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平成20年3月10日

北陸支店 武蔵ヶ辻第四地区第一種市街地再開発事業
         施設建築物建設工事(建築工事)

営業中の金沢近江町市場で曳き家工事を終えて
レトロフィット工事が進行中!

近江町全景

(H20.2.29撮影)

金沢繁華街の入り口に

   近江町市場は金沢駅東口から金沢市中心部の香林坊・片町との中間に位置し、280年余りに亘り「金沢の台所」として親しまれ、地元の鮮魚・野菜はもちろん、品揃え豊かに 約170店舗が軒を連ねる活気ある市場です。当市場は近年、木造老朽家屋が密集し防災上の危険性が高いこと等が指摘されており、近江町市場の持つ伝統を維持しつつ更なる活性化や住民の安全を確保するために、この再開発が計画されました。
  開発区域内は近江町市場の北西に位置し、面積は約4,900m2。その中に公益施設・商業施設・駐車場等を備えた地上5階 地下1階の建物を建設します。また同工事では建築家 村野藤吾氏の設計で建造された北國銀行武蔵ヶ辻支店を移築する曳き家工事が行われたり、人が行き交う繁華街の工事として難題も数多く、同工事には社内外から注目が集まっています。

 近江町市場アーケード入り口の様子

近江町市場アーケード入り口の様子 (H20.2.21撮影)

 工事が進む中も活気あるアーケード内 交通量の多い「むさし交差点」  工事が進む中も活気あるアーケード内(H20.2.21撮影) (左)

交通量の多い「武蔵ヶ辻交差点」(奥のレンガの建物が曳き家後の北國銀行武蔵ヶ辻支店)) (H19.12.19撮影) (右)

活気ある市場の内で

 工事が進む中でも、近江町市場は以前と変わらぬ活気を持って営業をしており、金沢市民や観光客も多く行き交います。また敷地面積いっぱいに建物を建設するため、営業中の店舗を有するアーケードと工事中の建物の距離は1メートルも満たないところもあります。常に人の目、動きなど細心の注意を払い工事は進められています。

  アーケードと施工中の建物との距離 アーケードと施工中の建物との距離2

アーケードと施工中の建物との距離は1mも満たない(H20.2.21撮影)

 また市場では長年に渡り、営業を続けてきた「なじみ」の場所を変えることなく、営業しており、安全にかつ営業に支障のないように工事をするために、工事関係者と市場の方々との話し合いが何度ももたれました。その話し合いを基に様々な調整を行い、綿密な工事計画がされています。
 その施工方法は、はじめに元の店舗の場所にプレハブを建て、そこで営業を続けます。その間プレハブの仮設店舗を跨ぐようにプレハブ上部と後ろ部分の施工を行います。建物が出来上がると、店を通りに出してテントで営業してもらい、その間に、工事はプレハブを取り壊し、その場所に新店舗を建設していきます。どの作業も店舗や一般の方々との距離は近く、作業する社員は「工事には細心の注意を払っています」と話していました。

 施工が進む建物 施工が進む建物

施工が進む建物(H19.12.19撮影)

 また工事の区域の2辺は国道157号線・159号線が通り、交通量の多い「むさし交差点」であるため、搬入口が1つしかないなど多くの制限があります。また曳き家工事と同時に進めているので、躯体工事が一気に進めることができず、一つの建物であるにも関わらず5つの工区に分けて行われています。

揺れに強く生まれ変る歴史的建物

 近江町市場の入り口付近(むさし交差点付近)にはレンガ造のとてもモダンな建物が目に入ります。これは北國銀行武蔵ヶ辻支店で、昭和7年に建築家 村野 藤吾氏の設計により建造された鉄筋コンクリート造3階建て建物です。村野氏がトッペアーチと呼んでいた正面にある三つの放射状のアーチと、レンガ風タぺストリータイルの外観が特徴的です。
  同建物は国道157号線の拡幅工事に伴い、同建物が拡幅エリアに建てられていることから、解体しなければならない状況でしたが、この建物は現存する村野氏の数少ない初期作品で歴史的に価値ある建物であること、多くの金沢市民から愛されてきた建物であるため等の理由から、この建物を移設・保存することになりました。

村野 藤吾氏

昭和を代表する建築家。1918年早稲田大学理工学部建築科卒業。1967年文化勲章受賞をはじめ日本芸術院賞、日本建築学会賞など他多くの賞を受賞。主なプロジェクトは広島世界平和記念聖堂、大阪新歌舞伎座、京都都ホテル佳水園、兵庫近代美術館など。


曳き屋工事後 曳き屋工事前

曳き家工事前(H19.10.8撮影)(左)と後 (H19.10.12撮影)(右)


 建物は建物内外の下準備を行った後、仮受けした建物の下に転動装置をセットし、8.75°回転させながら約15メートル移動し、その後微調整をしながら直線距離約5メートルを移動させました。移動先と移動前の敷地が重複しているところがあるため、その難易度はとても高く、また細かな作業が必要となりました。この工事は多くの注目を集め、マスコミ等に取り上げられました。そして曳き家工事終了後、免震化工事であるレトロフィット工法で施工していきます。

 レトロフィット工法は地盤と建物の間に免震装置(積層ゴム)を設置し、地震時の揺れを免震装置が吸収する工法です。免震装置が揺れを吸収するので、建物全体に揺れが伝わりにくく、建物の構造に負担をかけずに、建物内部の安全性を確保することができます。
  使われる免震装置は全部で18台。柱軸力の大きさと性質に合わせその種類は6種類が用いられました。仮受けした建物の下の地盤と建物の間に免震装置を配し、その後仮受けをはずして工事は終了します。歴史的価値ある建物を見た目はそのままに揺れに強い建物へと変ります。


免震装置をセットする前の状況 6種類の免震装置が用いられている  

免震装置をセットする前の状況(H19.12.19撮影)(左)

6種類の免震装置が用いられている(H19.12.19撮影)(右)


免震装置をセット

免震装置をセット(H19.12.19現在)


      


建物の様子を見ながら

 この曳き家工事・レトロフィット工法に注目されますが、これらの工法を行うまでに約7ヶ月の月日を要して調査と下準備が行われました。
  建物の不要な部分・土間部分を解体し、土間下部分を掘削・山留を行います。建物の強度を高めるために壁をコンクリートで補強、移動の際に建物が歪まないように水平鉄骨で補強、移動先の敷地の整備、補強した壁等の解体など数々の工程をこなしていきます。

 建物の強度を保つためコンクリート壁を補強  鋼材で梁を補強

曳き家時の建物の強度を保つため 仮設のコンクリート補強壁を構築(H19.7.25撮影)(左)
鋼材で水平剛性を補強 (H19.9.25撮影) (右)

 


柱に鉄筋を組立てる様子 柱にコンクリートを打設

柱に鉄筋を組立てる様子(H20.1.30撮影)(左) 油圧ジャッキで荷重盛替作業中(H20.2.26撮影)(右)

 

荷重盛替後仮受け撤去状況

荷重盛替後仮受け撤去状況(H20.3.3撮影)


 ひとつの工程が行われるたびに建物の様子をしっかり確認し、見極めながら工事が進められており、そこには工事に携わるスタッフの豊富な知識と経験が生かされています。

 近江町市場付近は車が多く行き交い、また市民の方と観光客など多くの人が行き交い、また市場内は威勢のいい声が飛び交います。現在、平成21年3月のオープンに向け、熊谷組の確かな技術を集結させ、工事は進んでいます。
  新しい建物と歴史的に有名な北國銀行武蔵ヶ辻支店が共存する近江町市場のオープンに金沢市民をはじめ多くの人たちの期待が寄せられています。また、金沢の拠点として近江町市場が繁栄することを工事に携わるスタッフ一同、心から祈っています。


工事概要

   工 事 名:武蔵ヶ辻第四地区第一種市街地再開発事業施設建築物建設工事
   工事場所:石川県金沢市青草町、下堤町地内
   発 注 者:武蔵ヶ辻第四地区市街地再開発組合
   設 計 者:株式会社アール・アイ・エー
   施工業者:株式会社 熊谷組
   工  期:平成19年2月8日~平成21年3月25日
   概  要:用途:商業施設+業務・公益施設+駐車場
        構造規模:RC造一部S造、地上5階/地下1階
        延床面積:16,500㎡
        その他:歴史的建造物曳家(銀行) 地上3階,延床面積360㎡
            仮設店舗 360㎡
            既存解体 2,200㎡(非木造),3,500㎡(木造)

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