柱に地組した鉄骨を差し込む PCa柱・地組梁の精度が良い為、その後の各部材もスムーズに組み立てられていく 安全設備を先行設置する為、水平ネットも予め地組梁に取り付け揚重する PCa柱を固着させる為に、各柱鉄筋廻りにグラウト材を注入 柱仕口部は高強度コンクリートを採用

 

試行錯誤を繰り返し最適な施工法を模索

完成まで3カ月と迫った本年(平成25年)6月。作業工程も60%まで進行したという建設現場を訪ねた。 取材当日、ちょうど3階部分のプレキャスト(PCa)柱の設置作業を行っていた。1本13トンという重量の柱を、わずか4〜5人の作業員が20分ほどで手ぎわよく次々に設置していく。1階から3階まで積み上げるRC柱は、1フロア102本、完了すれば総数306本にも及ぶ。

現場を統括する上野政美作業所長は、「最初は手間も時間もかかったが、コツを得てからは効率よく作業が進むようになった」と話す。それは、最初の段階から試行錯誤を繰り返し、施工に携わる者ひとり一人が考え、意見を出し合うことで徐々にスムーズに、確実に、最適な施工の仕方を身につけてきた成果だという。

設計を担当した設計本部の増子寛部長と小山貴臣副長にも話しを聞いた。ここに至るまで、幾度となく施工検討会を開いては互いにアイデアを出し合い、試行錯誤を繰り返して、その都度細かな部分の修正や変更を行ってきたと振り返る。それはより効率よく、効果的な施工になるための修正や変更だったという。

まさに現場と設計が一体となることで、作業が大きく前進し、今後に活かせる経験や知識が得られるのだ。

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搬入されたPCa柱に建方冶具を取付けて3階部分へ PCa柱の建起し人払いは徹底して行われる クレーンオペレーターと鳶工は、無線とカメラを使用し、常に吊荷を監視 450tクローラークレーンにて揚重 設置場所にて鳶工が荷受け PCa柱が建ち並ぶ3階部分(平成25.6.6現在)

 

進化する構法として今後の発展に期待

上野政美作業所長
上野政美作業所長

昨年(平成24年)11月より基礎工事に着手。そして年明けにかけて杭打ち、躯体工事を実施。本構法であるプレキャスト柱・梁Sの建方作業は本年3月11日より始まり、7月に終了する予定だ。そして作業が滞ることなく工程通りに進行すれば、残す作業は内装仕上げの工事だ。

また環境を重視した未来志向の省エネルギー型物流施設として、屋上に再生可能エネルギー特別措置法の固定価格買い取り制度を適用した太陽光発電システムを設置。さらに全館LED照明器具や窓ガラスに省エネガラスを採用する。

今渕寿之副所長
今渕寿之副所長

現在、工事はすべて順調に進行している。「これからはこの構法が主流になるかもしれない」と作業に携わってきた今渕寿之副所長は言う。

この構法を採用するためには、大型クレーンなどの重機を設置するスペースの確保など、いくつかの条件がある。だがその条件をクリアしこの構法を用いれば、倉庫だけでなく、病院や図書館、ホテル、オフィスビル、店舗等の大型施設を対象に、お客様の多様なニーズにも確実に応えることができるのだ。

いま熊谷組はこの構法に力を注いでいる。設計者としての立場から、「この構法はまだまだ進化する」と増子部長と小山副長は口をそろえる。そしていま現在、今後の発展を睨み、さまざまな実験やデータ収集に積極的に取り組んでいる。

「また担当する機会があれば、必ずこの経験が活きてくる」。最後にそう語った上野作業所長の言葉にも、この構法への期待感が表れている。

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4階は通常の鉄骨造となる(平成25.6.6) 内装工事の準備を待つ1階(平成25.6.6) 施工中の外観(平成25.6現在)

 


熊谷組による主な大型物流倉庫

岩槻ロジスティクスセンター
岩槻ロジスティクスセンター

埼玉県春日部市に施工された当センターは、東北自動車道「岩槻IC」から4.5kmに位置し、国道16号線に面しており、首都圏全域をカバーできる物流拠点として最適な立地にある。1・2階部分にトラックバースを備え、1階は28台、2階は27台の大型車が接続可能で、2階へはスロープで直接アクセスできるのが特徴的。また、荷物用エレベーターを4基完備し、さらなるエレベーターの増設や垂直搬送機の設置が可能で汎用性の高い仕様となっている。

発注者
オリックス不動産株式会社
設 計 監 理
浅井謙建築研究所株式会社
構造・規模
鉄筋コンクリート+鉄骨造 地上4階 敷地面積 17,936m²
延床面積 31,468m²(法定) 32,093m²
サミー株式会社ロジスティクスセンター
サミー株式会社ロジスティクスセンター

遊技機の生産台数増加に適応した製品保管能力の整備、ならびに製品・部品の管理機能集約による生産流通体制の効率化等を目的として新工場隣接地に建設。物流拠点として、関越自動車道「川越IC」まで約2.5kmという立地の良さは効率化に拍車をかける。外観はシンプルな箱型のフォルムでありながら、流通センターとしての役割を充分に果たせる空間を確保するとともに、スムーズな搬出・搬入システムを確立した大規模な建築物である。

発注者
サミー株式会社
設計者
株式会社熊谷組一級建築士事務所
構造・規模
鉄骨造 地上3階 敷地面積16,763m² 延床面積25,923m²

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