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道路運営事業への参入で新たな取り組み 白糸ハイランドウェイ

道路運営事業への参入で新たな取り組み 白糸ハイランドウェイ

熊谷組及びグループ企業のガイアートT・Kは、2011(平成23)年7月1日より、一般自動車道・白糸ハイランドウェイの事業運営を開始した。白糸ハイランドウェイは、長野県軽井沢町に位置し、旧軽井沢と峰の茶屋を結ぶ全長約10kmの有料道路だ。軽井沢方面から草津温泉へ抜ける道路として大変便利であり、また観光スポットとして人気の高い白糸の滝へのルートとしても観光シーズンには利用者が多い。両社は、同事業を通して多くのノウハウを蓄積し、今後の新たなインフラ分野の事業に役立てたい考えだ。今回、新たに参入した道路運営事業の現状と今後の展開などをリポートする。

http://www.karuizawa-shw.com/
Twitter @karuizawa_shw

ゼネコングループでは初めて道路運営事業に参入

熊谷組のグループ企業であるガイアートT・Kは、2011(平成23)年6月30日付けで、草軽交通が運営していた「株式会社白糸ハイランドウェイ」の全株式を取得した。これにより、同年7月1日より一般自動車道・白糸ハイランドウェイの事業運営を開始。ゼネコングループが道路運営事業を手掛けるのは初めてだ。

熊谷組は平成22年度を初年度とする中期経営計画において、グループ全体での安定収益確保を基本方針としてグループ連携による収益体制の強化を図ってきた。その一環として、同事業への参入を推進した。

新会社となった「株式会社白糸ハイランドウェイ」の代表取締役社長に、中川均ガイアートT・K取締役専務執行役員が就任。熊谷組からは大島邦彦執行役員プロジェクトエンジニアリング室長が取締役に就くなど、豊富な経験と実績のあるエキスパートらが新事業の要として名を連ねている。

それは、同事業を通してノウハウを蓄積し、今後大きな市場拡大が予想される我が国の道路施設の維持管理・修繕事業やPFI(Private Finance Initiative)/ PPP(Public Private Partnership)事業への新たな取り組みに役立たせたいと考えているからだ

峰の茶屋交差点 正面に浅間山
峰の茶屋交差点 正面に浅間山
草津・万座・国道146号・鬼押ハイウェイ方面から峰の茶屋料金所へ
草津・万座・国道146号・鬼押ハイウェイ方面から峰の茶屋料金所へ

自然に包まれた軽井沢の林間ロード

信濃自然遊歩道 信濃自然遊歩道
信濃自然遊歩道:白糸ハイランドウェイに沿って
峰の茶屋ー白糸の滝ー竜返しの滝ー小瀬を経て
旧軽井沢三笠橋付近までの散策コースで、
気軽にトレッキングが楽しめる

白糸ハイランドウェイは、避暑地としても有名な長野県北佐久郡軽井沢町に所在する観光有料道路だ。

旧軽井沢と国道146号(峰の茶屋)を結ぶ全長約10kmほどのルートだが、道路の頭上を覆い尽くす木々のトンネルが続き、春には新緑、夏には清々しいほどの緑、秋には色鮮やかな紅葉が満喫できるなど、まさに自然に包まれた林間の道路である。

とくに、ルート内にある観光名所「白糸の滝」は、周囲の自然環境と相まって、四季折々にその表情を変え、訪れる者を魅了してやまない。道路名はその名に由来する。

光や風、路面にできた多少の凹凸など、走行中に味わえる林間の道路特有の自然環境が、多くのドライバーに好印象を与えている。また、軽井沢方面から草津温泉へ向かうには大変便利な道であり、北軽井沢方面から軽井沢の各所へ抜ける近道としても利用者は多い。

観光名所「白糸の滝」入口
観光名所「白糸の滝」入口
白糸の滝
白糸の滝:
白糸を垂らしたように高さ3m、幅70m
ほどの岩肌から浅間山の伏流水が緩やか
な半円を描きながら湧き出て落ちる滝
白糸の滝売店
白糸の滝売店:
白糸湧水とうふ、焼きたての岩魚の
塩焼きなど選りすぐりの信州名産を
味わえる

通行できるのは、大型車両・バスから普通自動車、自動二輪車まで。通行料金は普通自動車なら1台300円。その通行量は、年間30万台を見込んでいる。しかし、観光シーズンは大型バスなどの通行量が増加するものの、冬季は路面が凍結するため通行量は一気に激減する。こうした現状のままでは、年間を通してバランスよく利用台数を確保し、かつ増加させるのは難しい。

お客様に満足を!それが最初のステップ

旧軽井沢方面より浅間山を望む
旧軽井沢方面より浅間山を望む

同事業を運営する上で、まず集客力を高め、利用台数の増加を図ることが重要な課題。そのためには「四季を通してお客様の満足度を上げることが最初のステップ」と話すのは、白糸ハイランドウェイの現場で指揮を執る取締役事業部長(ガイアートT・K経営企画部担当部長)の鈴木泉氏だ。すでに事業開始から今日まで、新体制の専門スタッフと共に、道路の維持管理・修繕業務や駐車場の整備などのハード面から、地元FMラジオやホームページによるPR展開などのソフト面に至るまでさまざまな試みを実践している。

鈴木氏は国道など大きな道路を手掛けてきた技術者だが、いまは地元の自治体や住民との折衝、資金計画など事業運営全般にわたる事務的な処理、もちろん専門の道路に係る作業にも力を注ぐ多忙な毎日だ。しかし、その分今までにないさまざまなことにチャレンジできるという。

補修工事ひとつをとっても、同じ箇所をいくつかに区切り、工法やその材料を変えて効果を試すことができる。その結果を次に活かすよう、細かなデータを追求し、分析していく。

まだ始まったばかりで試行錯誤の日々が続いているが、こうした地道な作業ひとつひとつが同事業の運営を左右し、その努力の積み重ねがいずれ確かな経験と知識になると話す。

路面に生じたポットホール、亀状クラックを補修する施工方法として、従来方法の打換え施工と、舗装面
にクラックシール材の塗布など、同一面をいくつかに区分して効果を測定し、その結果をデータベース化する

多様な状況への対応からPPPなどノウハウを蓄積

小瀬料金所
小瀬料金所
小瀬料金所
旧軽井沢から三笠通りを抜け山道を
越えると小瀬料金所が見える

今後はライフサイクルコストを踏まえた修繕計画を立案し、1〜2年で4〜5000万円程度を投じて改修工事を実施する予定だ

中川均代表取締役社長は「道路管理者の目線からさまざまなニーズを把握し、実績を積んでいきたい」とし、ガイアートT・Kの保有技術である薄層舗装や凍結防止機能のある排水性舗装を施工するほか、維持管理に関する新技術も積極的に導入する考えだ。

事業の規模からいえば大きいとはいえないが、日々発生する多様な状況に対して自分たちの責任において、迅速に対応していかなければならない。それは、大島邦彦取締役が指摘する「従来のように工事の請負ではなく、自らが事業主体となる」ことで、今後インフラ分野のPFI / PPP事業、公共機関が施設を所有したまま運営権を民間に付与するコンセッション事業への参入に活かせるノウハウの蓄積にもなる。

旧軽井沢入口付近 旧軽井沢入口付近
旧軽井沢入口付近(軽井沢駅方面より)

グループの結束でさらに新たな事業へ

熊谷組はこれまでに多くのPFI事業に参画し、国内外で高い評価と実績を残している。国内では上越市市民プラザ(新潟県上越市)をはじめ稲城市立中央図書館(東京都稲城市)、野々市小学校(石川県野々市町)、立川地方合同庁舎(仮称・国土交通省関東地方整備局)、東松島市新学校給食センター(宮城県東松島市)、江古田の森保健福祉施設(東京都中野区)など多数の事業に参画。

海外の事例では、BOT事業(Build Operate Transfer=民間事業者が資金調達から設計・施工を行い、完成後に運営、契約期間終了後に所有権を公共部門に移転する)として、香港イースタンハーバークロッシング(香港)、シドニーハーバートンネル(オーストラリア)やバンコク第2高速道路(タイ)など大規模な事業に携わってきた。

今後我が国でも、国や地方公共団体の財政が厳しさを増すなか、従来は地方自治体などが公営で行ってきた事業に、民間事業者が事業の計画段階から参加して、施設の所有権を公共が保有したまま、施設整備や運営を民間事業者に任せる包括委託や公設民営方式などを含むPPP事業という新しい官民協力の形態が主流になりつつある。

そうした新たなビジネスが創出されると予測されるなか、同事業への参入により熊谷組とガイアートT・Kは、グループとしての連携をより深め、あらゆる状況においても全力で協力体制を築くことに成功した。これを機に、熊谷組はグループとの結束をさらに強め、PPPなど今後期待される新事業への取り組みを積極的に推進していく方針だ。


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